明るいパーティー(家族)計画!勇者になれなかった僕は…

にゃも

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マイオ村 犯人は誰?

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    「…」

 「ん?どうしたんだい?そんなハトが豆鉄砲でもくらったような顔をして。」

 ダーニャは浮き出た痣を服に隠すと近くに置いてある杖を持ち椅子に座る。

 「今と同じ痣がニーナにもあるさね。それとも、わたしが先々代の導師だったという事に驚いているのかい?」

 「なぜ、そんな大事な事をいきなり知らない俺に話すのですか?女性同士にしかその秘密を共有しないのでは?」

 「あん?あのジジイに何か変な事でも言われたのかい?」

 「村長でも女性側の祭りの先導師は知らないと。」

 「ああ、あやつが酔うという歴史のなんだというやつかい。あんなのは、大昔の先導師が男どもから祭りの日にあの女を抱かせてくれとか散々好き勝手な事を言われてウンザリするから男どもには言わないようにしたという単なるめんどくさいからという出来事と、また別の女先導師が祭りの夜に抱かれようとしていた好きだった男に先導師だというのがバレた際に男から別の女を抱きたいと言われて頭に来たから男どもには二度と女側の事情を教えるかという二つの個人的な事情からそんな感じになっているだけさね。別に絶対に言っちゃいけないことにはなっていないんだよ。ただ、面倒ごとは誰も好き好んで受け入れないからね。失敗の歴史の流れに乗って皆が黙っているだけという事さね。村の中は全員が知り合いみたいなものだからね。誰が言ったとか言われるのも嫌だから関係ない女どもも黙秘を貫いているってわけだ。」

 「では、村長も聞けなかったというのは…」

 「…個人的な問題とだけ言っておくかね。」

 「そうですか。」

 ユウキが返答するとダーニャはめんどくさそうに言う。
 聞き返すとロクな目に合わない気がするから言わないがダーニャは昔、あの村長の事が…。

 「ユウキさん、何か今ろくでもない事でも考えていなかったかい?」

 「い、いえ。」

 ユウキは慌てて否定する。この手の老婆は異様に感が鋭いから苦手である。

 「まあいいさね。それで原因について調べているようだけれども犯人は見つかったのかい?」

 「それなのですが…」

 ユウキは村長とハンスから聞いた話をする。

 「…ちと厄介な事になっているようだね。本当にその話をハンスがしたのかい?」

 ダーニャはテーブルを五回、右手の人差し指でトンットンットンットンットンッと叩く。

 「もう一度聞くよ。村の説明をしたのはハンスなんだね?」

 「はい。そうです。」

 「ふむ。決定打とはいかないが…でも歯車は確かに回り始めたようだね。」

 「どういう事ですか?」

 ドカドカドカドカ…

 「こら、待ちなさい!」

 何やら扉の向こう側が騒がしくなってきた。数人の足音が近づいてくる。

 「やれやれ、こう騒がしくっちゃいけないね。ユウキさん、この先の話は全員揃ってからにしようかね。それにしても歳を取ると立ち上がるのにも杖が必要になる。まったくいやになるさね。」

 ダーニャが仕方がないといった感じで杖を持ち体重をかけるとゆっくりと立ち上がりドアの近くに行きドアノブを握る。

 ユウキも椅子から立ち上がると先程の二人が来るのであれば挨拶をしなければならないと思い立ち上がってドアの近くまでいく。

 「まったく、お客人の前で…この足音があの子らだとしたらそろそろかね。」

 「?」

 「ほら。」

 タイミングを計りドアを開ける。ドアノブを掴み駆け込もうとした先のドアが急になくなり、二人の少年が部屋の中に倒れ込む。

 その後ろから倒れた二人を避けるように飛んで避けようとする女の足をダーニャが容赦なく杖で引っ掛ける。

 「ほれっ!」

 「うそっ!!」

 「レイラン!?」

 後から少年たちを飛び超えて入ろうとしたレイランがバランスを崩し顔から落ちそうになる。

 「おや、不味ったね。ミーニャかと思ったが…どうやらユウキさんの知り合いだったのかい。」

 寸前の所をユウキは滑り込み下敷になる事でレイランを助ける。柔らかい感触と甘い香りが鼻に届き軽く顔が接触したかと思った次の瞬間に、ユウキの腹部に衝撃が襲う。

 「ぐえっ…痛い…レイラン大丈夫か?大丈夫ならそろそろ…重い。」

 「い、今…ユウキあ、ありが…って、だ、誰が重いよ!」

 フレミアは抱きついたままの体制のまま、反射的にユウキの頬を叩いてしまう。

 「ほっほっほっ、元気なお嬢さんだね。ユウキさんのツレか何かかい?」

 「ゴホッゴホッ…え、ええ。俺の連れのレイランです。」

 「ち、ちがいます。ツレだなんて!」

 大人の会話を聞いていた子供二人がようやく起き上がる。

 「なんだ、姉ちゃん男持ちだったのかよ。」

 「いいなー。僕もお姉ちゃんに抱き着かれたい。」

 子供たちが起き上がると細身の少年がダーニャを見て指をさす。

 「お姉ちゃん、シスターに言われた後にあったのはそこのダーニャマザーだけだよ?」

 「なんですって!?」

 ユウキの上から起き上がるとそのまま反転し、レイランはダーニャを見る。

 「ついに見つけたわよ!ユウキ助けに来たわ!このダーニャが男どもを不能にした犯人よ!」

 ユウキはゆっくりと痛みをこらえながら立ち上がる。

 「ふむ。やはり話がおかしな方向に行っているようだね…。その前に、ほれっガキどもさっさと教室に戻りな!今は自己学習の時間だろ!」

 「ご、ごめんなさい!」

 「ちぇっ、いい事してもらえると思ったのによ。」

 「はん!私が代わりにしてやろうかい?」

 ダーニャがいうと二人は逃げるように部屋から飛び出て行った。

 (…婆さん、実は過去に祭りで色々やらかしてないよな。)

 「また変な事を考えてそうだね、あんたは。」

 「そ、そんなわけないじゃないですか!」

 ユウキは出て行った二人の少年に頑張れよと視線を送っておく。

 「ねえ!ユウキ聞いてるの?まだ何もされてないわよね?」

 「まったく、時間がないというのに話が進みやしない。もうニーナも戻ってくる頃さね。話の続きはそれからさね。いいかね?ユウキさん。」

 うんざりとした声でいうダーニャに頷くとユウキは苦笑いを浮かべて答えるのだった。
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