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異世界初の酒場1(マスターと話そう)
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言われるがままに案内された酒場の扉を開くとそこには大人の世界が広がっていた。
ウエスタン映画で見たような風景がそこにはあった。ガンマンはいないが代わりに冒険者がカウンターにて酒を頼み、中央など一定の間隔で置かれた四人掛けのテーブル席には騎士や貴族風の男達が食事と酒を楽しんでいた。
(まさに異世界の酒場って感じだ。)
色々な事を忘れ純粋にワクワクを感じていた。
「よお、兄さん。ここは初めてかい?」
ボディービルダーのような筋肉が服からはみ出しているエプロン姿のひげ面の男が惚けていた俺に声をかけてくる。
「ええと…はい。」
「紹介状はあるかい?今日はその中でもビップ券がない奴は入れない事になっているんだが。」
宿屋の主人に貰ったチケットを手渡す。
「なんだ。パッキオの紹介か。あー、あいつの紹介客だから優遇してやりたいが今日は月一度の特別な日でな…正面の踊り場の右奥の隅しか空いてないんだが構わないかい?」
「ええ、ここには食事をしにきただけなので。腕がよくて美味いって宿屋のパッキオさん?が言っていました。」
「ほお。パッキオがな…アイツに言われると照れクセーが。おっと、アイツには言うんじゃねーぞ。」
「はい。わかりました。」
「まあ。楽しんでいってくれよ。食事はお任せでいいかい?そうすればお楽しみの時間までに料理を出し終える事ができて集中してイベントを見れるように調整するからよ。そうだな銀貨5枚でシェフのお任せコースってのでどうだ。」
「わかりました。それでお願いします。」
「冗談だよ…っていいのかい!お前さん高級なうちの店での普通の食事の5倍の値段だぞ。普通の店じゃ、肉料理は銅5枚その10倍の値段だぞ?」
「冗談だったんですか。すいません、この国に来て間もないので相場がわからないんですよ。」
「いや、相場って…どこの国でもよ。」
変なやつだなという風にジロジロと見られている。
「ま、まあいいや銀貨5枚なら貴族じゃないが特別にその後の権利もつけてやるか。」
「その後の権利?そうだ。ついでに金貨一枚で食事だけじゃなくその権利と情報を教えて頂けませんか?あと金貨は銀貨何枚分の価値があるんですか?」
「金貨って…ちょっと待ってろ。パッキオの奴が自分が来ないでチケットを渡したくらいだ。普通の奴を紹介する訳がなかったな。おい!ルーシー!後は任せる!お前が指示だして調理、配膳指示だせ!後、オレの所に特製裏メニューのAを2つもって来い!エール2つもな。」
近くを通った従業員(この世界にもメイド服あるんだ。)に指示を出すと奥の席に自ら案内し僕の正面に座る。
「そうだな、まずは自己紹介といこう超VIP客さん。俺はこの酒場のマスターであり裏の商人でもあるドンコネロというもんだ。お前さんは?」
「俺はユウキと言います。」
「ユウキか。オーケーだ、今からユウキと呼ばせてもらうぞ?俺の事は呼びずらければドンと
呼んでくれ。」
「わかりましたドン。」
俺は頷くと丁度メイドさんが飲み物を持って来てくれた所だったのだがどこかで躓いたのか危うくグラスの中身をマスターの前でこぼしそうになってしまっていた。
「ははっ、パッキオの奴は面白い奴を見つけたな…躊躇なくドンと呼ぶとは!はっはっはっ面白れー!それじゃー、素晴らしき出会いと酒の女神に乾杯!」
「乾杯!」
…これ、アレだな。飲んだことないが泡立ちといいアレだよな。
「ドンさん」
「ドンと呼べ。お前は気に入った敬語もいらん。背筋が痒くなる。」
「じゃー遠慮なく、ドン聞いていいか?」
ドンは酒を一気飲みするとメイドに追加を要求する。メイドはこちらをチラチラと気にして見ているがオレのグラスはまだ空いていないのでおかわりはいらない。この飲み物の初心者なのだからペースは様子を見て決めよう。
「ああ、構わんよ。」
