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75意外な事実.(ルカ視点)
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「ルカ、君じゃなく私の弟の方と私は実の母が亡くなるまでは幸せな生活を送っていた、けれど母親が死んであの女が後妻として訪れてから全てがおかしくなった。自分とその連れ子であるケビンを優遇するために、私達、兄弟は徹底的に無視をされていたし、父は母を失って以来、心を失くしたように何に対しても無関心になり、結果、伯爵家は徐々に斜陽していった。そんな中で、まだ私は長男であり嫡男とされていたからよかったけれどルカには継ぐ家はなく暗澹たる未来が広がっていた。そんなルカの未来を兄としてどうにかしたやりたかった。そんな時に君とルカは出会った」
遠い瞳をして空中を見たアベーレは、ゆっくり僕を見つめた。
「そして、ルカは変った。今まではただ怯えていた小さな男の子が、君を守るために強くなりたいと言って人一倍勉強や剣術に励むようになったんだ。そんなある日、例の事件が起こった。
そして、その現場に偶然伯父であるサファイア侯爵が居合わせた。伯父はひとり息子で色なしのレイモンドを可愛がっていたけれど、色なしである以上サファイア侯爵家を継ぐのは難しいことも知っていた。
君は自身をルカと勘違いしてしまっていた。そして、私はこの混乱をチャンスだと思った。
伯父にルカのことを話し、他家の息子であるように装って本物のルカはサファイア侯爵家の養子にしてもらった。そうすれば斜陽する家の三男ではなく輝かしい侯爵家の嫡男として弟は幸せになれると思ったんだ。
そのために、君をルカの代わりにした。さらに君を引き取ることで王族から相当の養育費を得たのに、本来、私は君に罪滅ぼしとしてせめて大切にすべきだった。けれど、私は君をあの女の攻撃から隠れて守ることしかできなかった。
父から、君が何者かという事情を話されなかった後妻が、君をルカが死んだために都合よく入れ替えられた、私生児だと勘違いして嫌がらせをはじめたんだ。
あの女はケビンにこの家の多くのモノを手に入れさせるためなら何でもした。実際私も何度も毒殺されかけていた。自身と君を守ることに心血を注ぐあまり、君の心を慮ることができなかった。力が及ばずに不自由をかけてすまなかった」
再度土下座をするその頭を見ながら、僕は疑問を口にする。
「ギル様、辺境伯様の元に売られることになった際に止めなかったのは何故ですか??」
「辺境伯殿側の人間がいつからか我が家に入り込んでいたのを知っていた。そして彼らならば、自分よりうまく君を守れると確信した。あの時、ルビー侯爵令息とジルコニア伯爵令嬢にはめられたがその裏で、君を鉱山送りにして亡きものにしようと後妻が動いていた時間がなかった。だから君を守ってくれる辺境伯殿の元へ行けるように、こっそり彼側の使用人に分かるように事態を伝えた。そう、それで君は自由になれる全てうまくいくと思ったのに、まさか、ジルコニア伯爵令嬢が罪に問われず、醜聞から君を無理やり婿にするとは思わなかったが……」
それが全て本当のことかは正直判断できなかった。今の状況になりアベーレが自身の保身のために言っている可能性もゼロではない。けれど……。
「このまま僕が出ていけば、僕は本物の兄上、シオン大公の元へ行き助けを求めることになります。そうしたらこの家もジルコニア伯爵家も終わります。それでも僕を貴方は行かせるのですか??」
「ああ。私にとってどんなことがあっても我が家は我が家だが、最早誰かを、最愛の弟の愛する人を犠牲することでしかもたないのならそれを守る必要なはない。ただ、君に、もうこの家のことなど綺麗に忘れて得るべき幸せを手に入れてほしいと思うことだけが私にできる唯一のことだ。だからどうか幸せになってほしい」
そう言って微笑んだ、アベーレの顔は憑き物が落ちたようなさわやかなものだった。
遠い瞳をして空中を見たアベーレは、ゆっくり僕を見つめた。
「そして、ルカは変った。今まではただ怯えていた小さな男の子が、君を守るために強くなりたいと言って人一倍勉強や剣術に励むようになったんだ。そんなある日、例の事件が起こった。
そして、その現場に偶然伯父であるサファイア侯爵が居合わせた。伯父はひとり息子で色なしのレイモンドを可愛がっていたけれど、色なしである以上サファイア侯爵家を継ぐのは難しいことも知っていた。
君は自身をルカと勘違いしてしまっていた。そして、私はこの混乱をチャンスだと思った。
伯父にルカのことを話し、他家の息子であるように装って本物のルカはサファイア侯爵家の養子にしてもらった。そうすれば斜陽する家の三男ではなく輝かしい侯爵家の嫡男として弟は幸せになれると思ったんだ。
そのために、君をルカの代わりにした。さらに君を引き取ることで王族から相当の養育費を得たのに、本来、私は君に罪滅ぼしとしてせめて大切にすべきだった。けれど、私は君をあの女の攻撃から隠れて守ることしかできなかった。
父から、君が何者かという事情を話されなかった後妻が、君をルカが死んだために都合よく入れ替えられた、私生児だと勘違いして嫌がらせをはじめたんだ。
あの女はケビンにこの家の多くのモノを手に入れさせるためなら何でもした。実際私も何度も毒殺されかけていた。自身と君を守ることに心血を注ぐあまり、君の心を慮ることができなかった。力が及ばずに不自由をかけてすまなかった」
再度土下座をするその頭を見ながら、僕は疑問を口にする。
「ギル様、辺境伯様の元に売られることになった際に止めなかったのは何故ですか??」
「辺境伯殿側の人間がいつからか我が家に入り込んでいたのを知っていた。そして彼らならば、自分よりうまく君を守れると確信した。あの時、ルビー侯爵令息とジルコニア伯爵令嬢にはめられたがその裏で、君を鉱山送りにして亡きものにしようと後妻が動いていた時間がなかった。だから君を守ってくれる辺境伯殿の元へ行けるように、こっそり彼側の使用人に分かるように事態を伝えた。そう、それで君は自由になれる全てうまくいくと思ったのに、まさか、ジルコニア伯爵令嬢が罪に問われず、醜聞から君を無理やり婿にするとは思わなかったが……」
それが全て本当のことかは正直判断できなかった。今の状況になりアベーレが自身の保身のために言っている可能性もゼロではない。けれど……。
「このまま僕が出ていけば、僕は本物の兄上、シオン大公の元へ行き助けを求めることになります。そうしたらこの家もジルコニア伯爵家も終わります。それでも僕を貴方は行かせるのですか??」
「ああ。私にとってどんなことがあっても我が家は我が家だが、最早誰かを、最愛の弟の愛する人を犠牲することでしかもたないのならそれを守る必要なはない。ただ、君に、もうこの家のことなど綺麗に忘れて得るべき幸せを手に入れてほしいと思うことだけが私にできる唯一のことだ。だからどうか幸せになってほしい」
そう言って微笑んだ、アベーレの顔は憑き物が落ちたようなさわやかなものだった。
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