【完結】親の理想は都合の良い令嬢~愛されることを諦めて毒親から逃げたら幸せになれました。後悔はしません。

涼石

文字の大きさ
12 / 26

第11話 離婚のためにすべきこと。

しおりを挟む
騎士団長の奥方であるテアから話を聞いた日。

アリシアは家に帰ると、すぐにお茶の準備に取り掛かった。

思い切って、いつもより高いケーキを買い、心を静めるためにハーブティーを淹れて一口飲んだ。

暫くすると、体の震えが止まる。
だんだん冷静になってくると、思考が動き始める。

(まずは真実を知らなければ。)

真実を知るためには、情報を集めること。
しかし、自分で集められる情報には限りがある。

アリシアは何かあった時のためにと、貯めていたお金を出してきた。

本来はローカスが、怪我や病気をした時のためにと貯めておいたお金だ。

ごはんを抜いたり、食べられる野草を取ってきたりして貯めたお金なので、使っても後ろめたいこともない。

街にはお金を出せば、情報を集めることをしてくれる人がいると言う。

紹介は街のギルドを通せば良いらしい。

騙されたり、犯罪に関わったりしないか不安はあるが、迷ってはいられない。

早速、ギルドを訪ねた。
守秘義務と信用問題に関わることになるらしく、一室に通されて事情を詳しく聞かれる。


「そうですね…そういったご事情なら、調査依頼は3店ほど紹介できますよ?」
「そうなんですね。こういう風に個人について調べてほしいという依頼はけっこうあるのですか?」
「ありますよ。特に結婚相手を調べたり、雇用する人間の身元調査なんかですかね。
相手の弱みを調べてくれというようなお話はお断りしますが・・・
そうそう、個人的にはこの2番目のところが一番腕が良いと思いますよ。」

丁寧にお礼を言って、紹介された場所へと向かう。

店の前に行くと、ひょろっとした少年がいた。

「あの・・・ギルドから紹介していただいたのですけど」

少年はアリシアをじろじろと見る。

「あ~~今はどこの依頼も受けないんっすよ。」
「え?」
「すみませんね~」
「ギルドではそんなこと言ってませんでしたけど」
「そりゃ、ギルドだって全部の状況なんて把握してないっしょ。」

明らかに小馬鹿にしたような言い方。

「あなたが責任者なんですか?」
「違うけど、お客さんについては俺が任されてますんで」

少年はムッとしたような口調で返した。
アリシアは唇をかんだ。

「なにしてんだ?」

奥からのっそりと男が出てきた。

「いえ、たいしたことじゃ・・・」
「ギルドからここが一番腕が良いと紹介されました。」

アリシアが少年のことばにかぶせるように声をあげた。

青年はアリシアに目をやり、次に少年を見る。

男からジロリと睨みつけられるとバツが悪そうに、少年は視線を逸らした。

「お客さんなら奥に入ってください。
話を聞きますんで。」

そう言って背を向ける。

少年が慌ててその後を追う。

「ちょ、リュウさん・・・いいんっすか?
上(客)じゃなさそうっすよ?」

小さな声で話しているつもりのようだが、アリシアの耳にはしっかりと届いた。

地味な装いで靴も擦り切れている。
確かにこれでは足元を見られても仕方がない。



少年にリュウは黙って拳骨を落とした。


しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

旦那様に「君を愛する気はない」と言い放たれたので、「逃げるのですね?」と言い返したら甘い溺愛が始まりました。

海咲雪
恋愛
結婚式当日、私レシール・リディーアとその夫となるセルト・クルーシアは初めて顔を合わせた。 「君を愛する気はない」 そう旦那様に言い放たれても涙もこぼれなければ、悲しくもなかった。 だからハッキリと私は述べた。たった一文を。 「逃げるのですね?」 誰がどう見ても不敬だが、今は夫と二人きり。 「レシールと向き合って私に何の得がある?」 「可愛い妻がなびくかもしれませんわよ?」 「レシール・リディーア、覚悟していろ」 それは甘い溺愛生活の始まりの言葉。 [登場人物] レシール・リディーア・・・リディーア公爵家長女。  × セルト・クルーシア・・・クルーシア公爵家長男。

【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。

猫屋敷むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で―― 私の願いは一瞬にして踏みにじられました。 母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、 婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。 「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」 まさか――あの優しい彼が? そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。 子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。 でも、私には、味方など誰もいませんでした。 ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。 白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。 「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」 やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。 それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、 冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。 没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。 これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。 ※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ ※わんこが繋ぐ恋物語です ※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ

隣国の王族公爵と政略結婚したのですが、子持ちとは聞いてません!?

