明るいパーティー(家族)計画!勇者になれなかった僕は…

にゃも

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取り敢えず旅は一日延期です。またまた宿屋へ。

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   「で?今日街を出ていくと言っていたお前さんらがなんでうちの店で食事を取る事になっているんだ?」

 ドンは呆れた顔をして三人を見ている。できればドンとしては自分の店に昨日の今日でレイランを連れてくるのは避けて欲しかった。今日から来ないはずの店に客としていられるとレイランを欲していた多くの貴族に目をつけられたり、他の冒険者らにいらぬ噂を立てられたりするのが嫌なのでさっさとここから出て行って欲しいのだ。レイランが城からお呼びがかかっている事は周知の事実なのだ。

 レイランはこの場所ではフードを被って隠しているつもりのようだが、昼間ユウキと顔を出して街を歩いていたのでもうバレる人にはバレている。ドンの所にも既に数件の問い合わせがあったくらいだ。

レイランを貸し出しているのか?ついに娼婦になったのか?レイランとあの男の関係は?レイランは何処に行ったのか?城には行くのか?

 ドンはレイラン騒ぎで辞めてった初日から頭が痛かったのだ。なので、親が危篤で一時帰国するらしいと適当な嘘を皆に言っていたのだ。ユウキは雇われた護衛だと話し。

 「実は今日中に旅に出れないという事実がわかりまして、すぐに今日もパッキオさんの宿屋に部屋を借りようと思って聞いてみたのですけれども、今日は全部部屋が埋まってるらしいんです。今日中に野宿でもいいので出発しようと三人で決めたのですが馬の手配とか荷台の調整とかで馬車が明日になるとかで…しかたがなく諦めて二人の服を買ってから宿屋を探そうという話になったのですが何故か今日はどこも埋まっていまして。」

 「女性だけ、ティナとレイランだけならとか言われなかったか?」

 「はあ、何軒かの方にはそう言われたのですが。」

 ユウキはレイランを見ると同じパーティーとして登録した以上、仲間なら同じ条件じゃないと嫌だと譲らなかったのだ。

 ドンは呆れた顔をして仕方がないというとレイランに言う。

 「今日の夜は二階の控室で寝な。特別だ。」

 そうというと条件として、周りにこれだけバレてるんだ寂しくて皆に会いに来ちゃったとか言って3曲くらい歌ってくれ!後、親の危篤という話になってるから皆の前で言ってくれ。少しは明日からこの騒ぎが小さくなるだろうから。まあ、宿泊代を稼ぐと思って歌ってくれ。と踊り場を指さす。

 「ティナ、お前もついでに踊ってきな。今日は踊り子は休みの日なんだ。一人でも女が居た方が盛り上がるだろう。」

 そういうと、やれやれ明日の客からどれだけクレームが来るのだかと呟き仕事に戻って行った。

 「じゃあ行ってくるわ。着替えるから時間をズラして入ってきてね。あと、私達が踊っている間に部屋に行きなさいよ?」

 レイランが先に上に行くと客がレイランを見つけ指笛を吹き始める。それにレイランは手を振りながら答えると衣装室へと入っていった。

 「行かないのか?ティナは。」

 「……アタシもいいの?」

 アタシはユウキの奴隷だよ?という表情を浮かべている。行きたそうに手をテーブルの下でもじもじしているのをユウキは見逃していない。

 「構わないよ。昨日のティナの踊りがまた見れるんだったら俺としても嬉しいかな。」

 「…行く。」

 スッと立ち上がるとレイランを追うようにメイドとお客の間を綺麗に躱しながら走っていく。

 「さすがは回避Aね。」

 フレミアが胸のポケットから周りを気にしながら顔を出し、爪楊枝でポテトに狙いを定めるとあらかじめ小さく切ってあげていた切れ端に突き刺しひょいっとポケットに戻る。

 (この服…買ったばかりなのだが。)

 なるべく汁物とケチャップなどの液体付与系はポケットに持ち込まないで欲しいと願うユウキである。

 「で、あの場では固まっちゃったけど。聞きたいんでしょ?内容を詳しく。」

 「ああ、冒険者ギルドでレイランが役立たずって言っていたけど、俺はこの能力は飛びぬけて反則級のモノだと思う。」

 「私もよ。初めは攻撃スキルがないなんて無能ねとか少し思ったけれども時間が経つにつれてこの能力の恐ろしさに気づいたわよ。」

 ユウキは自分の冒険者カードを取り出す。

 職業:賢者見習い(エンチャントと回復特化)
 特技:味方の能力極上(条件あり) 味方身体機能極向上(条件あり)
 能力:自己身体機能極上(副作用あり)
 異世界付与特典:???(解放条件り)
 現在使用可能魔法:完全完治(副作用あり) 
 ステータス平均C+ランク 知識A 魔力総量B+

 「まず、ぶっ飛んでるのは完全完治ね。どこまでの代物かはわからないけれどもそうとうな回復魔法だと思うわよ?私が見た事がある回復魔法の最高峰は教会の教祖のものだったけど回復大レベルだったはず。完全完治よ?試してみないとわからないけどこの文だと死以外ってことになりそうよね。もしかしたら、腕の骨折どころか欠損や不死の病やら私の呪いみたいなものまで何でもいける気がするわよね。人に試さないうちに私には使わないで欲しいけど。副作用がわからないから。」

