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旅(冒険)への準備 まずは状況把握と買い物を
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ユウキは城を出る前に大臣から金貨を受けった際に三つのお願いをしていた。
一つ目は道具
地図とインクとつけペンのセット。
自分の立ち位置を知らなければどこに向かうべきか、向かうさきの道や距離が把握できないからだ。
二つ目は高い所に上らせて欲しい。ようは街や塀などの先がどうなっているかを見る為である。
これには兵士が交代で監視をしている監視塔に上らせてもらう事になった。
三つ目は手形というか通行証である。
他の国でも通じるかはわからないが、商品が流れていたり検問のような場所があった際に余計なトラブルになる可能性があるからだ。
勇者のおまけであるが、一応将来役に立つかもしれない駒だと考えられているのだろう。
比較的に待たず全てを叶えてもらう事ができた。一日か二日は覚悟していたのだが。
携帯電話を見ると県外になっているが内臓されている機能は正常に働いているようだ。
(15時…今日この街を出るのはよした方がいいだろうな。)
監視塔からみた感じでもこの地図の精度には不安がある。緯度や経度などがはっきりとしていないようなのだ。
憶測で書かれている雰囲気も伝わってくるしなにより大雑把すぎるのだ。遠くに行けば行くほどこの地図の精度は下がるだろう。縮尺が合っているかもわからない。
ならば万全を期して旅に出た方がいいだろう。ユウキは一日をこの街で過ごすことに決める。決めたなら行動は早いに越したことはない。
(まずは宿を探し、今日は旅に必要な物を買う日に充てよう。それに色々と情報収集はしておいた方がいいだろう。何かあっても勇者のツレとして庇護される環境にあるうちは。)
レイの事は気に入らないが王家の全面バックアップを使える所で今のうちに使い、先々に起こるであろうリスクを少しでも減らすのは生きていく上で必要な経験として役に立つだろう。
すぐにでもこの街を離れたいが、明日の為に今日は勉強の日とすることにする。
*******************
アーバレスト城下町にて
ここは城を出て地図上では南にある高級官僚などがいかにもいそうな家々を抜けた先にある城下町である。
城と街の間には一部の貴族や騎士が住んでいるらしい地区があり、北と南に門があり騎士が交代で見張りとして立っている。街の市民が城に行くには三つの監視所を抜けないといけないのだ。
監視塔から見た感じでは城から伸びる直線の道をただただ真っすぐに歩けばこのアーバレストという街から出れるようではある。他国に王が行ったりする時や凱旋パレードを行う事を考えての最短の道として作られているのだろう。中央がはっきりとしている方が中心地に近い商店などは栄えるのだろう。
(その分、治安をしっかりと守っていないとスラムのような住居が東西の端に行けば行くほど出来上がるのだろうが。)
ユウキはなるべく騎士団の守る地域に近い宿屋を取ることにする。
よさそうな一軒の宿屋につくと部屋を頼む。見慣れない服装をしているせいか警戒されたのだが、身分証明になるだろうと先程貰ったばかりの通行証を見せると表情がガラリと変わりしかも安く部屋を提供して貰えることになった。
(ただの通行証だと思っていたのだが、一度何が書いてあるか誰かに聞いた方がいいだろうな。)
部屋を開けると部活の時に遠征で使ったビジネスホテルよりやや広めの部屋がそこにはあった。
3人部屋でも大丈夫な広さに木でできたベッドが置いてある。
ベッドがあったことに感動したユウトだが、トイレと風呂は部屋にはついておらず湯浴み場は共有だそうだが、日本のトイレや風呂のイメージと同じではないだろうなと覚悟はしておく。
部屋に行く前に借りたトイレでそれは痛感させられる。共有ではあったが壁に少し隙間が空いており壺のようなものが穴に置いてありそこにするといった形だったからだ。
(思っている以上に苦労しそうだな異世界生活というのは。)
ユウキは荷物を置き財布だけを服に入れ買い出しに出かける。
「おう!部屋はどうだい?」
