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皇后さま、イタズラがすぎます

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昨日あれから寝てしまったらしい私はいつも通り自分の部屋で目が覚めた。クレマさんが運んでくれたんだろうと思うと、申し訳なさがあるものの嬉しくて胸のあたりがポカポカする。

余韻に浸っている暇もなく、今日はジルやバルと会う約束をしているため王城へ来ている。
馬車などを使わず、瞬間移動で来てしまったため、一先ず来客室へ通される。


コンッコンッコンッ


「はい。」

「ナオちゃん失礼するわね。」

ソファーで寛いでいるところに入って来たのは、なんと皇后だった。つまりジルのお母さん。

「ガバリアの太陽皇后陛下、お久しぶりでございます。」

「やだわ、ナオちゃん。そんな硬くなくても大丈夫。気楽にミュゼちゃんって呼んでほしいわ。」

え‶、それはちょっと…って断りたかったけど、目の前で期待しながら目をキラキラさせてこちらを見て来る皇后を見ると断れる訳もなく。

「あ、あのせめてミュゼさん、でもいいですか。」

「ふふ、まぁそうね。それでも大分前よりはマシだわ。」

「ありがとうございます。ところでミュゼさんはどうしてここへ?」

何とか納得してもらえたようで良かった。

「あぁ、それね。ナオちゃん学園生活はどう?ジルたちに意地悪されてないかしら?」

「え?あ、いえジルたちは優しくしてくれてますよ。」

「そう…ね、ジルとはどこまで進んだのかしら?」

ん?どこまで??何のことか分からないほど私は純粋ではないし、鈍感でもない。
でも、ジルと進むことなんてないと思うんだけどな。
あくまで幼馴染で、その他は業務的なことだったり、そこまでアハン、ウフンな雰囲気になることもない。

「どこまで、といいますと?」

「あら?キス、何てもう済ましたのかしら、なんて…」

「母上!」

「あら、もう見つかっちゃったわ。」

皇后の言葉を遮る様にジルの大声が響く。その声に悪びれる様子もなく、茶目っ気たっぷりに舌を出す皇后は本当に12歳の子どもの母親なのかと疑うほどに若々しい。

「何故ナオがもう来ていることを隠していたんですか!それにナオに何を吹き込もうと…」

「まぁ、そんなに攻め立てないくださいまし。母は貴方のためを思ってナオちゃんに色々聞いていただけよ。何も吹き込んでいませんわ。でも、ジル、まだキスも済ませていないなんて」

「わあああああ!!!な、ななな何を言って!まさか、そのことナオに聞いたり…」

「今まさに聞いたところですわよ♪」

「もう出て行ってください!」

こんなに慌てふためくジルは初めて見た。どちらかと言うと、何事もそつなくこなす印象があったから新鮮な感じ。



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