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第71話

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「さて。イメルダ嬢。君はどうして自分が捕まると思った?
金を使った…ただそれだけにしては、君は怯え過ぎなような気もするが?」
と冷ややかな口調の旦那様にイメルダ様は、

「………きっと私が『ブラック・バンディット』のリーダーのネイサンと繋がっていると…そう思っているのよ」
と言った。それを聞いた旦那様は、

「ほう。それは有力な情報だな。…ネイサンを捕まえられずに隣国もうちの国の辺境伯もやきもきしている。
で、君はネイサンと繋がってるのか?」
と旦那様は前のめりになった。

旦那様にとっても、これは喉から手が出る程欲しい情報なのだろう。
その様子に気づいたイメルダ様はニヤリと笑うと。

「さぁ?どうかしら?もし私が本当にネイサンと繋がっていたとしたら?
この情報を持っている私はブラック・バンディットの未だ捕まっていない幹部達に命を狙われるかもしれないわ。
この情報…欲しいのでしょう?なら…私を保護してよ。貴方が守ってくれたら、貴方にだけこの情報を教えても良いのよ?」
と前のめりになった旦那様のテーブルに置いた手を掴もうとする。

私は咄嗟にそれをブロックして、先に旦那様の手を握りこんだ。
…やっぱり旦那様に触られたくはない。

その行動に旦那様は驚きながらも、もう一方の手で、旦那様の手を握りしめた私の手に重ねると、ポンポンと私を安心させるように優しく叩いた。そして、

「生憎、僕よりもその情報を欲しがっているのは、隣国であり、辺境伯だ。
まぁ、今捕まっているネイサンの手下より、君は口が軽そうだから、締め上げたら口を割るだろうという隣国の狙いも強ち的外れではなさそうだが…そもそも、本当に君はネイサンの居場所を知っているのか?
証拠でもあれば、僕も考えなくはない」
と旦那様が言うと、

「し、証拠を示せば私をこの国で保護してくれるの?隣国に渡されるのは御免だわ」
とイメルダ様は顔を強張らせながらもそう言うと、何故か私を睨んだ。

そして、

「あなた…そこでのうのうと『妻です』みたいな顔をしているけど、私が生きていたんだから、本当ならそこは私の場所なのよ?図々しいと思わないの?
ウィリアム様もお可哀想に、好きでもない女と結婚させられて…。
ウィリアム様。魔法使いには側室を持つ事が認められております。私がそのお役目を…」
と言うイメルダ様に、

「僕にはアメリアが居る。側室は必要ない。余計なお世話だ。
それより、自分の身の振りを考えた方が良いのではないか?
ブラック・バンディットのネイサンの女だったと知れば、皆が敬遠するのは目に見えているんだが?」
と旦那様は呆れる様に、イメルダ様に答えた。
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