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第117話〈最終話〉
しおりを挟む「確かに、私もまだマーガレットに婚約者は早いと思います。でもエリック様を最初から除外する必要はないのでは?
これから少しずつエリック様と交流を持たせる事にいたしましょう」
と私が言えば、旦那様は不貞腐れたように、
「アメリアは賛成なのか?」
と私に訊ねる。
「賛成も反対もまだわかりません。
出来ればマーガレットが選べる年頃まで待ちたいとは思いますが、自ら選ぶ事が全て幸せではありません」
と私が言えば、
「自分で選べる方が良いに決まってるじゃないか。他人から押し付けられた結婚など…」
と言いかけて旦那様は言葉を切った。
私はそれを見て笑う。
「私は他人に押し付けられた結婚でしたが幸せになりました。…旦那様はどうですか?」
すると旦那様は少しばつが悪そうに、
「…悪かった…。そんなつもりではなかったんだが…」
と言葉を濁す。
「ふふふ。わかってます。でも…マーガレットが羨ましいですわ」
「ん?どうして?」
旦那様は不思議そうだ。
「だって…旦那様に愛されているんですもの…少し焼きもちを焼いてしまいそうです。
私はそんな風に言われた事はありませんわ」
と私が拗ねた様に言えば、旦那様は慌てて、
「言った事あるだろう!?」
と私に言った。
「いえ?旦那様のお気持ちを聞いた事はありませんわ」
と私が答えれば、
「は?!いや…そんな…まさか…」
と旦那様は黙り込む。
私は
「旦那様、そんな考え込まないで下さい!さっきは意地悪で言ったんですから」
と笑った。
すると、旦那様は真面目な顔になって、
「僕は…アメリアが好きだ。最初…どう接して良いのか分からずに、僕は酷い態度だった。
でも、そんな僕にアメリアはめげずに関わろうとしてくれただろう?本当は嬉しかったんだ。
君はいつも僕を引っ張っていってくれた。日の当たる方へ。
君に出会わなければ、僕はずっと日陰に居ただろうな。昔はそれで良いって思ってたけど…アメリア…君となら何処に居ても、何をしていても幸せだと思えるんだ。僕に出会ってくれてありがとう」
と私の両手を旦那様は包み込む様に握りしめた。
初めて…素直に好きだと言われた気がする。
好意を持ってもらっているのはわかっていたが、はっきりと口にして貰えるのは…嬉しいものだ。
不器用な旦那様の真摯な態度に私はついニヤけてしまう。
すると旦那様は、
「ところで…僕はアメリアに『好きだ』って言われた事あったかな?」
と首を傾げた。
…どうだっただろう?
私、結構態度には出していたと思うし、側に居たいとか幸せだとは言っていたと思うのだが…。
私は、
「旦那様。私は旦那様が大好きです!大、大、大、大、大好きです」
と言って思いっきり抱きついた。
旦那様はそんな私を抱き止めながら、
「僕もアメリアが大、大、大、大好きだよ」
と言ってくれた。
私は旦那様に抱き締められながら、
「私の方が『大』が1つ多かったですよ?」
と言って笑った。
「厳しいな」
と言って旦那様も笑う。
レオン、マーガレット、きっと貴方達にも、素敵な出逢いが待っているわ。
周りがどう思っても、貴方達が幸せだと思える出逢いが。
だって私は嫌われ者の魔法使いに嫁いだけど、こんなに幸せだもの。
私は旦那様の胸の中で微笑んだ。
~fin~
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
今回で、「家族に虐げられていた私は、嫌われ者の魔法使いに嫁ぐ事になりました。~旦那様はとっても不器用です~」
は完結となります。
いつものようにグダグダと長くなってしまいましたが、最後までお付き合い下さいました皆様に心より感謝を申し上げます。
また他の作品で皆様にお会い出来るよう、今後とも頑張りますので、よろしくお願いいたします。 君影草
応援ありがとうございます!
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