 「試すには試して効果と経過を見てからじゃないと駄目だろうな。」

 「試せるとしたら自己身体機能の極上だけれど…こっちも副作用がなんなのか。」

 「でも、これは貴方の身体で試せるのだから後で試しましょうよ。旅に出て使わないといけない状況の前に知るべきだわ。」

 「…人の身体だと思ってこのちんちくりんは。」

 「だーれがちんちくりんよ!いいじゃない。死にはしないと思うわよ?多分だけど。それよりも見てよこの特技…これには正直ドン引きよ。」

 「それよりもって……。」

 (さすがは王族、自分以外の事はどうでもいいのか。寝てる隙に完全完治の試し打ちの実験台にしてやろうか。)

 「味方の能力の極上。知ってる?この能力の下位版…能力上昇。といっても貴方以外の人の場合の最上級の技なのだけれども微妙そうに見えてこれ凄い能力なのよ?ランク銀色だし。ランクの一つ上の力まで押し上げてくれるのよ?BだとBB。AだとAA。強い人ほどこれをかけると恩恵が凄まじいのよ。それが最大で2段階上げられるってどんだけ規格外の能力なのよ。能力もそう、今の段階でティナの紫電とかいうのにかけれるのなら最強の能力のAA技と打ち合いが出来る程よ。」

 服の中でチクチクと肌を刺してくる

 「変態。」

 「……まだ何もしてない。」

 「でも、そういう事をする能力でしょ。」

 「……。」

 確かにこれだけ聞くと規格外の能力である。

 ただ、これらの発動条件を満たすのは戦いの最中には不可能に近い。

 そして、最高段階まで能力を付与するには時間がかかるのだ。効果は半日なので一度かけてしまえば戦いには問題ないのだろうが…。

 「発動条件が片方の効果付与につき一回の性交渉。しかも『直接力を受け渡す』必要がある。」

 ようは、一人にこの能力の最大までの効果を与えようとするとステータス値と能力値を2段階上げるには、ステータスの為に二回、特技や能力を上げる為に二回の計四回性交渉を行わなければならないのだ。それも中に生で受け渡さないといけない。

 「これからの旅で私が貴方たちを召喚した理由でもある魔王と戦うのならば、まー魔王でなくとも何かと戦う、戦わなくても自分たちの能力値で対処できない状況で力が必要になる時はにこの能力は絶対の強みになるわよね。けど、依頼なら日を選べるけど、避けられない戦闘が目前にあったら戦う状況と戦う日によっては一発でオメデタね!産めや増やせやで賑やかになりそうな能力よね。しかも貴方の能力って複数人とすることで最大の効果を発揮するチート能力よね。」

 言われてすぐに理解したのはその能力は一人に対して使うよりも多数に対して使う方が圧倒的に強力な力なのだ。

 「魔王と戦うパーティーとか作る必要があったりする場合だけでなく、これから遠くまで旅をするなら絶対に戦士などの前衛は必要よ。攻撃役がティナしかいないのだから。場合によっては魔法使いもか。この能力を考えるとパーティーは女性にするべきよね。パーティー=ハーレム。女性が認めてくれるなら最強のパーティーが出来るわよ?よかったわね異世界に来て。でも、冗談ぬきで戦士職は早急に見つけましょう。回復と側面攻撃系の二人に対して、外野で応援している事しかできない男性ホイホイもとい盗賊ホイホイな手当たり次第に男を寄せ集めるレイランがいるのだから。少なくてもあと二人以上はパーティーメンバーを見つけましょう。あと二人は女性を囲む事になるわね。魅力を持つレイランがいる限りよっぽど理性のある男性しかこのパーティーに入れられないのだから。よかったわね、変態。」

 「変態いうなよ…そりゃ、ハーレムは男の夢ではあるけどさ。」

 けれども、いくらパーティーが増えた所でそんなに回数をする事なんて普通の人間であるユウキには不可能だ。友達に聞いた話だと一日に八発したやつがいたらしいが、それでも二人に二段階あげるのが限界である。それがパーティーメンバー女性四人となると二倍の十六発なんて…敵と戦う前にユウキは搾られ過ぎて死んでしまうに違いない。

 「ち、ちなみに興味本位で聞いてあげるのだけれども…その…貴方、最高何回できるの?」

 フレミアも呪いをかけられているとはいえ年頃の女性だ。性には興味があるのだろう。

 「……多分四回くらいは。」

 「へ、へえ~よ、四回も出来るのね。ふ、ふ~ん。」

 気まずい雰囲気が流れる。

 「そ、そうだ。ほら、二人が踊り始めているし皆の注目が集まっているから今のうちに部屋に行きましょう!そして余計な雑念を払う為にも自己身体機能極上のテストをしましょうよ!運動しましょう!きっとCがBBくらいに上がるのよ!皆に二段階あげられるのだから貴方もきっとそうよ!ささ、行って実験しましょう!」

 気まずい空気を変えようとするフレミアに連れられて(と言っても服の中から指示を出しているだけだが)ユウキは控室に向かうのだった。

 その途中にレイランとティナの二人と視線が合う。レイランはこうして見ているとやはり最高の女性といえる美しさと色っぽさがある。ティナは…その舞が美しくキレがあってこちらも負けずに美しかった。

 ユウキは能力を説明された後、どちらも抱けるのならそれは抱いてみたいけどなお思う。二人のどちらにも惹かれているのを自覚し、どちらかを選ばないといけないと考えもしたが、結局はこうして二人に目がいってしまっていた。

 (これだからこの能力になったのかもしれないな。)

 あれだけ、女たらしのレイの事を嫌っていたのに…異世界に来たら自分にこんな能力が備わるとは。そう思うと苦笑いしか浮かべる事のできないユウキであった。
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