「この世界の通貨について教えて欲しい。後、情報も。」
「オレの食事代と情報とこの後の権利をつけてもお釣りがでるわ。そんなんでいいのかと言いたいくらいだ。その前に一つだけ、俺は酒場のマスターであり裏の商人だ。情報なども当然売買している。が、俺は俺の気に入ったやつの情報は絶対に漏らさない。それを前提として信用をして貰えるならば先に二、三質問に答えちゃくれないか?」
正面から見据えられる。そこには嘘やごまかしを許さないという鋭い視線がある。
特に言うなとも言われていないから何を聞かれても正直に答えて構わないだろうと自分の中で結論づける。
「ええ、情報交換ですね。」
「金を貰っているからな。ちと意味合いが違うがまあ興味が沸いたから単純にお前さんを知りたいと思ったそんなところだ。」
ドンは一つ目の質問をする。
「お前さんギルドには入っているか?」
「いいえ、ギルドと呼ばれる登録所にはまだ行った事がありませんが旅をしながら冒険をしたいなとは考えています。」
「なら、明日にでも登録した方がいいだろうな。」
ドンは二つ目の質問をする。
「お前さんは一人か?」
「正確には今は一人です。王城に知っている同郷の人間が二人います。」
「城だって?今あの城はちとキナ臭いんだが…お前さんの同郷ね。」
ドンは三つ目の最後の質問をする。
「お前さんの出身はどこだ?もしかして勇者か?」
秘密裏に勇者を召喚していたわけではないらしい。なら答えても問題ないだろう。
「最後、二つになってますよドンさん。俺は勇者ではありませんが、異世界から来た人間です。」
異世界から来たという与太話とも取られる答えを聞きドンは大きく息をつく。
「まさか本当に勇者を降臨させていたとはな…」
「すいません、俺は勇者じゃないですけどね。」
「いや、そういう意味じゃないが。そもそも国王は異世界の勇者の召喚についてはおおっぴらに公言しておるからな。自分の権威を見せつける為と、他の諸国への牽制の為にな。だとするとあの噂も本当なのだろうな。」
あの噂とはなんなのだろうか?
「正直に話してくれた例だ。一から色々と教えてやろう。おっと食事も来たみたいだ。食べながら話すとしよう。」
「信じるんですか?こんな話。」
「ん?ああ俺の経験からしてお前は嘘を言ってない。それに召喚に成功したという話は流れてきたからな。俺の情報網を甘く見るな。」
そういうと笑いながら酒を飲み干す。そして食事をしながらドンに色々と教えて貰う。
この世界の通貨に関して大体の生活用品は銅貨で支払うようだ。
硬貨を表にすると
1円 この世界になし。
10円 銅貨一枚。ただし千円までは銅貨で対応。
1000円 銀貨一枚。ただし10万までは銀貨で対応。
10万円 金貨一枚。これ以上の硬貨なし。
こうなるようだ。小銭などや銀貨などすべてを持っていると重くてしょうがない為、基本はギルドカードに入れるそうだ。こんな文化の所で預金カードのような機能が働いているのには驚きだがいちいち金額のすべてを持ち歩かずにすむのは非常にありがたい。
「金貨は持たないほうがいいが、持っても財布とは別に服の一部に縫って隠すなどして非常時に使用する一枚だけにしておけ。」
との事である。それにしてもギルドカードか早めに手に入れた方がいいだろう。
ドンはそのあとも食べながらこの国の事や他国の状況など色々と語ってくれた。
食事を終えると話も終了となる。1時間程ではあったが有意義な時間であった。
「異世界のお前さんにはこの世界の情勢なぞまだ関係ないだろうからな。ついつい話しちゃいけない情報も話してしまったわ。」
冗談なのか本気なのかは読み取れなかったがドンはそういうと正面に座っていた椅子を左にずらし踊り場が俺の視界に入るように移動する。
「ちょうどいい時間だ。うちの人気のイベントが始まる。異世界にもこういう娯楽はあるだろうが、ユウキはこういうのは初めてか?後で感想を聞かせてくれ。」
そういうとドンは踊り場を指さす。
その視線の先を追っていくと照明のランタンの火が一度すべて消え真っ暗になる。そのすぐ後に踊り場だけを囲むように松明に火がつけられる。