「ああ、中々広くていい感じだよ。」
「そうかそうか、何せうちはこの国一番の宿屋だからな!」
宿屋の主人は誇らしげに胸を張る。
異世界ではそうなのだろうと思うユウトではあるが機嫌がいい宿屋の主人に微妙な顔を見せられない。わざわざ不快にさせる必要はないだろう。情報を得るには相手の機嫌がいい方がよいに決まっているのだから。
「そうだ。買い物しに外に出たいんだけど荷物を置いていっても大丈夫ですか?」
宿屋の主人は呆れた顔をすると仕方がなさそうにアドバイスをしてくれる。
「…お客様、あんまりそういう事は大きな声で言わない方がいいぞ。まあ、気にしといてやるが普通は自己責任だ。いい宿ほど警備もいいが安い宿に泊まった時は必ず持ち歩け。店の人間も同じ客も信用するな。」
「そうかそうだよね金庫とかないし。こういう街だもんな。ここを借りてよかったよ。」
「あのなー…まあ、褒めてくれているようだからありがとうとは言っとくが。どうにも掴めないお客様だ。そんで何を買いにいくつもりだい?」
「旅に出るので食料や飲み物を入れる袋とか…」
そういうと主人は変な顔をしてこちらを見る。
「見た所、この辺で売っている服じゃないし見慣れない大きな荷物入れを持っているから遠くから来たと思ったんだが気のせいかい?」
「まあ、遠い所だよね。今の所どうやって帰ればいいかも検討がつかないくらいには。」
そういうと何が言いたいかサッパリだと言わんばかりの顔をした後、まあ紹介料も入るから店は教えてやるがと何やらブツブツと言っている。
「遠くから来たなら旅にも慣れてるだろうに変わったお客様だな。さっきの通行証があるからうちに泊めてやったがまさか盗んできたわけじゃないよな?揉め事はごめんだぜ?」
「正真正銘、右大臣?とかいう人から直接手渡して貰った物だからホンモノだよ。なんなら王様に聞いても構わない。」
「げっ、あの右大臣から直接貰ったのか?何者だあんた。普通は委託しているギルド窓口で貰うっていうのに。しかも、あの王様が絡んでいるなんて…本当に厄介事は勘弁してくれよ。」
心底嫌そうな顔をしている。こんな街の状況である元凶の王の名前を出しても街の人にはあまりいい反応は返ってこないようだ。
こうして、宿屋の主人から情報収集をしたあとおススメされた店に立ちより商品を購入していった。
「いいか、これは簡単な街の地図だ。あ、銀貨2枚は頂くが構わないよな?」
「…街の地図に金がかかるとか。」
ないわーと思ったが、治安を考えたうえで渋々了承する。
「まいど!うまく商売をしていかないとな。今の王になってから税率が上がって治安の悪さも商売にしないとやっていけんのよ。だが、丸がついている場所は同じ生産系のギルドや他国の優良ギルドの運営している商店なんだ。ギルドの本拠地は北のソルベハン公国にあるんだがな。おっと話がそれたな。それで、お互いに信頼できそうな人間を紹介し合っていてな。紹介料を出し合っているんだよ。揉め事なくいい客をお互いに紹介し合って売り上げを稼ぐ。こういう街でトラブル少なく生きていくコツなのさ。くれぐれもうちの名前を言い忘れないようにな。」
との事である。そのおかげか確かにいい食材や(何の肉かわからないモノも多々あったが)木でできた水筒などや中身の飲料などまともなものが買えた。
金貨は相当な金額の為、基本は人目につかないよう支払いに使った方がいいなど色々と良心的にアドバイスをくれたり、服装など目立つ事から違和感のない服のコーディネイトまでと夜までに順調に買い物を終える事ができた。
荷物を置くため部屋に戻ると宿屋の主人にお礼を言っておいた。紹介して貰った所はどこも親切で丁寧だったという話をしたところ
「まあ、だろうな。」
と荷物を見て苦笑いをしていた。相場がわからないから言い値で買っていた話をした所、大抵この街の兵士や住民はこういう状況だから値切る事が前提になっているらしい。だから初めは少し高めに設定しているらしくそれでもいいと勝ってくれる客にはぜひとも贔屓にしてもらいたいと思うのは当然だろうとの事だ。
「そうだ。飯は食ったかい?」
「いや、まだだけど…」
異世界の街に初めて来ていきなり食事処で食べるというのは勇気がいるものだ。なので、安心できそうなこの宿屋で取ろうとしていたのだ。
