【完結】俺は遠慮します。

抹茶らて

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見ててね?

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ある日の生徒会室で絶叫が響き渡った。もちろん絶叫したのは俺、来見颯。

なんでも会長が栄人クンに告って秒で振られたとか…

振られたことにも驚きだけど、いつも間に告ったんだ。ってか抜け駆け禁止!
一先ず会長が振られたことに安堵したものの、会長が自分のこと好きって知ったら意識しちゃうんじゃ…
そう思って焦った俺はテスト期間とか無視して栄人クンを連行しにクラスまで赴いた。


栄人クンの腕を引いて着いた先は屋上。2人だけになりたかったし、俺のお気に入りの場所だったから…
栄人クンにせかされ、本題に止む無く入るも…


「もっちのろんだよ~あのねぇ~……」



なかなか言葉が出てこない。こんなはずじゃなかったのに…もっとカッコよく告白したかったのに…
でも好きって言葉が出てこなくて…時間がたつとともに余計に恥ずかしくなって顔に熱が集まるのを感じる。


俺に告白してくれた子たちもこんな思いだったのかと、ふと気づかされた。

「あの、オレ…栄人クンのことが…栄人クンのことが好きなんだ。初めて本気になれたんだ。遊びもやめて、勉強も生徒会の仕事も頑張ってカッコいい所見せたいって思ったのも、俺だけ見てほしいって思ったのも、この人じゃなきゃダメだなって思ったのも…全部初めてで…どうすればいいか分からなかったけど、この気持ちに嘘はないから…あの、オレとお付き合いしてくれませんか?」


勇気を振り絞ってやっと出て来た言葉は、ちぐはぐで…全然カッコついてなくて…もっと伝えたい事いっぱいあるのに…それでも真剣に受け止めてくれたのだろう栄人クンは真剣な表情で……

「会計…いや颯先輩、本気の気持ちってやつを疑ってないんですけど、ごめんなさい。」

そう言った。今まで会計ってオレのこと呼んでたのに…今名前で呼ぶとか反則…

「…ぁ……その好きな人がいるの?」

口から情けない声が出たけど、今は気にしてる暇なんてない。縋りつく様にでた質問は誰から見ても未練たらたらで…昔のオレが聞いたら鼻で笑われそう。

「いえ、そういうわけでは…」

「…未練がましくてごめん。理由を聞いてもいい?」

「颯先輩のことは先輩として好きです。でも俺、恋愛的な意味で好きじゃないと付き合うことが失礼だと思って…」

栄人クンらしく、誠実で優しいと思った。でも、そんなことを言われたら諦めきれない。だから同時に残酷だとも思った。諦められないし、忘れられない。

「じゃあ、俺のこと恋愛的な意味で好きになったら付き合ってくれるってこと?」

ズルい聞き方だと思う。でも、少しの望みがあるのならそこに賭けたいと思うほどにオレは君溺れてる。

「そう、ですね…」

「分かった、なら仕方ないね!でも俺諦めないから。良い男になるから見ててね♪」

当たって砕けてもいい。でも、砕ける前にもっといい男にならないと。そう思える人に出会えたオレは幸せだと思った。

オレが頑張るのはこれからなんだ。だから、見ててね?愛しい人。




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