【本編完結】魔王と周りに恐れられる辺境伯ですが他人の婚約者に手を出したと噂の伯爵令息にずっと片思いしています

ひよこ麺

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42.ちょっと可愛いかもしれない(ルカ視点)

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「ちょっと可愛かったかもしれない」

「えっ、誰がっすか??」

フルー公国から無事に帰還して数日、穏やかな日々を送る僕はなんとなくお茶をに飲みながら、非番のレイモンドさんと話していた。

大魔王様へんきょうはくさまは、用事があるようで王都にしばらく出かけている。すごく後ろ髪をひかれた顔していたけど、なんなら僕を連れて行きたいと最後までごねたけど、割と危険なことするらしいので、レイモンドさんに、「ルカ君を危険な目に合わせる気っすか」って説得されて泣く泣く諦めて現在最短時間で帰るべく職務に励んでいるそうだ。

(でも大魔王様へんきょうはくさまを辺境から出すって割とやばいのでは??まぁレイモンドさん強いっぽいから大丈夫か……)

最初、大魔王様へんきょうはくさまとゲイカップルだと思って距離を置いていた、レイモンドさんはかなり腕が立つことがわかった。実際大魔王様へんきょうはくさまが大公様に操を奪い取られた日も、大公領の兵士と戦い、押し返したそうだからかなり強いと思うし、結構気さくで話やすい。

大魔王様へんきょうはくさまです。レイレイもそう思わないですか??」

「ルカルカ、それマジでいってるっすか??」

なのであだ名で呼び合うほど大魔王様へんきょうはくさまが居ない間に親しくなった。ちなみに大魔王様へんきょうはくさまは今もあだ名では呼んでいない。あんなに泣かれてしまったので一旦保留している。

「です、昔僕の家で飼っていた犬に似ているなとおもって。モレクって名前でジャーマン・シェパードなんです。牛みたいな大きな犬で、ちょっと狂暴で見た目怖いけど優しい良い子で甘えん坊で、この間の大魔王様へんきょうはくさまを撫でてたらモレクのこと思い出して……」

「モレク……悪魔の名前っすね。ルカルカがつけたんっすか??」

レイモンドさんがちょっと苦笑いしていた。なので首を振って否定する。

「いいえ。だいぶ話が逸れるんですが、僕って家で浮いた子でした。誰も僕を好きじゃない感じで、だからよくひとりで泣いていたんです。そうすると決まったタイミングでまるで天使みたいな綺麗な男の人……大公様にちょっと似てるかなが来て、僕に贈り物をくれたりするんです。モレクはその人のプレゼントで名前は最初からついてた」

そう答えるとレイモンドさんはなんかちょっと眉間に皺を寄せた。

「あの、そいつ本当にただの犬っすか??」

「犬ですよ。ハチャメチャ賢くて、僕以外には全く懐かなくてよく僕をいじめた使用人を襲ったりしていたけど……」

「その使用人はどうなったんっすか??」

「モレクは頭がいいから怪我とかさせたりはしないんです。吠えて威嚇して追い回すだけ。ただ、たまに棒でたたいたりする悪い使用人もいました。ただ、不思議なんですが、そういうことした使用人は数日後には行方不明になりましたね。そういう時、決まってトマト祭りしたみたいになったモレクが帰ってくるんです。なんか鉄臭いからそういう時は綺麗に洗って……」

「確かに、その犬は辺境伯様に似ているかもしれないっす。ルカルカの前でなんか色々被っているところが。後、すごい気になるんっすけどそいつ絶対普通の犬じゃないっす。名前含めてキナくさいというか……、あ。でも死んじゃったんっすよね??」

「えっ、死んでませんよ。いや、正確には生死がわからないというか……」

モレクのことを思い出して急に悲しくなってきた。モレクは僕がこの辺境伯領に連れてこられる前日に失踪してしまった。

(本当は探してあげたかったけど、色々あってここにきて……今からでも探して……)

「レイモンド、何故ルカを泣かせている、内臓を抉りだすぞ」

いつの間にか、帰ってきた大魔王様へんきょうはくさま

「いや、泣かせてないっすって、なぁ、なんっすか牛仕留めたっすか??」

「違う。この犬が俺を襲った。しかし動物には罪はないから右腕を犠牲に大人しくさせて連れて来た」

大魔王様へんきょうはくさまの腕に噛みついている大きな動物を見た瞬間に僕は叫んだ。

「モレク!!」

「ワンワンワン!!」
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