「そうだな。酒のでない店はないからな。しかもこの街ではトラブルばかりだ。」
話を聞くと冒険者ギルドなど異世界らしくそういった魔物と戦う職種もあるらしい。そういう荒くれ者たちや性質の悪いこの国の兵士などが酒場に毎日のように繰り出しているらしくもめ事が絶えないそうだ。
「なのでお前さんの判断は正しいといえよう。」
なぜか凄い偉そうにうんうんと頷きながら肩を叩いてくる。
「だが、若いうちは冒険も必要だ!もう15歳は過ぎてるんだろう?ならば遊びも覚える事が大事だ!つまらん大人になっちまうぞ。」
異世界に来て色々と忘れたい事があった為、買い物や歩き回る事で雑念を消すようにしていたのでだいぶ疲れているのだ。外で食べるのも悪くないが、安心安全を初日は取っておきたい。スラムが近くにある所で夜出歩くのは危険だろう。
「ここで食べた方が店もいいでしょう?」
「ああ。気にするな。紹介料で元は取ってるしな。お前さんには不思議と興味があってな。」
「……ゲイ。」
「違うわ!見ろ従業員が変な顔をしているじゃないか、俺はノーマルだ!」
主人は言うと一枚のチケットを渡してくる。
「お前さんを見てると面白くてな。あまりに無知だがいい奴だし礼儀もなっている。羽振りもいいからら貴族かと思えば貴族の振る舞いはしていない。こうなると、この世界の人間じゃないような気さえしてくる。」
(鋭いなこの人。伊達に毎日色んな客をみてないな。)
関心していると主人は周りを見ると耳打ちをしてくる。
「だからこれをやる。治安の心配も無用だ。なんせ店は斜め前の酒場だ。紹介がないと入れない店でな。しかも、今日は月に一度の特別なイベントもある。まあお前さんには関係ないだろうがうちみたいな所にはいい掘り出し物がいたりするんだわ。まあ、普通に安心できる店で美味いもんを食べて旅に備えてくれ!出会えた幸運に感謝ってやつだ。旅するってことはカルマン王国にも行くかもしれないだろう?あとひと月もすればこの街から出る予定だったんだ。ますます治安が悪くなっているからな。カルマンで会うかもしれんからな優良なお客様に対しての先行投資ってやつだ。…忙しくて今日は行けそうになく券がもったいないってのも本音だが。」
そこまで言われたら貰うしかない。
「貴族でも入れない奴がいるくらい人気があるんだぜ!後は行ってのお楽しみだ。」
一つ目は道具
地図とインクとつけペンのセット。
自分の立ち位置を知らなければどこに向かうべきか、向かうさきの道や距離が把握できないからだ。
二つ目は高い所に上らせて欲しい。ようは街や塀などの先がどうなっているかを見る為である。
これには兵士が交代で監視をしている監視塔に上らせてもらう事になった。
三つ目は手形というか通行証である。
他の国でも通じるかはわからないが、商品が流れていたり検問のような場所があった際に余計なトラブルになる可能性があるからだ。
勇者のおまけであるが、一応将来役に立つかもしれない駒だと考えられているのだろう。
比較的に待たず全てを叶えてもらう事ができた。一日か二日は覚悟していたのだが。
携帯電話を見ると県外になっているが内臓されている機能は正常に働いているようだ。
(15時…今日この街を出るのはよした方がいいだろうな。)
監視塔からみた感じでもこの地図の精度には不安がある。緯度や経度などがはっきりとしていないようなのだ。
憶測で書かれている雰囲気も伝わってくるしなにより大雑把すぎるのだ。遠くに行けば行くほどこの地図の精度は下がるだろう。縮尺が合っているかもわからない。
ならば万全を期して旅に出た方がいいだろう。ユウキは一日をこの街で過ごすことに決める。決めたなら行動は早いに越したことはない。
(まずは宿を探し、今日は旅に必要な物を買う日に充てよう。それに色々と情報収集はしておいた方がいいだろう。何かあっても勇者のツレとして庇護される環境にあるうちは。)
レイの事は気に入らないが王家の全面バックアップを使える所で今のうちに使い、先々に起こるであろうリスクを少しでも減らすのは生きていく上で必要な経験として役に立つだろう。
すぐにでもこの街を離れたいが、明日の為に今日は勉強の日とすることにする。
*******************
アーバレスト城下町にて
