39 / 99
39.死亡フラグ立てたけど元気そうだった
しおりを挟む
とりあえず変態を置いて、城を出ると外には待ち構えたように辺境伯側の軍勢がいた。俺の帰りに湧く軍勢の先頭には見慣れた男がいた。
「辺境伯様、大丈夫っすか??」
別れる際に盛大な死亡フラグを立てて行ったはずのレイモンドが元気に声を掛けてきた。ケガもなくいたって元気そうでムカつく。
「特に問題ない。ところで、状況は??」
「なんとか押し返しましたけど……って大公様」
俺の後ろから出てきた男を見て、レイモンドの顔が歪む。どうやらシオン大公も一緒に出てきたらしい。俺の元までくると耳元でレイモンドが囁く。
「辺境伯様、アレは結局使わなかったんっすね。逃げるのは一応成功っぽいですが、大公様いるのやばくないっすか??」
「問題ない。ルカとこのベルっちという男を連れて帰る」
そう言って、紹介するとレイモンドの顔があからさまに嫌そうなものになる。ルカを侮辱するなら後でこいつを逆さ吊りにする予定だ。
「えっ、悪魔っぽい人が増えてるじゃないっすか!?えっ!!天使1に対して悪魔2とかバランスわるっ」
ルカの悪口ではないが、レイモンドが失礼なことを言っている。それに関しては、逆さ吊りにするとして、一旦は無視する。そして、後ろにいるシオン大公に向き直りめんどくさいが話かけた。
「まだ、何か用か??」
「いや、むしろ用がないとおもっているのかい??君は……」
この後気持ち悪いことを言いそうなので急いで遮る。
「城を焼いた件と条約を破り国境を侵した件については、辺境伯領はもちろん、国からも正式に抗議させてもらう。しかし、一旦はルカが戻ってきたので猶予をやろう。次にやったら生まれてきたことを後悔させてやる」
ルカ、軍勢あたりからヒッという声がするくらいには怖い表情を浮かべたが、なぜか大公は嬉しそうだ。そのまま気持ち悪い変態を残して一旦、俺は国境にある砦に戻った。
城を焼かれてしまったので再建まではしばらくここで過ごすことになる。シオン大公の動きは監視できるが愛おしいルカのためにあつらえたものが全部燃えて怒りが抑えきれない。
(ルカの花嫁衣装も燃えた、一度ルカに着せたからまだマシだが、クソ、今考えると腹立たしい)
「あの、へんきょ……ギル様」
可愛い天使ルカがとても不安そうに話しかけてくる。その美しい顔を悲しみで歪めている原因は絶対に潰す。そう誓いながらなるべくにこやかな表情を浮かべる。しかし、心なしかさっきよりルカが震えている気がするが気のせいだ。
「なんだ、ルカ」
「……あのベルっちをどうされるおつもりで……」
そう言われて、講師に連れて来た男のことを心配そうに見ている。何故こんなに心配しているのだろう。
「心配ない。焼いたり食ったりはしない、ただ役立ってもらうだけだ」
お茶目なつもりで言ったのにルカがなんか泣き出した。なんでだ、さすがに傷つく。
「べルっちをお許しください。なんかわからないけど、焼いて食べないでください」
完全に冗談を鵜呑みにしているルカが可愛すぎるが、そう言われて庇われているベルっちはずっと無表情だった。
(こいつ何を考えているんだ??読めんな)
そう考えていると、視線に気づいたのかやっと口を開いた。
「なるほど、貴方は俺に危害は加えないのですね。なら問題ありません。しばらくこちらで働ければなお有難い」
意外に物分かりが良いみたいであっさりそう口にした。その言葉にルカがびっくりしているが、男は意に介さず続ける。
「どのような仕事をお望みですか??」
「……講師になってほしい」
「辺境伯様、大丈夫っすか??」
別れる際に盛大な死亡フラグを立てて行ったはずのレイモンドが元気に声を掛けてきた。ケガもなくいたって元気そうでムカつく。
「特に問題ない。ところで、状況は??」
「なんとか押し返しましたけど……って大公様」
俺の後ろから出てきた男を見て、レイモンドの顔が歪む。どうやらシオン大公も一緒に出てきたらしい。俺の元までくると耳元でレイモンドが囁く。
「辺境伯様、アレは結局使わなかったんっすね。逃げるのは一応成功っぽいですが、大公様いるのやばくないっすか??」
「問題ない。ルカとこのベルっちという男を連れて帰る」
そう言って、紹介するとレイモンドの顔があからさまに嫌そうなものになる。ルカを侮辱するなら後でこいつを逆さ吊りにする予定だ。
「えっ、悪魔っぽい人が増えてるじゃないっすか!?えっ!!天使1に対して悪魔2とかバランスわるっ」
ルカの悪口ではないが、レイモンドが失礼なことを言っている。それに関しては、逆さ吊りにするとして、一旦は無視する。そして、後ろにいるシオン大公に向き直りめんどくさいが話かけた。
「まだ、何か用か??」
「いや、むしろ用がないとおもっているのかい??君は……」
この後気持ち悪いことを言いそうなので急いで遮る。
「城を焼いた件と条約を破り国境を侵した件については、辺境伯領はもちろん、国からも正式に抗議させてもらう。しかし、一旦はルカが戻ってきたので猶予をやろう。次にやったら生まれてきたことを後悔させてやる」