するとそこには薄い布を着ただけの四人の女性が踊り場に立っていた。
ウエスタン映画で見たような風景がそこにはあった。ガンマンはいないが代わりに冒険者がカウンターにて酒を頼み、中央など一定の間隔で置かれた四人掛けのテーブル席には騎士や貴族風の男達が食事と酒を楽しんでいた。
(まさに異世界の酒場って感じだ。)
色々な事を忘れ純粋にワクワクを感じていた。
「よお、兄さん。ここは初めてかい?」
ボディービルダーのような筋肉が服からはみ出しているエプロン姿のひげ面の男が惚けていた俺に声をかけてくる。
「ええと…はい。」
「紹介状はあるかい?今日はその中でもビップ券がない奴は入れない事になっているんだが。」
宿屋の主人に貰ったチケットを手渡す。
「なんだ。パッキオの紹介か。あー、あいつの紹介客だから優遇してやりたいが今日は月一度の特別な日でな…正面の踊り場の右奥の隅しか空いてないんだが構わないかい?」
「ええ、ここには食事をしにきただけなので。腕がよくて美味いって宿屋のパッキオさん?が言っていました。」
「ほお。パッキオがな…アイツに言われると照れクセーが。おっと、アイツには言うんじゃねーぞ。」
「はい。わかりました。」
「まあ。楽しんでいってくれよ。食事はお任せでいいかい?そうすればお楽しみの時間までに料理を出し終える事ができて集中してイベントを見れるように調整するからよ。そうだな銀貨5枚でシェフのお任せコースってのでどうだ。」
「わかりました。それでお願いします。」
「冗談だよ…っていいのかい!お前さん高級なうちの店での普通の食事の5倍の値段だぞ。普通の店じゃ、肉料理は銅5枚その10倍の値段だぞ?」
「冗談だったんですか。すいません、この国に来て間もないので相場がわからないんですよ。」
「いや、相場って…どこの国でもよ。」
変なやつだなという風にジロジロと見られている。
「ま、まあいいや銀貨5枚なら貴族じゃないが特別にその後の権利もつけてやるか。」
「その後の権利?そうだ。ついでに金貨一枚で食事だけじゃなくその権利と情報を教えて頂けませんか?あと金貨は銀貨何枚分の価値があるんですか?」
「金貨って…ちょっと待ってろ。パッキオの奴が自分が来ないでチケットを渡したくらいだ。普通の奴を紹介する訳がなかったな。おい!ルーシー!後は任せる!お前が指示だして調理、配膳指示だせ!後、オレの所に特製裏メニューのAを2つもって来い!エール2つもな。」
近くを通った従業員(この世界にもメイド服あるんだ。)に指示を出すと奥の席に自ら案内し僕の正面に座る。
「そうだな、まずは自己紹介といこう超VIP客さん。俺はこの酒場のマスターであり裏の商人でもあるドンコネロというもんだ。お前さんは?」
「俺はユウキと言います。」
「ユウキか。オーケーだ、今からユウキと呼ばせてもらうぞ?俺の事は呼びずらければドンと
呼んでくれ。」
「わかりましたドン。」
俺は頷くと丁度メイドさんが飲み物を持って来てくれた所だったのだがどこかで躓いたのか危うくグラスの中身をマスターの前でこぼしそうになってしまっていた。
「ははっ、パッキオの奴は面白い奴を見つけたな…躊躇なくドンと呼ぶとは!はっはっはっ面白れー!それじゃー、素晴らしき出会いと酒の女神に乾杯!」
「乾杯!」
…これ、アレだな。飲んだことないが泡立ちといいアレだよな。
「ドンさん」
「ドンと呼べ。お前は気に入った敬語もいらん。背筋が痒くなる。」
「じゃー遠慮なく、ドン聞いていいか?」
ドンは酒を一気飲みするとメイドに追加を要求する。メイドはこちらをチラチラと気にして見ているがオレのグラスはまだ空いていないのでおかわりはいらない。この飲み物の初心者なのだからペースは様子を見て決めよう。
「ああ、構わんよ。」
「この世界の通貨について教えて欲しい。後、情報も。」
「オレの食事代と情報とこの後の権利をつけてもお釣りがでるわ。そんなんでいいのかと言いたいくらいだ。その前に一つだけ、俺は酒場のマスターであり裏の商人だ。情報なども当然売買している。が、俺は俺の気に入ったやつの情報は絶対に漏らさない。それを前提として信用をして貰えるならば先に二、三質問に答えちゃくれないか?」