ここは城を出て地図上では南にある高級官僚などがいかにもいそうな家々を抜けた先にある城下町である。
城と街の間には一部の貴族や騎士が住んでいるらしい地区があり、北と南に門があり騎士が交代で見張りとして立っている。街の市民が城に行くには三つの監視所を抜けないといけないのだ。
監視塔から見た感じでは城から伸びる直線の道をただただ真っすぐに歩けばこのアーバレストという街から出れるようではある。他国に王が行ったりする時や凱旋パレードを行う事を考えての最短の道として作られているのだろう。中央がはっきりとしている方が中心地に近い商店などは栄えるのだろう。
(その分、治安をしっかりと守っていないとスラムのような住居が東西の端に行けば行くほど出来上がるのだろうが。)
ユウキはなるべく騎士団の守る地域に近い宿屋を取ることにする。
よさそうな一軒の宿屋につくと部屋を頼む。見慣れない服装をしているせいか警戒されたのだが、身分証明になるだろうと先程貰ったばかりの通行証を見せると表情がガラリと変わりしかも安く部屋を提供して貰えることになった。
(ただの通行証だと思っていたのだが、一度何が書いてあるか誰かに聞いた方がいいだろうな。)
部屋を開けると部活の時に遠征で使ったビジネスホテルよりやや広めの部屋がそこにはあった。
3人部屋でも大丈夫な広さに木でできたベッドが置いてある。
ベッドがあったことに感動したユウトだが、トイレと風呂は部屋にはついておらず湯浴み場は共有だそうだが、日本のトイレや風呂のイメージと同じではないだろうなと覚悟はしておく。
部屋に行く前に借りたトイレでそれは痛感させられる。共有ではあったが壁に少し隙間が空いており壺のようなものが穴に置いてありそこにするといった形だったからだ。
(思っている以上に苦労しそうだな異世界生活というのは。)
ユウキは荷物を置き財布だけを服に入れ買い出しに出かける。
「おう!部屋はどうだい?」
「ああ、中々広くていい感じだよ。」
「そうかそうか、何せうちはこの国一番の宿屋だからな!」
宿屋の主人は誇らしげに胸を張る。
異世界ではそうなのだろうと思うユウトではあるが機嫌がいい宿屋の主人に微妙な顔を見せられない。わざわざ不快にさせる必要はないだろう。情報を得るには相手の機嫌がいい方がよいに決まっているのだから。
「そうだ。買い物しに外に出たいんだけど荷物を置いていっても大丈夫ですか?」
宿屋の主人は呆れた顔をすると仕方がなさそうにアドバイスをしてくれる。
「…お客様、あんまりそういう事は大きな声で言わない方がいいぞ。まあ、気にしといてやるが普通は自己責任だ。いい宿ほど警備もいいが安い宿に泊まった時は必ず持ち歩け。店の人間も同じ客も信用するな。」
「そうかそうだよね金庫とかないし。こういう街だもんな。ここを借りてよかったよ。」
「あのなー…まあ、褒めてくれているようだからありがとうとは言っとくが。どうにも掴めないお客様だ。そんで何を買いにいくつもりだい?」
「旅に出るので食料や飲み物を入れる袋とか…」
そういうと主人は変な顔をしてこちらを見る。
「見た所、この辺で売っている服じゃないし見慣れない大きな荷物入れを持っているから遠くから来たと思ったんだが気のせいかい?」
「まあ、遠い所だよね。今の所どうやって帰ればいいかも検討がつかないくらいには。」
そういうと何が言いたいかサッパリだと言わんばかりの顔をした後、まあ紹介料も入るから店は教えてやるがと何やらブツブツと言っている。
「遠くから来たなら旅にも慣れてるだろうに変わったお客様だな。さっきの通行証があるからうちに泊めてやったがまさか盗んできたわけじゃないよな?揉め事はごめんだぜ?」
「正真正銘、右大臣?とかいう人から直接手渡して貰った物だからホンモノだよ。なんなら王様に聞いても構わない。」
「げっ、あの右大臣から直接貰ったのか?何者だあんた。普通は委託しているギルド窓口で貰うっていうのに。しかも、あの王様が絡んでいるなんて…本当に厄介事は勘弁してくれよ。」
心底嫌そうな顔をしている。こんな街の状況である元凶の王の名前を出しても街の人にはあまりいい反応は返ってこないようだ。
こうして、宿屋の主人から情報収集をしたあとおススメされた店に立ちより商品を購入していった。
