【完結】俺は遠慮します。

抹茶らて

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再会

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長かった夏休みも終わり、今日からまた日常に戻る。って言っても、昨日まで帰省から帰って来た尊の宿題の面倒を徹と見てたから、そこまでみんなと会うのが楽しみってほどでもないかな。

「栄人~おっはよう!いい天気だね!」

校舎までの道のりを歩いていると、無駄に爽やかさを振りまいた尊が傍に来る。もちろん徹も。

「おはよう。俺は誰かさんのせいで朝日が目に沁みるけどな。」

チクリと返すも全く気にする様子のない尊は宿題が終わっただけでハッピーなんだろう。
お昼ごはん一番高いやつおごらせてやる。

「荷物おいて体育館行こうぜ。」

尊の言葉に賛同し、始業式に参加するために三人で体育館に向かう。
相も変わらず黄色い悲鳴が聞こえるが、俺も中々耐性が付いてきたようだ。

「これより、第2学期始業式を始めます。」

夏休みで一皮むけた悠希先輩の声で始まる。
校長の言葉はすぐ終わり、会長の言葉も黄色い悲鳴で聞こえることなく終わる。

「それでは、辞職した養護教諭宮坂先生に変わり、新しくっ!……四宮先生が来てくださいました。」

いつもさらりと言葉を連ねる悠希先輩が詰まったと思ったら、先輩と同じ苗字の先生の名前が呼ばれた。
まさかと思ってステージを見つめる。




長い髪を揺らしながら、鷹揚な動きでステージに上がりマイクの前まで来ると注目の人物はゆっくりと口を開ける。

「ご紹介にあずかりました。今日から新しくここの養護教諭になります、四宮旬祢です。どうぞ、よろしく?」

艶のある声で体育館中を魅了する目の前の人は、つい数週間前に出会った人。次にあったらお礼を言うと宣言した相手。

「ぇ……」

悲鳴が響くこの中では俺からこぼれた戸惑いの声を聴きとれた人などいないだろう。誰にも聞かれないまま消えていく。

また本当に会えると思ってなかったら、嬉しいけど驚きが強い。
やや放心状態で始業式を終えた俺たちは教室へ戻る。

体育館を出てすぐ、旬祢さんがいた。もう、色んな生徒に捕まっている。あの顔だもんね。

「おら、もうすぐ授業始まるぞー教室戻れー」

棒読みの担任の声で人混みが避けていくのに合わせて、旬祢さんが近づいてくる。

「言ったろ?またすぐに会えるって。」

楽しそうにその一言だけ残していった。こうなることを知ってて言ったことかぁ、大人ってなんかズルい!
あっお礼も言えなかったし!





「なんだ?栄人知り合いか?水臭いなぁ、教えろよ♪」

今日も今日とて変態全開な尊に洗いざらい吐かされることになるとは思ってもみなかっ、……いや思ったわ。




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