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カルメンの踊り子の大会への思い
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ユウキは目の前に座る三人の女性の必死な姿に懐かしいものを感じていた。
「すいません聞きたいことが!」
だが、質問される度に答えられるか不安になりドキリッとさせらる。
ここはカルメンの経営していた呑み屋の1階である。
壇上に立つユウキとフロアにあった無事な椅子を等間隔で並べて座る女性達。
ドラマで大学教授がこうして講義していたなとユウキは思っていたのだが、どちらかと言うとホールの壇上から講義する講習会のイメージである。
あえて高い位置から話をするようにしたのは下からの方が見えにくいからというだけの話である。
「ユウキ……ゴニョゴニョ……。」
街で買った服の背中に取り付けた講義時用の服のポケットから小声でフレミアの声が聞こえる。
「それは……」
ユウキはフレミアの声を聞きそのまま答えていく。
「ああ、それで教会で……なるほど」
(イヤホンなどがあれば楽なんだけれどな)
ユウキは背後から聞こえる声を聞き漏らさない事に必死である。
「ユウキ、そろそろお腹が減ったのだけれども」
「分かった。午前の授業は終わりにしよう!」
ユウキは小声でフレミアに頷くと、生徒である三人を見て手を叩く。
「よし、そろそろ昼時か……午後はいつも通り実技の練習だ。」
『はい。』
三人の声が響き、左側に座っていたミミルが立ち上がると残りの二人も椅子から立ち上がる。
「ありがとうございました!」
『ありがとうございました!』
「あ……うん。また後で。」
ユウキの内心は少し複雑であった。
午前中終わったー!と机の上で突っ伏しているミミルとその他の二人を階段に登りながら見下ろす。
「どうしたのよ?元気なさそうね。」
フレミアはユウキの肩に止まりながら頬をペシペシと叩く。フレミアとしてはユウキを励ましてるらしいがやられている側は鬱陶しくて仕方がない。
「少しだけ学校が懐かしいなと思ってたんだよ。いいから叩くの止めてくれ。」
「学校は知らないけど、てっきり自分が回復の魔術をろくに使えないのに教えてるのは滑稽だなとか思ってるのかと思ったわ。」
フレミアはユウキに睨まれると慌てて背中のポケットに隠れた。
「あ、ユウキ。」
「ん?ああ、レイラン。今から外出か ?」
階段を登りきるとカルメンの部屋に行こうとしたユウキはそのカルメンの部屋から出てきたレイランと廊下で鉢合わせる。
「どう?三人は」
「優秀だよ……オレなんかが教えてていいのかな 。回復魔術は試してみたけどやっぱりオレは使えないらしいし。完全完治、確かに回復系魔術と言えなくもないんだろうけどアレを魔術と言うのは色々とね」
「まあ……確かにね。使えたとしても見せられるような回復魔術じゃないことは確かよね。」
「ミミル以外の二人にはそこは見せても大丈夫そうなんだけどね……話を聞いた感じだと経験値が高いみたいだから」
レイランはやや冷たい視線をユウキに向ける。
「だ、大丈夫!何もしてないって!」
「何も聞いてないんだけど?怪しいわね。」
レイランの顔が近くなるとユウキは顔を赤らめ視線をそらす。レイランもその顔を見て少しだけ顔を赤らめながら、まぁいいわと言うとユウキに言う。
「ユウキ、今日の夜話したい事があるの……時間作ってくれる?出来れば二人で。」
「ティナは遅くまで帰らないって言ってたしな。なら今日は二人で外に食べに行こう」
「うん、約束だからね?」
レイランはそういうと事前にフレミアから頼まれていた買物に行くようだ。
「私もついて行くわ!レイランの方が食べたい物買ってくれるから!」
「午後の実技練習までに戻ってこいよ?」
「あったりまえじゃない!将来の金づ……国民のための治療院を作る第一歩なのよ!」
「フレミア様、目が¥になってますよ?」
「う、うるさいわね!レイランいいから行くわよ!と、とにかくユウキ、国民の為にもなる事何ですからやるわよ!」
(為にも……ですか。)
ユウキはレイランに手を振り見送った後、カルメンの部屋の前に立ち軽くノックする?
