【完結】俺は遠慮します。

抹茶らて

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お預け

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まぁ俺としては気持ち良かったら別に良いんだけど。
俺の心情を知ってか知らずか、先輩の手はなおも止まらない。

「ちょっと、先輩?この手を離して貰えるとありがたいな~なんて…」

「ちゃんとケガしていないか、隅々まで見ないとだろ?自分じゃ見れない所もあるだろうし。」

どうしてこうなった……俺本当なら今頃部屋に戻って寝てるはずなんだけどなぁ。
頭では違うことを考えていても、身体の上を滑る手にピクピクと反応してしまうわけで……

「……ッ、…。」

声は出ないが、大切なものを扱うような柔い触り方は、くすぐったいようなこそばゆいような感覚が身体を掛ける。連日のテスト勉強の寝不足も重なって、頭がふわぁっとしてくる。

さっき先輩の前で爆睡してしまって慌てたのに、懲りずにまた目の前で眠りにつきそうなことを自覚する。

「せん、ぱいぃ?」

腫物を扱うような触り方は俺のことを大切にしてくれていること肌で感じる。

「そんなに反応されるともっと違うことをしてしまいたくなるだろ?」

耳元でささやかれた言葉を理解できるほど、今の俺の頭は働いていない。
でも、手が止まったことだけは分かる。

「なんで、やめる、の?」

もっと撫でてほしい。俺を大切にしてくれていると全身で感じたい。それを最後に俺の意識は途切れた。




………――――――









「はぁ………」

大きなため息の後、長い長い沈黙。




「この状況で寝るか、普通。」

仮にもイケメンと言われており、非公式の親衛隊が付くほどの人と妖しい雰囲気になって爆睡する奴がいるとは。目の前には据え膳……だが反応がないものに手を出しても仕方がない。

お預けをくらわされたのは初めてなんじゃないだろうか。

内心驚きつつも、嬉しいようなでもちょっと寂しいような感情が混ざり合う。
確かなのは……

「だからこそ面白いと思ったんだ。」

そう、だからこそ気になって仕方がない。
みんなに優しく、偏見を持たない。その反面みんな等しく関わり、誰にも強い興味を示さない。






追われるだけが恋愛じゃない。
生まれて初めての経験だが、追う恋愛をしてみよう。





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