正面から見据えられる。そこには嘘やごまかしを許さないという鋭い視線がある。
特に言うなとも言われていないから何を聞かれても正直に答えて構わないだろうと自分の中で結論づける。
「ええ、情報交換ですね。」
「金を貰っているからな。ちと意味合いが違うがまあ興味が沸いたから単純にお前さんを知りたいと思ったそんなところだ。」
ドンは一つ目の質問をする。
「お前さんギルドには入っているか?」
「いいえ、ギルドと呼ばれる登録所にはまだ行った事がありませんが旅をしながら冒険をしたいなとは考えています。」
「なら、明日にでも登録した方がいいだろうな。」
ドンは二つ目の質問をする。
「お前さんは一人か?」
「正確には今は一人です。王城に知っている同郷の人間が二人います。」
「城だって?今あの城はちとキナ臭いんだが…お前さんの同郷ね。」
ドンは三つ目の最後の質問をする。
「お前さんの出身はどこだ?もしかして勇者か?」
秘密裏に勇者を召喚していたわけではないらしい。なら答えても問題ないだろう。
「最後、二つになってますよドンさん。俺は勇者ではありませんが、異世界から来た人間です。」
異世界から来たという与太話とも取られる答えを聞きドンは大きく息をつく。
「まさか本当に勇者を降臨させていたとはな…」
「すいません、俺は勇者じゃないですけどね。」
「いや、そういう意味じゃないが。そもそも国王は異世界の勇者の召喚についてはおおっぴらに公言しておるからな。自分の権威を見せつける為と、他の諸国への牽制の為にな。だとするとあの噂も本当なのだろうな。」
あの噂とはなんなのだろうか?
「正直に話してくれた例だ。一から色々と教えてやろう。おっと食事も来たみたいだ。食べながら話すとしよう。」
「信じるんですか?こんな話。」
「ん?ああ俺の経験からしてお前は嘘を言ってない。それに召喚に成功したという話は流れてきたからな。俺の情報網を甘く見るな。」
そういうと笑いながら酒を飲み干す。そして食事をしながらドンに色々と教えて貰う。
この世界の通貨に関して大体の生活用品は銅貨で支払うようだ。
硬貨を表にすると
1円 この世界になし。
10円 銅貨一枚。ただし千円までは銅貨で対応。
1000円 銀貨一枚。ただし10万までは銀貨で対応。
10万円 金貨一枚。これ以上の硬貨なし。
こうなるようだ。小銭などや銀貨などすべてを持っていると重くてしょうがない為、基本はギルドカードに入れるそうだ。こんな文化の所で預金カードのような機能が働いているのには驚きだがいちいち金額のすべてを持ち歩かずにすむのは非常にありがたい。
「金貨は持たないほうがいいが、持っても財布とは別に服の一部に縫って隠すなどして非常時に使用する一枚だけにしておけ。」
との事である。それにしてもギルドカードか早めに手に入れた方がいいだろう。
ドンはそのあとも食べながらこの国の事や他国の状況など色々と語ってくれた。
食事を終えると話も終了となる。1時間程ではあったが有意義な時間であった。
「異世界のお前さんにはこの世界の情勢なぞまだ関係ないだろうからな。ついつい話しちゃいけない情報も話してしまったわ。」
冗談なのか本気なのかは読み取れなかったがドンはそういうと正面に座っていた椅子を左にずらし踊り場が俺の視界に入るように移動する。
「ちょうどいい時間だ。うちの人気のイベントが始まる。異世界にもこういう娯楽はあるだろうが、ユウキはこういうのは初めてか?後で感想を聞かせてくれ。」
そういうとドンは踊り場を指さす。
その視線の先を追っていくと照明のランタンの火が一度すべて消え真っ暗になる。そのすぐ後に踊り場だけを囲むように松明に火がつけられる。
するとそこには薄い布を着ただけの四人の女性が踊り場に立っていた。
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