「ユウキさんですか?どうぞ」
「入ります」
ユウキはカルメンの部屋に入ると今日の午後の予定を話す。カルメンはいつも通り快諾する。
「講義でね、あの娘達に回復魔術をかけてもらう度に足が良くなっている気がするのよ」
そういうとカルメンは自身の足を触りながら机の上にある瓶を見る。
「当然、アレを使っていた時に比べると明らかに良くなっているわ。足の腫れも少しづつ引いてる気がするしね。」
「まぁ……アレは毒ですからね。中身は?」
「言われた通り、毎日怪しい薬師に言われた通りの数を飲むべき時間に捨ててるわ」
「ありがとうございます。そろそろ中身が無くなりそうですね。明日、明後日にも……来ますかね。」
「多分来るわ。必ず残り六粒になる度に来てたからね。……明日来るはずよ。」
「……明日は彼女達の講義を休みにします。オレはカルメンさんの衣装ケースに入っていつでも出れるようにしておきます。後は段取り通り。」
?
ユウキはカルメンがチラシを持って何か言いたそうにしている事に気づく。
「そのチラシが何か?」
カルメンは言いづらそうにしながらも大きく深呼吸をすると話し始める。
「ユウキさん、私がここで治療院を作ることにして、彼女達三人がここで治療士としてやってくのはわかった。タダで治療してくれる恩には報いるつもりだよ。でもこの大会で踊れるなら……」
「大会で踊る?」
ユウキの反応に知らないの?とカルメンは驚いた反応をする。
「いや、踊り子だったのは聞いてたし、何とか再来週までに治して欲しいというのは聞いてたけど……三週間後は普通の生活が出来て問題ないレベルにとは考えていたんだけど」
そう、その日程で何とか治せるだろうというのがフレミアの計算であった。
しかし、あくまでも普通に歩けて普通に使える程度の話である。
寝ていたり、使っていなかった足を踊るまでに回復……言ってしまえばスポーツ選手が骨折してリハビリして試合に出るようにするようなものである。
(骨折してた部員はどれ位かかっていた?)
ユウキは思い出してみるが、それでもやはり骨がくっついた後からと計算しても少なくとも一ヶ月。
場合によっては三ヶ月から約半年。
怪我の重さや部位や寝てる長さによって回復するまでに時間がかかるし、女性にこういうのはなんだが年齢によっても回復する速度は変わってくる。
「……」
「そうよね、それが普通よね」
ユウキはカルメンを見る。
病気のせいで大分痩せたとはいえ、細い訳ではない。その身体で激しい運動が加えられた体重を治ったばかりの足が支えられるかと聞かれたら難しいと思われる。
テレビで見たことのあるバックダンサー等の踊りで判断するならば無理だろう。あんな五分で汗を滝のように流す運動はまず無理である。
(酒場でレイランがスローテンポの曲で踊っていたようなああいう踊りならば?)
「でも、私はこの大会に出るわ!エントリーも既に頼んであるのよ!」
「その足でエントリーが許されたのか?」
「きっと出来る。彼女が口を聞いてくれれば。」
「……彼女?」
ユウキには思い当たる節があったがとりあえず聞き返しておく。
「レイランよ」
「やっぱりか。カルメンさんはレイランに代わりにこの大会の受付をして来て貰い当日には貴女が出ると?」
「レイランから何も話を聞いてないの?」
「?ああ、初耳だよ」
カルメンは言うべきか迷う。明日にはこの街を出ないと受付には間に合わないのだ。レイランにも考えがあるのだろうが、残される側には早めに伝えておいた方がいいだろう。
「レイランも出るのよ。まだ少し迷ってるようだけど、出ると言ってくれたわ。私は彼女と戦いたいの!踊り子の人生を全て掛けても!だから私が無理を言って出てくれと頼んだのよ。」
「受付はいつなんだ?大会は?」
カルメンは紙をユウキに渡すが、ユウキは受け取り紙を見るとすぐに返す。
「いつなんだ?」
「ユウキさん……貴方、字が読めないの?」
「……事情があってこの国の文字は読めないんだ。そんなことより、日程はいつなんだ?」
