明るいパーティー(家族)計画!勇者になれなかった僕は…

にゃも

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冒険者ギルド(適性検査と妖精と)

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 「ここが冒険者ギルドよ。」

 レイランに案内され冒険者ギルドに到着する。

 剣がクロスしている紋章旗。冒険者ギルドを街で見つける時はこれを目印にするといいらしい。

 それにしても、この街の歌姫であるレイランを引き連れているせいだろうか、はたまた単純に美女と美少女の二人を連れているからだろうか、先程からユウキに対して集まる視線が鋭く痛い。あからさまに舌打ちをする輩もいるくらいだ。

 (レイランはフードくらい被ってくれないだろうか。)

 レイランに言わせるとセットした髪が乱れるのが嫌だとの事である。女性は身だしなみを気にするものというのは知っているが多少は有名人としての自覚を持ってもらいたいものである。

 冒険者ギルドの中に入ると思い描いていた光景とは違った雰囲気が漂っていた。正確には想像していた雰囲気が漂っていなかったから予想に反した光景であったと言うべきか。

 「…人が全然いないんだが?」

 黙々と床をモップがけしている女性が一人いるだけである。

 「それはそうよ。こんな時間に来る冒険者ってあんまりいないからね。」

 独り言に返してくれたのはホールを掃除していた女性である。

 「その様子だとこの時間に冒険者ギルドに来るのは初めてだね?おや、ギルドカードも手に持ってないところを見ると…新人のチェリーボーイさんかな?私はリズリー。リズって呼んでね。」

 そういうと手を前に出してきた。何故てのひらを上にしているのかわからないが名乗り返す事にする。

 「あ、どうも俺はユウキです。」

 とりあえず、手を出してきた人には握手だろうと思い手を握ろうとしてかわされる。そして、モップを手短の椅子に立てかけると左手に腰をあてながら、かわした手の人差し指だけを立て左右にフリフリとする。

 「ノンノン!握手じゃなくて、お・か・ね!登録料の銀貨1枚を払ってってこと。あ、三人で銀貨三枚だから。」

 (そういう事か。)

 ユウキは財布から銀貨を三枚を渡す。

 「まいどあり!やっぱりチェリーさんだったんだねー。そうそう、先にお姉さんが教えてあげると冒険者ギルドに入る時は一応俺たちは冒険者だぞってこのギルドカードをこうして冒険者ギルドの職員に見せてから入る事になっているからね!除名された人が出入りしていないかとか、関係ない人が入ってきて物を盗むとか情報を盗む奴がいないかとか…意外と冒険者ギルドの職員も大変なのよ。ほんと、世知辛い世の中よね…。」

 そういうと、遠い目をするリズ。直近で何か嫌な事でもあったのだろうか。

 「一つ冒険者の心得を覚えた所でとりあえずこっちにきてこの白い何も書かれていないカードを持ってこの魔法陣に入って。一人ずつだからね!」

 彼女のジェットコースターなみの高低あるテンションの波と急に話が進む進行の速さに若干置いていかれ気味だが言われた通りにする。

 「じゃーこれを一つずつ。」

 ユウキは二人に一枚づつカードを渡す。

 「私も?まあ、お客さんに見せてもらったり自慢されたことがあったから気にはなっていたのだけれども。まさか私が冒険者ギルドのカードを持つことになるとは思わなかったわね。でも少し面白そう。自分のステータスが分かるって。」

 レイランはユウキからカードを受け取ると一番始めに魔法陣の中に入る。

 「ん?ステータス?このカードで調べるのか。自分の事が数値としてわかる…身分証と貯金カードくらいに思っていたのだが。」

 なんだろうこの異世界ならではの不思議な便利道具。誰が作ったとか、何でできているのとか普通は疑問に思うだろうにレイランもティナもそんな事を考えていない。これはこういう物だと決まっているからで完結しているようだ。明らかに異世界からもたらされたような別次元の便利道具だろうに。

 (…考えるのは後にしよう。抜け出せなくなりそうだ。)

 ユウキが頭を押さえるとまだ二日酔い?とティナが心配そうに下から顔を覗き込んでくる。

 それに大丈夫!大丈夫!というと慌てて視線をそらす。

 これが終わったら旅の前に服屋に寄ろう。ティナはレイランと違い奴隷扱いだった為、服がそもそもあまり貰えてなかったのだろう。

 現在、ティナは踊り子の格好で街中を歩くわけにはいかないので元々持っていたという太ももが強調された短めの短パンと少し大きめの服に首元がよれよれになったTシャツのようなものを着ているだけである。服の裾は短パンに入れて貰っている。アンバランスで見目は悪いが上着しか着てないように見えるよりはいいだろう。ユウキと着ている本人は気にしていなかったが、レイランにそのままで連れて行こうとしたら流石に世間の目を気にしなさい!と注意されたのだ。お前も世間の目を注意しろよとは心の中で言ってやった。