朱音ゆうひ@『桜の嫁入り』発売中です
恋愛
「わたくしの旦那様には、もしかして隠し子がいるのかしら?」 新婚の公爵夫人レイラは、夫イーステンの隠し子疑惑に気付いてしまった。 「我が家の敷地内で子供を見かけたのですが?」と問えば周囲も夫も「子供なんていない」と否定するが、目の前には夫そっくりの子供がいるのだ。 他サイトにも掲載しています( https://ncode.syosetu.com/n3645ib/ )

婚約者は冷酷宰相様。地味令嬢の私が政略結婚で嫁いだら、なぜか激甘溺愛が待っていました

春夜夢
恋愛
私はずっと「誰にも注目されない地味令嬢」だった。 名門とはいえ没落しかけの伯爵家の次女。 姉は美貌と才覚に恵まれ、私はただの飾り物のような存在。 ――そんな私に突然、王宮から「婚約命令」が下った。 相手は、王の右腕にして恐れられる冷酷宰相・ルシアス=ディエンツ公爵。 40を目前にしながら独身を貫き、感情を一切表に出さない男。 (……なぜ私が?) けれど、その婚約は国を揺るがす「ある計画」の始まりだった。

「お前を愛することはない」と言われたお飾りの妻ですが、何か?

あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することはない!」「そんな事を言うために女性の寝室に押し入ったのですか? もう寝るつもりで化粧を落として髪をほどいて寝着に着替えてるのに! 最っ低!」 仕事大好き女が「お飾りの妻最高!」と恋愛感情無しで結婚したらこうなるよね、というお話。

家族から虐げられた令嬢は冷血伯爵に嫁がされる〜売り飛ばされた先で温かい家庭を築きます〜

香木陽灯
恋愛
「ナタリア! 廊下にホコリがたまっているわ! きちんと掃除なさい」 「お姉様、お茶が冷めてしまったわ。淹れなおして。早くね」 グラミリアン伯爵家では長女のナタリアが使用人のように働かされていた。 彼女はある日、冷血伯爵に嫁ぐように言われる。 「あなたが伯爵家に嫁げば、我が家の利益になるの。あなたは知らないだろうけれど、伯爵に娘を差し出した家には、国王から褒美が出るともっぱらの噂なのよ」   売られるように嫁がされたナタリアだったが、冷血伯爵は噂とは違い優しい人だった。 「僕が世間でなんと呼ばれているか知っているだろう? 僕と結婚することで、君も色々言われるかもしれない。……申し訳ない」 自分に自信がないナタリアと優しい冷血伯爵は、少しずつ距離が近づいていく。 ※ゆるめの設定 ※他サイトにも掲載中

あの、初夜の延期はできますか?

木嶋うめ香
恋愛
「申し訳ないが、延期をお願いできないだろうか。その、いつまでとは今はいえないのだが」 私シュテフイーナ・バウワーは今日ギュスターヴ・エリンケスと結婚し、シュテフイーナ・エリンケスになった。 結婚祝の宴を終え、侍女とメイド達に準備された私は、ベッドの端に座り緊張しつつ夫のギュスターヴが来るのを待っていた。 けれど、夜も更け体が冷え切っても夫は寝室には姿を見せず、明け方朝告げ鶏が鳴く頃に漸く現れたと思ったら、私の前に跪き、彼は泣きそうな顔でそう言ったのだ。 「私と夫婦になるつもりが無いから永久に延期するということですか? それとも何か理由があり延期するだけでしょうか?」  なぜこの人私に求婚したのだろう。  困惑と悲しみを隠し尋ねる。  婚約期間は三ヶ月と短かったが、それでも頻繁に会っていたし、会えない時は手紙や花束が送られてきた。  関係は良好だと感じていたのは、私だけだったのだろうか。 ボツネタ供養の短編です。 十話程度で終わります。

処理中です...