カルメンは微かにイラつきの混じったユウキの声に気づき、レイランに悪いと思いつつも答える。
「受付は明日よ。大会の日程は三週間後の今日。場所は船で南下した国境の先にある王都カルマンよ。」
「すいません聞きたいことが!」
だが、質問される度に答えられるか不安になりドキリッとさせらる。
ここはカルメンの経営していた呑み屋の1階である。
壇上に立つユウキとフロアにあった無事な椅子を等間隔で並べて座る女性達。
ドラマで大学教授がこうして講義していたなとユウキは思っていたのだが、どちらかと言うとホールの壇上から講義する講習会のイメージである。
あえて高い位置から話をするようにしたのは下からの方が見えにくいからというだけの話である。
「ユウキ……ゴニョゴニョ……。」
街で買った服の背中に取り付けた講義時用の服のポケットから小声でフレミアの声が聞こえる。
「それは……」
ユウキはフレミアの声を聞きそのまま答えていく。
「ああ、それで教会で……なるほど」
(イヤホンなどがあれば楽なんだけれどな)
ユウキは背後から聞こえる声を聞き漏らさない事に必死である。
「ユウキ、そろそろお腹が減ったのだけれども」
「分かった。午前の授業は終わりにしよう!」
ユウキは小声でフレミアに頷くと、生徒である三人を見て手を叩く。
「よし、そろそろ昼時か……午後はいつも通り実技の練習だ。」
『はい。』
三人の声が響き、左側に座っていたミミルが立ち上がると残りの二人も椅子から立ち上がる。
「ありがとうございました!」
『ありがとうございました!』
「あ……うん。また後で。」
ユウキの内心は少し複雑であった。
午前中終わったー!と机の上で突っ伏しているミミルとその他の二人を階段に登りながら見下ろす。
「どうしたのよ?元気なさそうね。」
フレミアはユウキの肩に止まりながら頬をペシペシと叩く。フレミアとしてはユウキを励ましてるらしいがやられている側は鬱陶しくて仕方がない。
「少しだけ学校が懐かしいなと思ってたんだよ。いいから叩くの止めてくれ。」
「学校は知らないけど、てっきり自分が回復の魔術をろくに使えないのに教えてるのは滑稽だなとか思ってるのかと思ったわ。」
フレミアはユウキに睨まれると慌てて背中のポケットに隠れた。
「あ、ユウキ。」
「ん?ああ、レイラン。今から外出か ?」
階段を登りきるとカルメンの部屋に行こうとしたユウキはそのカルメンの部屋から出てきたレイランと廊下で鉢合わせる。
「どう?三人は」
「優秀だよ……オレなんかが教えてていいのかな 。回復魔術は試してみたけどやっぱりオレは使えないらしいし。完全完治、確かに回復系魔術と言えなくもないんだろうけどアレを魔術と言うのは色々とね」
「まあ……確かにね。使えたとしても見せられるような回復魔術じゃないことは確かよね。」
「ミミル以外の二人にはそこは見せても大丈夫そうなんだけどね……話を聞いた感じだと経験値が高いみたいだから」
レイランはやや冷たい視線をユウキに向ける。
「だ、大丈夫!何もしてないって!」
「何も聞いてないんだけど?怪しいわね。」
レイランの顔が近くなるとユウキは顔を赤らめ視線をそらす。レイランもその顔を見て少しだけ顔を赤らめながら、まぁいいわと言うとユウキに言う。
「ユウキ、今日の夜話したい事があるの……時間作ってくれる?出来れば二人で。」
「ティナは遅くまで帰らないって言ってたしな。なら今日は二人で外に食べに行こう」
「うん、約束だからね?」
レイランはそういうと事前にフレミアから頼まれていた買物に行くようだ。
「私もついて行くわ!レイランの方が食べたい物買ってくれるから!」
「午後の実技練習までに戻ってこいよ?」
「あったりまえじゃない!将来の金づ……国民のための治療院を作る第一歩なのよ!」
「フレミア様、目が¥になってますよ?」
「う、うるさいわね!レイランいいから行くわよ!と、とにかくユウキ、国民の為にもなる事何ですからやるわよ!」
(為にも……ですか。)
ユウキはレイランに手を振り見送った後、カルメンの部屋の前に立ち軽くノックする?