「いいか、これは簡単な街の地図だ。あ、銀貨2枚は頂くが構わないよな?」
「…街の地図に金がかかるとか。」
ないわーと思ったが、治安を考えたうえで渋々了承する。
「まいど!うまく商売をしていかないとな。今の王になってから税率が上がって治安の悪さも商売にしないとやっていけんのよ。だが、丸がついている場所は同じ生産系のギルドや他国の優良ギルドの運営している商店なんだ。ギルドの本拠地は北のソルベハン公国にあるんだがな。おっと話がそれたな。それで、お互いに信頼できそうな人間を紹介し合っていてな。紹介料を出し合っているんだよ。揉め事なくいい客をお互いに紹介し合って売り上げを稼ぐ。こういう街でトラブル少なく生きていくコツなのさ。くれぐれもうちの名前を言い忘れないようにな。」
との事である。そのおかげか確かにいい食材や(何の肉かわからないモノも多々あったが)木でできた水筒などや中身の飲料などまともなものが買えた。
金貨は相当な金額の為、基本は人目につかないよう支払いに使った方がいいなど色々と良心的にアドバイスをくれたり、服装など目立つ事から違和感のない服のコーディネイトまでと夜までに順調に買い物を終える事ができた。
荷物を置くため部屋に戻ると宿屋の主人にお礼を言っておいた。紹介して貰った所はどこも親切で丁寧だったという話をしたところ
「まあ、だろうな。」
と荷物を見て苦笑いをしていた。相場がわからないから言い値で買っていた話をした所、大抵この街の兵士や住民はこういう状況だから値切る事が前提になっているらしい。だから初めは少し高めに設定しているらしくそれでもいいと勝ってくれる客にはぜひとも贔屓にしてもらいたいと思うのは当然だろうとの事だ。
「そうだ。飯は食ったかい?」
「いや、まだだけど…」
異世界の街に初めて来ていきなり食事処で食べるというのは勇気がいるものだ。なので、安心できそうなこの宿屋で取ろうとしていたのだ。
「そうだな。酒のでない店はないからな。しかもこの街ではトラブルばかりだ。」
話を聞くと冒険者ギルドなど異世界らしくそういった魔物と戦う職種もあるらしい。そういう荒くれ者たちや性質の悪いこの国の兵士などが酒場に毎日のように繰り出しているらしくもめ事が絶えないそうだ。
「なのでお前さんの判断は正しいといえよう。」
なぜか凄い偉そうにうんうんと頷きながら肩を叩いてくる。
「だが、若いうちは冒険も必要だ!もう15歳は過ぎてるんだろう?ならば遊びも覚える事が大事だ!つまらん大人になっちまうぞ。」
異世界に来て色々と忘れたい事があった為、買い物や歩き回る事で雑念を消すようにしていたのでだいぶ疲れているのだ。外で食べるのも悪くないが、安心安全を初日は取っておきたい。スラムが近くにある所で夜出歩くのは危険だろう。
「ここで食べた方が店もいいでしょう?」
「ああ。気にするな。紹介料で元は取ってるしな。お前さんには不思議と興味があってな。」
「……ゲイ。」
「違うわ!見ろ従業員が変な顔をしているじゃないか、俺はノーマルだ!」
主人は言うと一枚のチケットを渡してくる。
「お前さんを見てると面白くてな。あまりに無知だがいい奴だし礼儀もなっている。羽振りもいいからら貴族かと思えば貴族の振る舞いはしていない。こうなると、この世界の人間じゃないような気さえしてくる。」
(鋭いなこの人。伊達に毎日色んな客をみてないな。)
関心していると主人は周りを見ると耳打ちをしてくる。
「だからこれをやる。治安の心配も無用だ。なんせ店は斜め前の酒場だ。紹介がないと入れない店でな。しかも、今日は月に一度の特別なイベントもある。まあお前さんには関係ないだろうがうちみたいな所にはいい掘り出し物がいたりするんだわ。まあ、普通に安心できる店で美味いもんを食べて旅に備えてくれ!出会えた幸運に感謝ってやつだ。旅するってことはカルマン王国にも行くかもしれないだろう?あとひと月もすればこの街から出る予定だったんだ。ますます治安が悪くなっているからな。カルマンで会うかもしれんからな優良なお客様に対しての先行投資ってやつだ。…忙しくて今日は行けそうになく券がもったいないってのも本音だが。」
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