 なのでこうしてティナに下から覗き込まれるとこちらは逆に上から覗き込めるのである。ブラジャーというものはレイランがしていた為、この世界にもある事がわかっているのだがティナは持っていなかったのだ。

 その発育途上の二つの双丘にポツンとある淡いピンクの……

 「聞いてる!そこの新人君。おいチェリー!」

 「ちぇ、チェリーとか何の事かよくわからないが決めつけはよくないぞ!話は聞いてる!」

 「ああ、そう。2回目だけど一応言っておくとステータスは細かく数値では出てはこない!んだけど…まあAとかBとかCとか大雑把にはわかるのだけれども。実力があがると勝手にこの魔法陣が教えてくれるんですよ。この大陸のどこの冒険者ギルドでもこの魔法陣があるから定期的に入ることをお勧めします。何故ならそのランクによって受けられる仕事内容が変わるからです!ランクが上がれば仕事も増える、難しくやりがいがある依頼が受けられる、お金も大金が入る、ピンクな頭の人の死亡率も高くなるわけデスしね!」

 (最後のは明るくいう事ではないような気がするが…変な変換入ってるし。)

 「まーこの魔法陣の中に入る時は周りに注意ですけれどもね。なんせランクが魔法陣の色でバレます。これは地域によってある所のない所があるんですがね。作った人はお茶目ですよね。」

 「へー、じゃあここの魔法陣では色で識別しているのですね。何色がいいとか教えて頂けますか?」

 構いませんよ。というと一枚のボードを受付から取ってきて見せられる。

 「ま~だ~?」

 という待ちぼうけをくらっているレイランには悪いがもう少し待ってもらう。

 色は上から金・銀・黒・赤・緑となっているようだ。字は読めないが最高ランクはこの金なのだろう。

 「ええ、ですから見事にバレます。見ていてください。光ります!では準備はいいですか?レイランさん。」

 「……ええ。ずっと前からいいわよ。」

 何やら唱え始めたリズを見ているとティナが先程のカードの話に追加で注意をしてくれる。

 「ご主人様、冒険者の持つカードはとても便利だけど危険でもあります。能力値など相手にバレるとやっかいだから普段は人に見せず隠し持ってる人が多いよ。たとえパーティー同士であっても初対面の知らない人には絶対に見せちゃダメって言ってた。昔、盗賊団の人が言ってたけど冒険者ギルドでこれみよがしに俺は強いっていってるやつのギルドカードを盗み見て、身体能力だけで特殊な能力も魔法も使えないアホにあえて正面から狙いを定めてやったぜ…って育ててくれたオヤジが酔っ払いながら言ってた事があったから。」

 「確かにランクや能力が見えるのは危険だよな。」

 「でも、ランクが全てでもないとも言ってたよ。」

 ティナと話しているうちにレイランが乗っている魔法陣が緑と赤の間をさまよいながら光始める。

 「おおっ!始まったみたいだな!とりあえず初めて魔法を見たよ。」

 光り輝く床にユウキは感動する。

 「正しくは魔術と錬金術の応用なんで魔法じゃないみたいですけれどね。よくわかりませんがっと。」

 リズはふうとため息を吐くと一人終わりっと言いレイランが戻ってくる。ティナに合図をして魔法陣に向かわせる。

 戻ってきたレイランは少し興奮しているようだ。

 「皆で一緒に見せ合わないか?」

 ユウキの提案にもしぶしぶではあるが。

 「そうね。一斉に見せ合う方が楽しそうだものね。わかったわ。」

 と朝の機嫌が直ってきたのか普通の回答が返ってきた。少しホッとする。

 「おおっ、これはこれは。赤と黒ですか!?その歳で凄い逸材ですね!」

 リズの声にユウキとティナが振り返る。

 先程、レイランが乗っていた時は緑と赤でさまよっていたのにティナが乗った今は赤と黒でさまよいながら光っていた。

 「ランク的には黒なら凄いってことだよな?これ。」

 「さあ、私に言われても。でも、リズの反応的に私よりもティナの方が良さそうよね結果。」

 そういえば身体能力と使える能力とのどちらに反応して光っているのだろう両方なのか?とにかくティナが終わったようなので交代する。

 すれ違い様に一緒に見せ合おうかという提案を話すとティナはコクンッと少しだけ嬉しそうに頷いた。

 (さて…少し緊張するな。)

 ランクが全てじゃないとティナのお父さんが言っていたようだがテストの点数や大学を意識した偏差値などの数値化社会で生きてきた日本人のユウキにとっては自分のランクが見える化するというのは不安でたまらない。

 (これでランクが低かったらどうしよう。努力すれば上がるとは言っていたから白でも…)

 王は異世界からの転送者は優れた能力を持つと言っていたので大丈夫だと思いたいのだが不安である。

 「んじゃ、行くよ~」

 こちらの不安を他所にリズはマイペースに呪文を唱える。

 「おおっ、これは凄いな!」

 無理矢理例えるとCT検査のように全身をX線のようなもの、なんかしらの魔術の波動で体をスキャンしているという感じだろうか?