「ユウキさんですか?どうぞ」
「入ります」
ユウキはカルメンの部屋に入ると今日の午後の予定を話す。カルメンはいつも通り快諾する。
「講義でね、あの娘達に回復魔術をかけてもらう度に足が良くなっている気がするのよ」
そういうとカルメンは自身の足を触りながら机の上にある瓶を見る。
「当然、アレを使っていた時に比べると明らかに良くなっているわ。足の腫れも少しづつ引いてる気がするしね。」
「まぁ……アレは毒ですからね。中身は?」
「言われた通り、毎日怪しい薬師に言われた通りの数を飲むべき時間に捨ててるわ」
「ありがとうございます。そろそろ中身が無くなりそうですね。明日、明後日にも……来ますかね。」
「多分来るわ。必ず残り六粒になる度に来てたからね。……明日来るはずよ。」
「……明日は彼女達の講義を休みにします。オレはカルメンさんの衣装ケースに入っていつでも出れるようにしておきます。後は段取り通り。」
?
ユウキはカルメンがチラシを持って何か言いたそうにしている事に気づく。
「そのチラシが何か?」
カルメンは言いづらそうにしながらも大きく深呼吸をすると話し始める。
「ユウキさん、私がここで治療院を作ることにして、彼女達三人がここで治療士としてやってくのはわかった。タダで治療してくれる恩には報いるつもりだよ。でもこの大会で踊れるなら……」
「大会で踊る?」
ユウキの反応に知らないの?とカルメンは驚いた反応をする。
「いや、踊り子だったのは聞いてたし、何とか再来週までに治して欲しいというのは聞いてたけど……三週間後は普通の生活が出来て問題ないレベルにとは考えていたんだけど」
そう、その日程で何とか治せるだろうというのがフレミアの計算であった。
しかし、あくまでも普通に歩けて普通に使える程度の話である。
寝ていたり、使っていなかった足を踊るまでに回復……言ってしまえばスポーツ選手が骨折してリハビリして試合に出るようにするようなものである。
(骨折してた部員はどれ位かかっていた?)
ユウキは思い出してみるが、それでもやはり骨がくっついた後からと計算しても少なくとも一ヶ月。
場合によっては三ヶ月から約半年。
怪我の重さや部位や寝てる長さによって回復するまでに時間がかかるし、女性にこういうのはなんだが年齢によっても回復する速度は変わってくる。
「……」
「そうよね、それが普通よね」
ユウキはカルメンを見る。
病気のせいで大分痩せたとはいえ、細い訳ではない。その身体で激しい運動が加えられた体重を治ったばかりの足が支えられるかと聞かれたら難しいと思われる。
テレビで見たことのあるバックダンサー等の踊りで判断するならば無理だろう。あんな五分で汗を滝のように流す運動はまず無理である。
(酒場でレイランがスローテンポの曲で踊っていたようなああいう踊りならば?)
「でも、私はこの大会に出るわ!エントリーも既に頼んであるのよ!」
「その足でエントリーが許されたのか?」
「きっと出来る。彼女が口を聞いてくれれば。」
「……彼女?」
ユウキには思い当たる節があったがとりあえず聞き返しておく。
「レイランよ」
「やっぱりか。カルメンさんはレイランに代わりにこの大会の受付をして来て貰い当日には貴女が出ると?」
「レイランから何も話を聞いてないの?」
「?ああ、初耳だよ」
カルメンは言うべきか迷う。明日にはこの街を出ないと受付には間に合わないのだ。レイランにも考えがあるのだろうが、残される側には早めに伝えておいた方がいいだろう。
「レイランも出るのよ。まだ少し迷ってるようだけど、出ると言ってくれたわ。私は彼女と戦いたいの!踊り子の人生を全て掛けても!だから私が無理を言って出てくれと頼んだのよ。」
「受付はいつなんだ?大会は?」
カルメンは紙をユウキに渡すが、ユウキは受け取り紙を見るとすぐに返す。
「いつなんだ?」
「ユウキさん……貴方、字が読めないの?」
「……事情があってこの国の文字は読めないんだ。そんなことより、日程はいつなんだ?」
カルメンは微かにイラつきの混じったユウキの声に気づき、レイランに悪いと思いつつも答える。
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