【完結】親の理想は都合の良い令嬢~愛されることを諦めて毒親から逃げたら幸せになれました。後悔はしません。

涼石

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第7話 初めての夜に浮かぶ疑問。彼は本当に優しい人なのか?

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式は、無事に終わった。

初めて会う年配の上級貴族の方々からのお世辞のような祝福。
それに満足していたのは、オリスナとマリアだけだった。

新郎であるローカスは、浴びるように酒を飲んでいた。
社交をしてなかったアリシアは、彼が大酒飲みだとは知らなかった。
趣味の猟銃仲間に祝福されながら、勧められるがままに何杯も煽っていた。

「おいおい、大丈夫なのか?」
「大丈夫、大丈夫。俺は酔ってない」

会話から、酔っていることは明らかだった。

少し離れたところで、来賓に挨拶をしていたアリシアはため息をついた。

主役は自分たちではないとはいえ、醜態をさらすのはどうなのか?

「申し訳ありません、少し疲れてしまったようで」
「ああ、それはいけない。後は私たちに任せて下がりなさい。
気にしなくていい」

両親に声をかけると、慈愛に満ちた言葉がオリスナから返ってきた。

公式な場・・・他人の目がある時、オリスナは変貌する。

小さい頃、こちらのオリスナが本当の父で、怖いオリスナは自分が悪いから怒鳴るのだと、ずっと思っていた。

「相変わらず家族思いですね。優しいお父様で、娘さんは幸せですな」
「いえいえ、当然のことですよ」

謙遜するオリスナを、冷めた瞳でアリシアは見つめていた。

「では失礼します」

一礼をすると、彼女は部屋へと下がった。
今日はここに泊まり、明日は新居で生活を始める予定。

ローカスには、先に部屋に戻るという伝言を従業員に頼んだ。

泊まる予定の部屋は、初夜を迎える二人のためにレースがあしらわれている。

女性の魅力を高めると言われている香りが強い花が寝室に飾られ、少し気恥しい気持ちになった。

ロッキングチェアに座り、酔い覚めのために果実水をいただきながら彼を待った。


何時間も・・・・何時間も・・・。


彼が部屋に戻って来たのは、明け方だった。

パーティが終わった後、仲間たちと部屋を移し、ずっと飲み続けていたらしい。

泥酔状態で、仲間たちに引きずられるように部屋に雪崩れ込んできた。

「綺麗な嫁さんをもらって、浮かれちゃってるだけなんですよ。
悪い奴じゃないんです。すみません、後を頼みます」

そんなことを言いながら、彼の友人たちは帰っていった。

ローカスは部屋に入るや否や、ソファで高いびきをはじめる。

(これが私の結婚第一日目・・・・)

惨めな気持ちに、涙が浮かんできた。

一人で使うベッドは、広くて寂しかった。

アリシアは  とローカスのことを思っていた。

(こんな思いをさせる彼は、本当にそうなのだろうか?)

はじめて、彼に対する疑問がわいた。

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