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第53話
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「これ洗っておいてもらえる?」
私はメイドにレオから借りたハンカチを渡しながら尋ねる。
「新品のハンカチあるかしら?」
「ええ、もちろん。何色になさいますか?」
メイドは笑顔で答える。
「そうねぇ……薄い水色と薄い桃色を」
レオの笑顔を思い浮かべた私はそう口にした。
「畏まりました」
私は湯浴みをして夜着に着替えた後、自室の長椅子にゆったりと腰掛けた。今日は慣れない場所に連れて行かれて疲れてしまった。私は目を閉じて、軽くこめかみを指先で揉んだ。
レオを見た時、息が止まるかと思った。髪色も瞳の色も……少し中性的な顔つきもブルーノにとても良く似ていた。
もちろん似ていないところもあるし、レオとブルーノが別人だというのは理解している。
「他人の空似って実際にあるのね……」
私は独り言ちた。
レオと話している内に、幼い妹と二人暮らしだということが分かった。両親は随分前に亡くなってしまったということも。レオは自分のことをあまり多くは語らなかったので、会話の中から拾えたのはこれぐらいの情報だけだ。
お金が欲しかったと言ったレオの事情はここら辺が関係していそうだ。
「……気になるのよね」
レオがブルーノに似ているからか……どうしても色々と考えてしまう。しかし、あんな所で働くなんて……。そう考えて緩く首を横に振った。『あんな所』だなんて、簡単に言ってしまっては失礼だわ。フリオやケイン……彼らだって誇りを持って仕事しているのだから。
でもレオに……あの仕事は……。そんなことを考えていると部屋の扉をノックする音が聞こえた。
返事をすると、先ほど私から頼まれた物を持ったメイドが現れた。
「ちょうど良い品がありました。こちらでどうでしょうか」
「思った通りの色だわ。素敵。ねぇ、あと刺繍をするからその道具もお願い」
「このハンカチに刺繍を?」
何故かちょっとだけメイドが嬉しそうにそう尋ねる。
「ええ、そのつもり」
「わかりました!直ぐにご用意いたします!」
メイドは笑顔でそう答えると、部屋を出る前に一言言った。
「あ、あのー。ご主人様のお召しになっている近衛の騎士服の紋章は鷲です……念の為」
そう言ってメイドはそそくさと部屋を出て行った。……そうか……このハンカチ、レニー様への贈り物と思われたのだわ……。どうしよう。期待に応えるべき?
結局、メイドが持って来た刺繍糸は鷲を刺せと言わんばかりの色味だった。私はもう一枚白のハンカチを持ってくるようにメイドに頼むと、彼女は少しだけ首を傾げた。
だけどその夜は疲れ過ぎていた為、刺繍を諦め早々に寝台に横になることにしたのだった。
私はメイドにレオから借りたハンカチを渡しながら尋ねる。
「新品のハンカチあるかしら?」
「ええ、もちろん。何色になさいますか?」
メイドは笑顔で答える。
「そうねぇ……薄い水色と薄い桃色を」
レオの笑顔を思い浮かべた私はそう口にした。
「畏まりました」
私は湯浴みをして夜着に着替えた後、自室の長椅子にゆったりと腰掛けた。今日は慣れない場所に連れて行かれて疲れてしまった。私は目を閉じて、軽くこめかみを指先で揉んだ。
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もちろん似ていないところもあるし、レオとブルーノが別人だというのは理解している。
「他人の空似って実際にあるのね……」
私は独り言ちた。
レオと話している内に、幼い妹と二人暮らしだということが分かった。両親は随分前に亡くなってしまったということも。レオは自分のことをあまり多くは語らなかったので、会話の中から拾えたのはこれぐらいの情報だけだ。
お金が欲しかったと言ったレオの事情はここら辺が関係していそうだ。
「……気になるのよね」
レオがブルーノに似ているからか……どうしても色々と考えてしまう。しかし、あんな所で働くなんて……。そう考えて緩く首を横に振った。『あんな所』だなんて、簡単に言ってしまっては失礼だわ。フリオやケイン……彼らだって誇りを持って仕事しているのだから。
でもレオに……あの仕事は……。そんなことを考えていると部屋の扉をノックする音が聞こえた。
返事をすると、先ほど私から頼まれた物を持ったメイドが現れた。
「ちょうど良い品がありました。こちらでどうでしょうか」
「思った通りの色だわ。素敵。ねぇ、あと刺繍をするからその道具もお願い」
「このハンカチに刺繍を?」
何故かちょっとだけメイドが嬉しそうにそう尋ねる。
「ええ、そのつもり」
「わかりました!直ぐにご用意いたします!」
メイドは笑顔でそう答えると、部屋を出る前に一言言った。
「あ、あのー。ご主人様のお召しになっている近衛の騎士服の紋章は鷲です……念の為」
そう言ってメイドはそそくさと部屋を出て行った。……そうか……このハンカチ、レニー様への贈り物と思われたのだわ……。どうしよう。期待に応えるべき?
結局、メイドが持って来た刺繍糸は鷲を刺せと言わんばかりの色味だった。私はもう一枚白のハンカチを持ってくるようにメイドに頼むと、彼女は少しだけ首を傾げた。
だけどその夜は疲れ過ぎていた為、刺繍を諦め早々に寝台に横になることにしたのだった。
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