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階段
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この世界は白くて、黒くて。真っ白で真っ黒で。どちらも寄り添い会えなくてすれ違う。白い階段にはきっと正義がある。ただ黒い階段にも正義はあって。どちらも正しくて、間違っていて。正解は間違いだ。そうだ逆の道をいこう。見失う前に。
人混みの中をすれ違うのは、一人の少年。俯く視線の先には、都会のアスファルトが静かに笑う。
「うるさいんだって。」
どこかにこの怒りをぶつけてやりたかった。やり場のない怒りは風にさらわれる。それを忘れて今日を生きる。逃げられないしがらみに囚われながら。分かってる。明日にはきっとって、きっとって。だけど現実はそう甘くは出来てなくて誰もが下を向いて歩く。
都会の街を見たことはあるだろうか。あたり一面見渡すとビルばかりで、どこを見ても同じ景色が続いていく。モノはこの世には溢れたけれど、心に小さな隙間ができて。
それはどんどん広がっていく。その小さな痛みは、やがて消えることもない空白となる。モノが増えて得たものも沢山あったのかも知れない。それと引き換えに僕らはなにかを失った。それは空へと飛んでいく。それはやがてとなって夜に輝く星になる。それに人々は願いを込めていく。
そんな日々だけれども、悲しいことばかりではない。視点を変えてみることが、大事だ。モノが増えて人は楽に過ごせるようになった。モノが増えて人の笑顔は増えた。退屈な時に、暇を簡単に潰せるようになった。遠く離れた人とも繋がれるようになった。ビルが増えて沢山の人が一斉に働けるようになった。いいことは沢山ある。ただ忘れてはいけないのは、失ったものもあるということを。モノが増えて自然が消えて、自然が消えて動物の数は減っていった。動物は隅っこに追いやられたのだ。動物は怒った。けれど怒りの矛先は、どこにも向けることはできなかった。そんな彼らのことを忘れないで欲しい。彼らだって生活があったのだ。アスファルトの上を歩くなんて想像してなかったのだ。そんな僕たちを忘れないで欲しい。そんな僕は小さな一匹の鳥。ただそれだけだ。
人混みの中をすれ違うのは、一人の少年。俯く視線の先には、都会のアスファルトが静かに笑う。
「うるさいんだって。」
どこかにこの怒りをぶつけてやりたかった。やり場のない怒りは風にさらわれる。それを忘れて今日を生きる。逃げられないしがらみに囚われながら。分かってる。明日にはきっとって、きっとって。だけど現実はそう甘くは出来てなくて誰もが下を向いて歩く。
都会の街を見たことはあるだろうか。あたり一面見渡すとビルばかりで、どこを見ても同じ景色が続いていく。モノはこの世には溢れたけれど、心に小さな隙間ができて。
それはどんどん広がっていく。その小さな痛みは、やがて消えることもない空白となる。モノが増えて得たものも沢山あったのかも知れない。それと引き換えに僕らはなにかを失った。それは空へと飛んでいく。それはやがてとなって夜に輝く星になる。それに人々は願いを込めていく。
そんな日々だけれども、悲しいことばかりではない。視点を変えてみることが、大事だ。モノが増えて人は楽に過ごせるようになった。モノが増えて人の笑顔は増えた。退屈な時に、暇を簡単に潰せるようになった。遠く離れた人とも繋がれるようになった。ビルが増えて沢山の人が一斉に働けるようになった。いいことは沢山ある。ただ忘れてはいけないのは、失ったものもあるということを。モノが増えて自然が消えて、自然が消えて動物の数は減っていった。動物は隅っこに追いやられたのだ。動物は怒った。けれど怒りの矛先は、どこにも向けることはできなかった。そんな彼らのことを忘れないで欲しい。彼らだって生活があったのだ。アスファルトの上を歩くなんて想像してなかったのだ。そんな僕たちを忘れないで欲しい。そんな僕は小さな一匹の鳥。ただそれだけだ。
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