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今日はきっといい日
しおりを挟む「…呪い?」
クレマさんからのオウム返しに頷く。
「愛されし子(呪い)って書いてたの。だから、魅了の魔法ではなかったみたい。でもある意味魔法だよね。」
「ふん、呪いか…前世か、今世か…気になるところだな。」
「え!呪いって前世でのものも残るの!?」
「全部が全部じゃない。でも呪術は憎しみとかの憎悪の感情が強ければ強いほどより強力になると言われている。前世ぐらいなら、残っていてもおかしくはないな。」
なんと!!じゃあ、私も呪いが掛かってたりして…
「まぁ、呪術は禁忌とされているから恐らくは前世でのことだろう。可哀想だが生まれたときから呪われたほどに愛されし子だったんだろう。」
確かに、先生は小さい頃からって言ってたし前世で誰かに恨みをかったんだ。それが今の人生でも相当なものだよね…シンプルに怖い。
「でも、なんで僕とジルだけ呪いの影響を受けなかったのかな?」
「そうだなぁ、あの坊主は曲がりなりにも皇族だ。魅了を含めたそれらの状態異常の影響を受けないように訓練を受けている。ちょっとやそっとのものじゃ、効かないだろうな。ナオの場合は、恐らくだが異世界人って言うのが関係していると俺は思っている。異世界人は時折見られるからそれほど珍しいって訳でもないが、その存在はほとんどが謎に包まれている。状態異常を跳ね除けるぐらい出来てもおかしくないだろう。」
なるほど。ボヤッとしてるけどなんとなく理解する。
異世界人、それはこれからも私を表すステータスの一部。今のこの身体は転生なのか、生まれ変わりなのかは分からないけど、私はもうナオ=デシャンなんだ。ここは夢の世界でもなくて、妄想の世界でもない現実世界で…だからもう、自分を生んでくれたお父さんとかお母さんには会えない。異世界人と聞くたびにその現実が執拗に迫って来るみたいだ。
吹っ切れてはいる、はずなんだけど…やっぱり心のどこかでまだ帰れるかもって思ってるのかな?自分の考えも気持ちも、自分のことなのによく分からないや。
「ナーオ。あんまり難しいことは考えなくていい。何も心配しなくて大丈夫だ。ナオは俺の子だ。俺がいる。安心して良い。」
クレマさんの不器用な励ましに心がポカポカする。
そうだよね、私は今クレマさんの子。それに騎士団のみんなもいる。一人じゃない。
新しい環境で知らず知らずのうちにネガティブになってたのかも…
「ナオ、本当に嫌になったら学園なんて行かなくてもいいんだぞ?」
「うん、大丈夫。ありがとう。何かあたら相談するね?」
結局先生の呪いのことはほとんど分からずじまい。でも、クレマさんとの親子愛を再確認できたから今日は良い日!
応援ありがとうございます!
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