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第五章:真実の断片と
112.月の王子の側近と不幸令嬢02
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「だとして、我々に彼は果たして協力してくれるかどうか……」
「一度お会いして聞いてみるのが良いかもしれませんね」
レミリアの言葉にルーファスとヨミはお互いを見つめた。
「そうだな、直接聞いてみるのが一番早いだろう。ヨミ……」
「そうですね。不安はありますが確認してみましょう」
そうして、3人はアトラス王国の王宮を訪れた。訪れたといっても精神体で、通常の人からは分からないように魔法で細工をして訪れたので、人々は素通りしていった。
アトラス王国の王宮は恐ろしく慌ただしい。ムーンティア王国の静謐さに慣れてしまうとその喧噪がなんとも言い難いが本来、人がいる場所とはこれくらい賑やかなのだったなとルーファスは思い出していた。
そんな時、何気ない会話が聞こえてきた。
「しかし、どうしてクリストファー殿下はあのようなことを……」
「それはバーミリオン公爵令嬢に入れあげていたからだろう??」
「だとしても……これでは国が危ないし、どうすればよいのか」
「やはり、クリストファー殿下を廃嫡するよりほかないのではないか??」
「でも陛下は一応王太子はクレメント殿下にされていますが、クリストファー殿下の方を本当は王にしたいと聞きます。「太陽狂い」ですがそれも妃にバーミリオン公爵令嬢をお迎えすれば抑えられるはずです。ただ……」
会話をする従者達の背後からひとりの人物が現れた。彼はその会話を諫めるでもなく昏い瞳で見つめていた。彼のその姿を見たその瞬間、ヨミは彼を食い入るように見つめてしまった。
(間違いない。彼には私の魂が付着している……)
それは遠い昔、弟から妻を庇おうとした際に剥離した魂だった。
「あの方が、クレメント殿下だよ」
「……なるほど」
どうやらかの魂はヨミから剥離後、弟にしばらく付着していたが、その子孫にその後宿ったらしい。
そして、ヨミと魂が付着していたからか、はたまた元からの性質か彼からはスサの子孫独特の傲慢さのようなものがない。それどころかそれらを嫌悪すらしているようにヨミは感じた。
レミリアも言っていたが、どこか彼からは希薄ささぇも感じられた。それが何ゆえかは分からないがどことなく空っぽのような奇妙な感じがするのだ。しかし、それは今ちょうど求めていた依り代に相応しい素質でもある。
そんなことをヨミが思案していた時だった。クレメントがこちらを振り返ったのは。
「バーミリオン公爵令嬢とそのお連れの方、私に何か御用でしょうか」
「一度お会いして聞いてみるのが良いかもしれませんね」
レミリアの言葉にルーファスとヨミはお互いを見つめた。
「そうだな、直接聞いてみるのが一番早いだろう。ヨミ……」
「そうですね。不安はありますが確認してみましょう」
そうして、3人はアトラス王国の王宮を訪れた。訪れたといっても精神体で、通常の人からは分からないように魔法で細工をして訪れたので、人々は素通りしていった。
アトラス王国の王宮は恐ろしく慌ただしい。ムーンティア王国の静謐さに慣れてしまうとその喧噪がなんとも言い難いが本来、人がいる場所とはこれくらい賑やかなのだったなとルーファスは思い出していた。
そんな時、何気ない会話が聞こえてきた。
「しかし、どうしてクリストファー殿下はあのようなことを……」
「それはバーミリオン公爵令嬢に入れあげていたからだろう??」
「だとしても……これでは国が危ないし、どうすればよいのか」
「やはり、クリストファー殿下を廃嫡するよりほかないのではないか??」
「でも陛下は一応王太子はクレメント殿下にされていますが、クリストファー殿下の方を本当は王にしたいと聞きます。「太陽狂い」ですがそれも妃にバーミリオン公爵令嬢をお迎えすれば抑えられるはずです。ただ……」
会話をする従者達の背後からひとりの人物が現れた。彼はその会話を諫めるでもなく昏い瞳で見つめていた。彼のその姿を見たその瞬間、ヨミは彼を食い入るように見つめてしまった。
(間違いない。彼には私の魂が付着している……)
それは遠い昔、弟から妻を庇おうとした際に剥離した魂だった。
「あの方が、クレメント殿下だよ」
「……なるほど」
どうやらかの魂はヨミから剥離後、弟にしばらく付着していたが、その子孫にその後宿ったらしい。
そして、ヨミと魂が付着していたからか、はたまた元からの性質か彼からはスサの子孫独特の傲慢さのようなものがない。それどころかそれらを嫌悪すらしているようにヨミは感じた。
レミリアも言っていたが、どこか彼からは希薄ささぇも感じられた。それが何ゆえかは分からないがどことなく空っぽのような奇妙な感じがするのだ。しかし、それは今ちょうど求めていた依り代に相応しい素質でもある。
そんなことをヨミが思案していた時だった。クレメントがこちらを振り返ったのは。
「バーミリオン公爵令嬢とそのお連れの方、私に何か御用でしょうか」
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