明るいパーティー(家族)計画!勇者になれなかった僕は…

にゃも

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港町サーレ 二日目の朝とそれぞれの行動

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  「ああ、こうやって海を眺めながらの目覚めって最高ね。」

 膝を組みながら黄昏ているのはフレミアである。

 昨夜、最上級の料理以外は受け付けない!と豪語しユウキを困らせた彼女ではあったがレイランも少しいいのが食べたいかもと小声でユウキにだけに聞こえるように言うとユウキは即答で予定していた料理のグレードを最上級まで引き上げたのだった。

 元々、フレミアと約束していた事もありユウキとしても早々に望みを聞いてあげようとは思っていたので最終的には二人分の食事を豪華にして二人からフレミアへと適量を分け与えればいいかと思っていたのだ。
 ここの最上級料理の価格がマイオ村の豪華料理予定の3倍の値段でなければ自分のもそうしたかったのだが。

 喜ぶ二人と困惑する一人を見てユウキはこういうのもたまにはいいか。むしろ、たまには豪華な食事を食べさせられるようにならなきゃなと思うのだった。

 ユウキも当初自分の料理を一番下のランクの物にする予定だったのだが、普通ランクにまで引き上げて注文することにした。

 旅を初めてからの二週間、マイオ村にいた二日間を除くと確かにそろそろ料理人が調理した物が食べたくなるタイミングではあったのだ。

 旅の料理内容。
 初日から3日目までは買い溜めの素材を活かした手の込んだ手料理や鍋であった。
 しかし、料理を順番制にして不慣れなレイランとユウキを入れたシフト制は早々にティナとフレミアの食材を無駄にするなと言うお叱りにより、料理は奴隷の仕事といい嬉しそうに担当を引き受けたティナの独壇場になる。
 4日目から6日目は無駄分を現地調達に変えティナの指示の元、キノコや野草、川魚や得体の知れない動物の肉料理となった。そして鍋。

 7日目は、その辺に実っていた果物とやはり鍋を食べマイオ村へ

 その後も食材を無駄にはしないものの盗賊料理しかしらないティナの料理は素材のままの料理や簡単お手軽な鍋が続いていたのである。

  前衛の前に料理人が必要かも知れない。そう強く思うユウキとフレミアであった。

 そんなこんなで料理を普通にはしたものの少しはユウキも二人の料理を摘まませてもらおうと考えが浮かんでいたのだが、出てきた料理が三人前全て同じコースだった。

 「ユウキ、貴方と約束したのに貴方から貰えないんじゃ意味ないわ!ティナに言って変えといたわよ!」

 「ご主人様よりもいい物など奴隷のアタシは食べれません。アタシが明日から稼ぎますから同じものを…。」

 主従関係を持ち出してまで抗議するティナと、どうせ一番美味しい所をこれ見よがしにユウキから奪って目の前で食べたいのであろうフレミアに対し何かを言っても結末は変わらないような気がしたユウキは一言わかったよ。とだけいう事にし素直にみんなて豪華な料理を楽しんだ。

 (財布の中身の事は明日から悩もう…。レイランの用事とフレミアのこの街に滞在したいという希望により少しの間この街に滞在する事になりそうだ。今後どこに向かって旅をするのかとか冒険者仕事をする為にちゃんと仲間の募集したり、パーティーの資金を貯めるとか…色々大変そうだな。)


 そんな考えをしていた翌朝の為、

 「ああ、昨日の透明に透き通る魚の口でとろけるあの味はまさに美味!あそこの大きな海にあれらは住んでいるのよね…あの海全て国庫にある資産使って買えないのかしら。」

 などと馬鹿げたことを言い出しているフレミアをユウキはいくら王族でもそれは無理だろうと自分と同様にフレミアの金銭感覚も改善させないとなと思うのだった。

 「そ、そういえばフレミア様とかレイランさんは今日はどうする?」

 そんな中、ティナだけは金銭欲や物欲よりも性欲が優先しているようでソワソワと皆の予定(ユウキの予定)を確認しようとする。

 「そうね…私はこの街に来た理由でもある友達のいるはずの酒場を探してみようと思ってたのだけれども。」

 「そういえば、サーレにレイランさんがお世話になった先輩が買われて酒場で働いてるって言ってたっけ。」

 ティナが思い出しそれをレイランが肯定する。

 「そうなんだけれどもどこの酒場か聞いてなかったから一つづつ捜索かな…名前は変わってないと思うから聞いて回れば見つかると思うのよね。ただ、さっき受付の人にこの街の酒場の数を聞いたのだけれども、酒場が12カ所くらいあるみたいなのよね…昔みたいに踊っててくれればわかりやすかったのだけれど。」

 「12カ所を一つづつ探すのは流石に大変よね…まあ、ちょこちょこ呑めそうだし私も付き合うわよ。」

 フレミアの言葉に少し驚くもレイランは善意からの言葉だと受け止め

 「あ、ありがとうございますフレミア様。なんか申し訳ございません、私などの用事にお付き合いさせてしまいまして。」

 「い、いいわよ。こちらにも都合ってものがあるのだから。」

 「都合?」

 しまった!という顔をフレミアはすると慌てて

 「お酒。そうよ、お酒よ!酒場を回るなら美味しい物とかお酒とか呑めそうじゃない!」

 「そうですね。ただ探し回るのもあれですから食べ歩きをしながら行きましょうか?楽しそうですね。ユウキはどうする?」

 ユウキは話を振られどうしようかと今日の予定を思い出せずにいた。ならばレイランとの食べ歩きも楽しそうだなと返答しかける。

 「あれよ!ユウキは確か昨日の猫の飼い主から相談を受けてて午後に行かなきゃいけないんじゃなかったかしら?私が行くとまたあの猫に捕まるかもしれないから代わりに何か取られてもすぐに対応できそうな奴隷…じゃなかったティナを連れてくって言ってたじゃないの!ほら!」

 慌ててフレミアがユウキの代わりに答える。そうだったか?とユウキは頭を掻きながら思い出していく。

 (ああ…確かに今日も練習に付き合うって言っちゃったからな。待ってる間、フレミアは暇だからな。それが嫌なのか。…ん?でもティナっを連れて行ってあそこで待たせるのか?) 

 「あ、そうなんだ。じゃあティナもダメよね。」

 少し残念そうにレイランが言う

 「そういう話なら、アタシはご主人様の命令に従ってそこに行く。午後って事だけど午前はどうするの?」

 振られてどうするんだよこの状況、フレミアは?とフレミアを見るとフレミアはう~んと悩むように腕を組んでいた。何か良からぬ事を考えていたらしくポンッと左手の掌に握った右手を打ち付ける。

 「あ、そうだ。ティナ、あなたにお願いがあるのだけれども。」

 「はい、フレミア様なんですか?」

 「ちょっと耳を貸しなさい。ごにょごにょごにょ。」

 「え、でも!」

 「今後の為よ。何よりもこれを知る事はユウキの為になる事なのよ。」

 「…わかりました!ありがとう!」

 こうして久しぶりの四人で行動を供にしない自由な一日が始まるのだった。 
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