 「あれ?なんか地面が揺れてるような…」

 二人の時とは違って足元が赤やら黄色やら青やら白やら金色やらとまばらに光始める。

 「魔法陣が壊れたー!」

 リズが騒ぎ出す。

 「ちょっ、噓でしょ!こんなタイミングで!というか魔法陣って壊れるもの!?」

 慌ててこの場から出ようとするがあの召喚の時と同じように円柱状に魔術が発動しているようで出られない。

 「床が!床がなんかちかちかしてるし!」

 リズは魔法陣から離れた所まで避難している。

 「爆発するのかしら?」

 レイランが不吉な事を言う。

 「段々と輝きがましてる…綺麗。」

 ティナはその光景を見てうっとりとしている。ユウキはこれだからお宝好きな元盗賊っ娘は!と心の中で文句を言う。

 「いや、綺麗なのはわかったけどちょっと!助けてよ!二人の時より明らかに長いしおかしいでしょこれ!」

 光が急激に収束し虹色に輝き始める。

 「爆発する!?皆しゃがんで!」

 リズが女性陣二人をしゃがませる。ティナはリズの手から抜け出し助けようとしてくれているがリズの力はかなり強いらしくティナを片手で引きとどめている。レイランは両手を合わせ何やらブツブツと呟いている。

 「お、俺を見捨てる気かー!!」

 ユウキは衝撃に備えて体を小さくし衝撃に備えると目を閉じる。

 「……。」
 「……?」
 「……ちっ、不発。」

 (おい、最後の誰だ!)

 いつまでたってもその衝撃が来ない。恐る恐るゆっくりと目を開く。
 そこには一枚のカードを持った妖精がいた。

 「何を適性検査程度で驚いてるのよ。変な人達ね。馬鹿なのかしら?」

 「適性魔法陣で妖精を召喚した?おとぎ話にしかいない妖精がギルドカードを持ってる?キュウ…」

 リズが目をまわして倒れてしまう。そこには小さな女の妖精が重そうにカードを持ちながら情けないと言った表情で俺たちを見回していた。

 「よ、妖精…」

 レイランも腰が引けているようだ。妖精に驚いて腰を抜かしているのかもしれない。けれど、見た目も含めてファンシーな妖精だ。驚きはするが恐れはしないだろう。

 散々魔法陣で驚かされて少し腹の立っているユウキはパタパタと羽ばたく羽をつまむ。

 「え?何するの?ちょっと離しなさい!」

 ジタバタとする妖精を見ているとこうトンボを捕まえた時の気分を何故だか思い出してくる。

 (こうするとジジジジッて暴れても足とか腰を曲げ伸ばしするしかできないんだよな。)

 「私はこう見えてもお姫様よ!手を離しなさい!ちょっと!」

 「よ、妖精の姫!!」

 レイランの顔が青くなっているが妖精の姫が何なのだろう。妖精は抵抗を諦めたのか大人しくなる。

 「このカードは貴方のよ。受け取りなさい。やはり私が呼び出しただけの事はあったみたいね。伝説の通りじゃない虹色の輝きなんて!」

 カードを受け取るとふと気になった言葉があった事に気が付く。

 「今、なんて言った?」

 「だから、貴方達を召喚したのは私なのよ!」

 手を離すと妖精はテーブルにポトンッと落ちるとお尻をさすりながら立ちあがると胸を張りこう主張する。

 「私はこの国の第三王女、伝説の勇者を呼び出したフレミアよ!」

 「フレミア姫!去年お会いしたあのフレミア姫様ですか!?勇者召喚の代償で命を落としたとされていわれている!?」

 そうか、たしかレイランは王城で呼ばれた経験があるとか言っていた…気がする。今朝だか昨日だか記憶が曖昧だが…それならば会った事があっても不思議ではないか。 

 レイランがよく見ようとこちらに近づいてくる。少し腰が引けているが…。

 「そうよ。けどこうして生きているわ!呪いで妖精になってしまったのだけれども。ちょっとレイランの顔が胸で見えないわね…」

 レイランが慌ててしゃがみ顔の位置をフレミアより低くする。

 「あの姉め、事前に呪われると妖精になるのを知っていて私が気づく前に死亡扱いにしたのよ。そして私を窓から外に投げ捨てて…いく所がなく城の私の部屋の入れない扉の前で困っていたのだけれど、もう一人の適合者が外に行くのを見てつけてたのよ。レイラン久しぶりね。」

 レイランが慌てて頭を下げる。ティナもとりあえず王族と聞いてレイランに習い頭を下げている。

 「うんうん。私だとわかって貰えてうれしいわ!」

 なんか偉そうなので二日酔いで吐きそうな時の為に部活用のカバンから実は用意してきていたコンビニのビニールを被せて捕獲してみた。そういえば網がない時はこうしてアゲハチョウを捕まえた事があったな。小さい頃の思い出に浸っていると袋の中から叫び声が聞こえてくる。

 「だから何で捕まえるのよ!」
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