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第2章
考え事
しおりを挟むサーシスとステファニア令嬢の親睦を深めるためにその後も何度かお茶会が開かれた。
そのたびに令嬢から物凄い視線を頂くが気にしないようにする。
その水面下で私はシニョレッリ侯爵家について調べている。黒のくの字もないほど真っ白で、だからこそきな臭い。噂からしても善人であることしか出てこない。こんなにみんなが口をそろえて善人だと言うのは工作している可能性が高い。
もし何か危ないことに手を染めているとして私が告発してどうなる?サーシスの婚約をまた邪魔することになる?
だからって危ないところとの結びつきが強くなることは王家としてもよろしくないことだろう。
「はぁ~…」
「どうした?浮かない顔して、俺に何でも相談してほしいんだけどな…」
私自身も知らないうちに溜息をついていたらしい。私を後ろから抱きしめて座っているロイがゆっくり、優しく、ちょっと寂しそうな声を出す。
「う‶ぅ…」
私、この声と耳が垂れたような顔に弱いんだよな…
ロイは私の身体を持ち上げて向き合うようにして話始めた。
「フッ、まぁナーシィが何かを調べていたことは知っているんだが…本人の口から聞きたかったから待ってた。」
「あっ…ごめん…」
「謝ることじゃない。これから先長いし、ちょっとずつ知っていけばいいんじゃないか?俺がお前に頼りにされたいって思ってるってこと。まぁ、言いたくはないが…俺だけじゃないぞ。ナーシィ、お前のこと心配してるし相談してほしいと思っている奴。」
ロイが私に頼りにされたいと思ってる…フフフ、そっか分からないこととか自分じゃどうしようもないとき手伝ってもらってもいいんだ。
もう、私は一人じゃないんだ。
そう思うと体の内側からポカポカしてくる。
「うん、ロイありがとう。まだ、私の中で固まってないから整理してから相談してもいい?」
「あぁ、もちろん。待っている。」
そう言ってロイは私の顔いっぱいにキスの雨を降らせた。
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