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17.何故かレイモンドさんが殴られた(ルカ視点)
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あれから、大魔王様は僕に話しかけるのを止めた。けれどとても切ない表情でこちらをいつも見ている。
そのつもりがなかったとはいえ、僕は大魔王様とレイモンドさんの関係を否定してしまった。最悪前線送りになっても仕方ないようなことをしてしまった。
人の愛の形を否定しているととられてしまったのだから、それは甘んじて受けないといけない。そんなことを考えていた時だった。
「……ルカ君、ちょっと君に話があるっす」
「わかりました」
レイモンドさんにいきなり声を掛けられた。びっくりしたが、僕は大魔王様を、彼の愛する人を傷つけた痴れ者だ。裏側に呼び出されて臓物が出るくらい殴られるかもしれない。ここは辺境伯領。毎日のように隣国ともめていて、いつでも戦いが起きかねない紛争地帯。
ひとりくらい臓物が出て死んでいても気にもされず処理されるだろう。
(ああ、でもやっぱり脱童貞したかった……)
「あの、ルカ君、ルカ君は辺境伯様のことどう思ってるっすか??」
直球来たこれ。あ、もうこれ、完全に浮気相手だと思われてる。何にもないしとっても清い関係だよ。ただ何故か僕は大魔王様のベッドでしかも同じ部屋で寝せられているからね、こんなの絶対誤解するよね。
「大魔王様だと思ってます、あ、いや、レイモンドさんが思うような汚れたことはしてないですよ、僕と大魔王様はとても清い関係ですし、なんなら一切、親しくもないです」
そう答えた、割と模範的な回答だと思うけど、レイモンドさんが何故か深いため息をついた。
「大魔王は間違ってないけど、辺境伯様はとても残念な大魔王なんっすよ。具体的にいうと大好きな相手を15年ほどストーカーして、やっと手に入る段階まできたのに全然それがうまくいかないという……」
レイモンドさんのこと15年もストーカーしていたのか、正直ちょっと大魔王様のこと気持ち悪いと思ったけど、それくらい愛が深いのに僕と浮気している疑惑なんかたったら可哀そうすぎる。
「あの、レイモンドさん、僕は辺境伯様のことなんとも思ってません!!だから自信をもっ……」
ガシャン!!
背後から何かを落とした音がする。振り返ると目を見開いた大魔王様が立っている。立っていて、真っ青な顔をしている。そして足元には割れた花瓶が落ちていた。多分手を滑らて落としてしまったのかもしれない。
大魔王様からも愛するレイモンドさんへ説明してもらおう。そうすれば、すぐに誤解が解けるはずだ。
「大魔王様からも僕と何の関係もないってちゃんとレイモンドさんに説明をしてください……って、えっ??」
ズカズカと近づいてきた、大魔王様がこの間、僕に渡そうとした指輪を無理やり左手の薬指にはめた。驚いていると、なぜか近くにいた、レイモンドさんをいきなり殴り飛ばした。DV現場を目撃してしまったのである。
「な、なにしてるんですか大魔王様。15年間ずっと愛した人をどうして殴るんですか??」
そう思わず涙ながらに聞いた僕に大魔王様が今までで一番怖い、地獄の支配者だって裸足で助走つけて逃げるレベルの顔をして答えた。
「俺がレイモンドを15年も愛している??ははは、お前はどうしてそんな気持ち悪いことを考えている??こいつはただの下僕に過ぎない。それともルカはレイモンドが好きなのか??」
そのつもりがなかったとはいえ、僕は大魔王様とレイモンドさんの関係を否定してしまった。最悪前線送りになっても仕方ないようなことをしてしまった。
人の愛の形を否定しているととられてしまったのだから、それは甘んじて受けないといけない。そんなことを考えていた時だった。
「……ルカ君、ちょっと君に話があるっす」
「わかりました」
レイモンドさんにいきなり声を掛けられた。びっくりしたが、僕は大魔王様を、彼の愛する人を傷つけた痴れ者だ。裏側に呼び出されて臓物が出るくらい殴られるかもしれない。ここは辺境伯領。毎日のように隣国ともめていて、いつでも戦いが起きかねない紛争地帯。
ひとりくらい臓物が出て死んでいても気にもされず処理されるだろう。
(ああ、でもやっぱり脱童貞したかった……)
「あの、ルカ君、ルカ君は辺境伯様のことどう思ってるっすか??」
直球来たこれ。あ、もうこれ、完全に浮気相手だと思われてる。何にもないしとっても清い関係だよ。ただ何故か僕は大魔王様のベッドでしかも同じ部屋で寝せられているからね、こんなの絶対誤解するよね。
「大魔王様だと思ってます、あ、いや、レイモンドさんが思うような汚れたことはしてないですよ、僕と大魔王様はとても清い関係ですし、なんなら一切、親しくもないです」
そう答えた、割と模範的な回答だと思うけど、レイモンドさんが何故か深いため息をついた。
「大魔王は間違ってないけど、辺境伯様はとても残念な大魔王なんっすよ。具体的にいうと大好きな相手を15年ほどストーカーして、やっと手に入る段階まできたのに全然それがうまくいかないという……」
レイモンドさんのこと15年もストーカーしていたのか、正直ちょっと大魔王様のこと気持ち悪いと思ったけど、それくらい愛が深いのに僕と浮気している疑惑なんかたったら可哀そうすぎる。
「あの、レイモンドさん、僕は辺境伯様のことなんとも思ってません!!だから自信をもっ……」
ガシャン!!
背後から何かを落とした音がする。振り返ると目を見開いた大魔王様が立っている。立っていて、真っ青な顔をしている。そして足元には割れた花瓶が落ちていた。多分手を滑らて落としてしまったのかもしれない。
大魔王様からも愛するレイモンドさんへ説明してもらおう。そうすれば、すぐに誤解が解けるはずだ。
「大魔王様からも僕と何の関係もないってちゃんとレイモンドさんに説明をしてください……って、えっ??」
ズカズカと近づいてきた、大魔王様がこの間、僕に渡そうとした指輪を無理やり左手の薬指にはめた。驚いていると、なぜか近くにいた、レイモンドさんをいきなり殴り飛ばした。DV現場を目撃してしまったのである。
「な、なにしてるんですか大魔王様。15年間ずっと愛した人をどうして殴るんですか??」
そう思わず涙ながらに聞いた僕に大魔王様が今までで一番怖い、地獄の支配者だって裸足で助走つけて逃げるレベルの顔をして答えた。
「俺がレイモンドを15年も愛している??ははは、お前はどうしてそんな気持ち悪いことを考えている??こいつはただの下僕に過ぎない。それともルカはレイモンドが好きなのか??」
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