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第六章:集う運命
118.海の王子と不幸令嬢
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クリストファーは自身の意識が虚ろになる感覚を感じていた。例えるならば、自分の体を違う人間が動かしているような感覚だった。
(なんなんだ??僕はレミリアとただふたりで居たかった、それだけのはずだった、それなのに……)
今、見えている自分、自分の体は大切なレミリアの体を抱きしめることもなく、ただ虚ろな瞳でなにかを呟いている。
(何を言っているんだ??)
虚ろな自身に近付いてそして触れた時、その記憶にクリストファーは触れてしまった。
それは以前、夢で見たものに似ている、いや同じなのだろう。しかしそれよりもずっとずっと生々しい感覚だった。
(これは、なんだ、これは??)
クリストファーの目の前にそれはそれは美しい少女が泣いている。銀色の髪に紫色の瞳をした美しい少女。彼女を見た時、何か酷く胸騒ぎがした。そして、クリストファーでないクリストファーがその少女を見て叫んだのだ。
「ああ、なんて美しい。彼女は俺の姫様に違いない」
それはクリストファーがレミリアに感じている感覚に似た狂気にも近い感覚だった。そして、泣いている少女に近付いてその手を引いた時、胸がトクンとなり熱い血潮が流れるのが分かった。
さらに、彼女を目的の場所まで連れて行った際にわずかに微笑んだその顔に完全に彼は心を殺されたのだ。
(好きだ、彼女が好きだ。俺がどんなことをしても幸せにしないといけない姫君だ)
それから、すぐに彼女と婚姻したくて彼は父に頼み彼女を探した。けれど……
「見つからない、どうしてだ??」
あんなに美しい姫が見つからないなんて、すでに婚約者が居るのかもしれない。そう思った時、彼ははじめてどす黒い感情が湧いた。
(だめだ、絶対にだめだ、あの子は、俺の姫君だ。誰にも渡さない)
「トリスお兄様、どうされたの??」
親戚の少女が心配そうに見ている、そこそこ仲の良い少女にまさか、好きな人を探しているとは言えずに曖昧に微笑むと、少女は嬉しそうに自身の婚約者の王子様の話をはじめた。
なんとなく聞いていた彼は、彼女のある発言で気付いてしまった。
「私の大好きな婚約者は、それはそれは美しい銀の髪に紫の瞳をされた王子様で……」
「……その王子様にはご兄弟はいるのかな??」
「いいえ。彼はひとり息子なので……」
(もしかして、俺は思い違いをしている??)
それから程なくして彼は、あの月の王子の姿絵を手に入れて確信した。あの日のお姫様の正体は彼だと。
本来なら、そこで諦めるべきだった。何故ならお姫様でなく王子様だったのだから。
しかし、彼は苦悩して悩んで、それでも同性でも彼を想う心が消えないことに気付いた。それからどんどん彼は狂っていった。まるでレミリアを今連れ去ったクリストファーのように、かの愛おしい彼を、ルーファスを連れ去り監禁した。
「嘘だ、どうして僕が、いや、僕はあんなレミリアを奪ったヤツなんて……」
(むしろレミリアがルーファスを奪ったんだ。何故気付かない??)
「違う、僕は、僕は!!!!」
静かに眠るレミリアを見つめたクリストファー。しかし何故か体が勝手に動きその首を絞めようとしている。
「だめだ、なんで、なんで!!」
(この女を殺そう。そうして今度こそ、今度こそ愛おしいルーは俺のものにする)
(なんなんだ??僕はレミリアとただふたりで居たかった、それだけのはずだった、それなのに……)
今、見えている自分、自分の体は大切なレミリアの体を抱きしめることもなく、ただ虚ろな瞳でなにかを呟いている。
(何を言っているんだ??)
虚ろな自身に近付いてそして触れた時、その記憶にクリストファーは触れてしまった。
それは以前、夢で見たものに似ている、いや同じなのだろう。しかしそれよりもずっとずっと生々しい感覚だった。
(これは、なんだ、これは??)
クリストファーの目の前にそれはそれは美しい少女が泣いている。銀色の髪に紫色の瞳をした美しい少女。彼女を見た時、何か酷く胸騒ぎがした。そして、クリストファーでないクリストファーがその少女を見て叫んだのだ。
「ああ、なんて美しい。彼女は俺の姫様に違いない」
それはクリストファーがレミリアに感じている感覚に似た狂気にも近い感覚だった。そして、泣いている少女に近付いてその手を引いた時、胸がトクンとなり熱い血潮が流れるのが分かった。
さらに、彼女を目的の場所まで連れて行った際にわずかに微笑んだその顔に完全に彼は心を殺されたのだ。
(好きだ、彼女が好きだ。俺がどんなことをしても幸せにしないといけない姫君だ)
それから、すぐに彼女と婚姻したくて彼は父に頼み彼女を探した。けれど……
「見つからない、どうしてだ??」
あんなに美しい姫が見つからないなんて、すでに婚約者が居るのかもしれない。そう思った時、彼ははじめてどす黒い感情が湧いた。
(だめだ、絶対にだめだ、あの子は、俺の姫君だ。誰にも渡さない)
「トリスお兄様、どうされたの??」
親戚の少女が心配そうに見ている、そこそこ仲の良い少女にまさか、好きな人を探しているとは言えずに曖昧に微笑むと、少女は嬉しそうに自身の婚約者の王子様の話をはじめた。
なんとなく聞いていた彼は、彼女のある発言で気付いてしまった。
「私の大好きな婚約者は、それはそれは美しい銀の髪に紫の瞳をされた王子様で……」
「……その王子様にはご兄弟はいるのかな??」
「いいえ。彼はひとり息子なので……」
(もしかして、俺は思い違いをしている??)
それから程なくして彼は、あの月の王子の姿絵を手に入れて確信した。あの日のお姫様の正体は彼だと。
本来なら、そこで諦めるべきだった。何故ならお姫様でなく王子様だったのだから。
しかし、彼は苦悩して悩んで、それでも同性でも彼を想う心が消えないことに気付いた。それからどんどん彼は狂っていった。まるでレミリアを今連れ去ったクリストファーのように、かの愛おしい彼を、ルーファスを連れ去り監禁した。
「嘘だ、どうして僕が、いや、僕はあんなレミリアを奪ったヤツなんて……」
(むしろレミリアがルーファスを奪ったんだ。何故気付かない??)
「違う、僕は、僕は!!!!」
静かに眠るレミリアを見つめたクリストファー。しかし何故か体が勝手に動きその首を絞めようとしている。
「だめだ、なんで、なんで!!」
(この女を殺そう。そうして今度こそ、今度こそ愛おしいルーは俺のものにする)
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