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第26話
しおりを挟む「殿下…やはりダメでしたか…」
あれから何人のご令嬢に声をかけ、殿下とお話しをして頂いたでしょうか。
しかし、殿下はどのご令嬢にも首を傾げてばかりで、一向に恋人が出来る気配はありません。
私は学園ではグレイとは2人にならないようにしていますが、なるべく殿下とも距離をとるようにしておりますの。その方が殿下もご自由に出来るのでは…そう考えての事なのですが…。
出来れば、自然な形で殿下が恋をなさるのがよろしいと思われたのですが、どうにもこうにもいかず…私が何故か色んなご令嬢の良いところをアピールする始末…。なにこれ?
「今思うと…5番目に話したご令嬢が1番マシだったかなぁ…」
今日も王太子妃教育後のお茶会で、殿下とお話しをさせて頂いておりますが、今日のトークテーマも『殿下の恋人作りについて』です。最近はもうこればっかり…。
「5番目…と言いますと…あぁ、アイリス様ですね。少し大人っぽい」
…殿下の好みが大人っぽい女性だったなんて…知りませんでしたわ。今から私はどうやったら大人っぽく見えるかしら?
「まぁ、歳も2つ上なのだから、大人っぽい…のは当たり前かもしれんがな」
「では、殿下、アイリス様のどのような所に惹かれましたか?」
「惹かれた…とは言い難いが、彼女は僕が話さなくても、特に困らなかった」
…ゆっくり話しをしてみたいと言うから、その場をセッティングしたのに、殿下はお喋りになりませんでしたの?
それは…今までのご令嬢に失礼をお詫びしなければなりませんわね…私が。
「アイリス様は話題が豊富でいらしたのですね?」
「まぁ、7割が自慢話だったが、僕が喋らずに済むのは、楽だったな」
……殿下って、恋人にしたくない男性No.1なのでは?
顔良し、身分良し、頭良しで、殿下は優良物件の筈なんですけど…コミュニケーション能力が、今までの話しでは皆無ですわ。
「では…試しにアイリス様とお付き合いなさっては如何ですか?」
「そうだなぁ…。で、付き合いを始めるとはどのようにすれば良いのだ?」
…それこそ、今読んでる恋愛小説を参考にするべきなのでは?
「そうですね…お付き合いの前には、やはり告白をしませんと…」
「告白?僕がかい?」
「ええ……アイリス様から殿下に…というのは身分的にも難しいのではないかと。ちなみに殿下には、婚約者がおりますし…アイリス様から告白するのは問題が…」
「僕が読んでいる小説は、大体が女の子から『好き』と告白しているぞ?」
……殿下の読んでいる小説…些か偏り過ぎではないですかね?
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