ルカ、軍勢あたりからヒッという声がするくらいには怖い表情を浮かべたが、なぜか大公は嬉しそうだ。そのまま気持ち悪い変態を残して一旦、俺は国境にある砦に戻った。
城を焼かれてしまったので再建まではしばらくここで過ごすことになる。シオン大公の動きは監視できるが愛おしいルカのためにあつらえたものが全部燃えて怒りが抑えきれない。
(ルカの花嫁衣装も燃えた、一度ルカに着せたからまだマシだが、クソ、今考えると腹立たしい)
「あの、へんきょ……ギル様」
可愛い天使ルカがとても不安そうに話しかけてくる。その美しい顔を悲しみで歪めている原因は絶対に潰す。そう誓いながらなるべくにこやかな表情を浮かべる。しかし、心なしかさっきよりルカが震えている気がするが気のせいだ。
「なんだ、ルカ」
「……あのベルっちをどうされるおつもりで……」
そう言われて、講師に連れて来た男のことを心配そうに見ている。何故こんなに心配しているのだろう。
「心配ない。焼いたり食ったりはしない、ただ役立ってもらうだけだ」
お茶目なつもりで言ったのにルカがなんか泣き出した。なんでだ、さすがに傷つく。
「べルっちをお許しください。なんかわからないけど、焼いて食べないでください」
完全に冗談を鵜呑みにしているルカが可愛すぎるが、そう言われて庇われているベルっちはずっと無表情だった。
(こいつ何を考えているんだ??読めんな)
そう考えていると、視線に気づいたのかやっと口を開いた。
「なるほど、貴方は俺に危害は加えないのですね。なら問題ありません。しばらくこちらで働ければなお有難い」
意外に物分かりが良いみたいであっさりそう口にした。その言葉にルカがびっくりしているが、男は意に介さず続ける。
「どのような仕事をお望みですか??」
「……講師になってほしい」
0
あなたにおすすめの小説
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
悪役令息物語~呪われた悪役令息は、追放先でスパダリたちに愛欲を注がれる~
トモモト ヨシユキ
BL
魔法を使い魔力が少なくなると発情しちゃう呪いをかけられた僕は、聖者を誘惑した罪で婚約破棄されたうえ辺境へ追放される。
しかし、もと婚約者である王女の企みによって山賊に襲われる。
貞操の危機を救ってくれたのは、若き辺境伯だった。
虚弱体質の呪われた深窓の令息をめぐり対立する聖者と辺境伯。
そこに呪いをかけた邪神も加わり恋の鞘当てが繰り広げられる?
エブリスタにも掲載しています。
お兄ちゃんができた!!
くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。
お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。
「悠くんはえらい子だね。」
「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」
「ふふ、かわいいね。」
律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡
「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」
ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ざこてん〜初期雑魚モンスターに転生した俺は、勇者にテイムしてもらう〜
キノア9g
BL
「俺の血を啜るとは……それほど俺を愛しているのか?」
(いえ、ただの生存戦略です!!)
【元社畜の雑魚モンスター(うさぎ)】×【勘違い独占欲勇者】
生き残るために媚びを売ったら、最強の勇者に溺愛されました。
ブラック企業で過労死した俺が転生したのは、RPGの最弱モンスター『ダーク・ラビット(黒うさぎ)』だった。
のんびり草を食んでいたある日、目の前に現れたのはゲーム最強の勇者・アレクセイ。
「経験値」として狩られる!と焦った俺は、生き残るために咄嗟の機転で彼と『従魔契約』を結ぶことに成功する。
「殺さないでくれ!」という一心で、傷口を舐めて契約しただけなのに……。
「魔物の分際で、俺にこれほど情熱的な求愛をするとは」
なぜか勇者様、俺のことを「自分に惚れ込んでいる健気な相棒」だと盛大に勘違い!?
勘違いされたまま、勇者の膝の上で可愛がられる日々。
捨てられないために必死で「有能なペット」を演じていたら、勇者の魔力を受けすぎて、なんと人間の姿に進化してしまい――!?
「もう使い魔の枠には収まらない。俺のすべてはお前のものだ」
ま、待ってください勇者様、愛が重すぎます!
元社畜の生存本能が生んだ、すれ違いと溺愛の異世界BLファンタジー!
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる