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第17章 もうひとつの初めて(番外編)
4 横浜の夜
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卒業式の日、茜はクラスでの打ち上げを断って、家族と真斗の4人でお祝いをする事を計画していた。両親には、大学に合格できたのは、一緒に勉強してくれた真斗の御蔭だ。そして、お礼をしたいから卒業式の夜に、食事に招待したいと言った。茜の父親は喜んで、一人娘のために横浜のホテルのディナーを予約した。真斗の家には、母親が断りを入れてくれたので、簡単に彼を誘い出す事に成功した。さらに真斗には、食事が終わったら、友達の所に行くと言って帰る振りをするように伝授した。私達家族は部屋を別にしてホテルに泊まる予定だから、あとで落ち合おうという計画であった。
「茜はすごいな。親に嘘ついて、怖いよ。」と真斗が茜に言うと、
「何が怖いの?じゃあ、私と一緒に過ごせなくていいの?」と逆襲された。
当日の夜、横浜へは父親の運転する車で出掛けた。真斗は緊張気味で、周りの様子を伺いながら食事をしていた。茜は、両親に話を合わせながら、真斗を気遣う事も忘れていなかった。デザートを食べ終わり、真斗は計画通りにお礼を言って帰った。茜とは、近くの山下公園で待ち合わせていた。
両親は部屋に引き上げたが、茜はコンビニに行って来ると言って外に出た。その足で山下公園に行き、真斗と合流して、氷川丸の前のベンチに腰掛けた。
「待たせてごめんね。食事はどうだった?」と茜が問い掛けた。
「美味しかった。初めての食べ物ばかりだった。ご馳走様でした。」
「いいよ、そんなに畏まらなくて。緊張していたみたいだけど、大丈夫?これから私を戴くんでしょ?」茜は真っ赤な顔をして、冗談とも取れない事を言ってしまい後悔していた。真斗も同じように赤面し、違う意味で緊張していた。
茜が真斗の肩に頭を乗せると、真斗は優しく肩を抱き寄せて唇を重ねた。港の夜はまだ肌寒く、夜景を見ながらしばらく抱き合っていた。
二人は指と指を絡ませて手を繋いでホテルに戻り、辺りに気を配りながらエレベーターに乗った。10階の部屋に着くまで、一言も喋らずにいたが手は繋いだままだった。部屋に入りドアを閉めると、真斗は彼女を抱き寄せた。そのままベッドに行こうとしたが、茜からストップが掛かった。
「真ちゃん、焦らないで!私こう見えても、ドキドキなんだからね。まずはシャワーを浴びて、落ち着かせて!」茜は彼から離れ、浴室に向かおうとした。
「俺だって心臓が破裂しそうで、一緒に入っていい?」茜は小さく頷いた。
「茜はすごいな。親に嘘ついて、怖いよ。」と真斗が茜に言うと、
「何が怖いの?じゃあ、私と一緒に過ごせなくていいの?」と逆襲された。
当日の夜、横浜へは父親の運転する車で出掛けた。真斗は緊張気味で、周りの様子を伺いながら食事をしていた。茜は、両親に話を合わせながら、真斗を気遣う事も忘れていなかった。デザートを食べ終わり、真斗は計画通りにお礼を言って帰った。茜とは、近くの山下公園で待ち合わせていた。
両親は部屋に引き上げたが、茜はコンビニに行って来ると言って外に出た。その足で山下公園に行き、真斗と合流して、氷川丸の前のベンチに腰掛けた。
「待たせてごめんね。食事はどうだった?」と茜が問い掛けた。
「美味しかった。初めての食べ物ばかりだった。ご馳走様でした。」
「いいよ、そんなに畏まらなくて。緊張していたみたいだけど、大丈夫?これから私を戴くんでしょ?」茜は真っ赤な顔をして、冗談とも取れない事を言ってしまい後悔していた。真斗も同じように赤面し、違う意味で緊張していた。
茜が真斗の肩に頭を乗せると、真斗は優しく肩を抱き寄せて唇を重ねた。港の夜はまだ肌寒く、夜景を見ながらしばらく抱き合っていた。
二人は指と指を絡ませて手を繋いでホテルに戻り、辺りに気を配りながらエレベーターに乗った。10階の部屋に着くまで、一言も喋らずにいたが手は繋いだままだった。部屋に入りドアを閉めると、真斗は彼女を抱き寄せた。そのままベッドに行こうとしたが、茜からストップが掛かった。
「真ちゃん、焦らないで!私こう見えても、ドキドキなんだからね。まずはシャワーを浴びて、落ち着かせて!」茜は彼から離れ、浴室に向かおうとした。
「俺だって心臓が破裂しそうで、一緒に入っていい?」茜は小さく頷いた。
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