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80.ダイヤモンド公爵に関する回想
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ダイヤモンド公爵、俺の父の腹違いの弟。黒い髪に黒い瞳を持ちながら、俺や、父や、伯父のような魔王感がない、むしろ高潔な騎士のような容姿をした人物。
そして、母親の身分のために王位継承権を剥奪されて早期に、当時子供がおらず最高位の公爵家でありながら断絶の危機にあったダイヤモンド公爵家に養子として迎えられた男。
正直俺は、叔父に対してあまり良い記憶がないし、もしこの国に反旗を翻す者がいるならば叔父以外には考えられない。
(なんせ、叔父はダイヤモンド公爵家の当主でありながら子を成すことも婚姻すら許されていない)
かの人の母親が例えば、平民ならばそこまでの差別は受けなかっただろう。しかし、叔父の母親は平民よりも下、奴隷の中でも最も汚らわしいと言われて口にすることも触れることも許されない非接触民、処刑人の女だった。
それが、長く続いた戦争と大量粛清の中で偶然先王である祖父に見初められた。
それでも、あまりに身分が低いし、そもそも王族どころか平民からも毛嫌いされたかの身分の女が妾にすらなることは難しかった。
そのため、先王の子を身ごもった際は女ごと殺せとまで王族内では言われたほどだ。
しかし、先王は戦略結婚で婚姻を結んだ正妃より、かの女を愛していた。そのために自身が退位する形で責任を取りつつ、かの女と叔父と遠い領地に引きこもったのだった。
その事情もあり、叔父の存在は父や伯父にとってはあまり良い印象を与えなかった。
ただ、叔父に罪がないことは分かっていたので、関係性はふわふわしていた。
しかし、俺が生まれた時、叔父はずっと取らなかった連絡を父にして近づいてきた。
曰く、
「自分は生涯子供は持てない。なのでせめて甥っ子と触れ合わせてほしい」
とのことだった。これが普通の兄弟なら父は警戒しなかっただろうが、なんせずっと微妙な距離感だった異母弟からの申し入れだったので正直断りたかったらしい。
それでも、あまりの熱い訴えに最後には父が折れて、俺が物心つく前、3歳前後まで叔父は頻繁に我が家に来ては俺に会っていたらしい。
しかし、3歳前後の時に、父がある理由で叔父に対して俺への接近を禁じた。
その理由は、普通なら例えば俺を殺そうとしたとかそういう内容だと思われるだろうが、全く違う。なんでも叔父は、俺をそれはそれは実の息子以上に可愛がっていたらしい。
俺は歩けるようになったのがとても遅かったのだけれど、その原因は叔父で俺が歩こうとすると「かわいいギルが転んで怪我をしてはいけない」とすぐ抱っこしてしまう。それに実は俺はものすごく食べ物の好き嫌いがあるのだけどその原因も叔父で「だめだ、ギルにこんなものを食べさせられない」とそれはも事細かに指示されていたせいらしい。さらにしゃべるのもとても遅かったのだけどそれについても叔父がなんでも俺がしゃべる前にやってしまい、しゃべる必要性がなかったということで遅れたのだと父がゲンド〇ポーズで言っていた。
そして、両親が叔父を追い出したきっかけは、話すのが遅かった俺がはじめて話した言葉が「おじたま」だったからだ。つまり、父よりも母よりも一番最初に叔父を認識したらしい。
これに、母の堪忍袋が切れて、父に訴えて叔父は出入り禁止になった。これについて、きっと辺境伯家の跡取りを懐柔する気だったのだろうと父は話していた。
間違いない、多分そういうことだろう。そうでなければ説明がつかないことが多い。そのままいけば俺は無能になり叔父の傀儡に育ったに違いない。
ただ、成長する俺をいつも叔父が遠巻きに見ているなと感じたりすることはよくあったし、何か危ない時にたまに叔父家の騎士が助けてくれたり、毎日毎日長文の手紙が今も届いていたりする。
だがそれはきっと王位簒奪のための作戦とかだったのだろう。
「辺境伯様、あの、ダイヤモンド公爵様よりお手紙が届いてますが……」
「いつものか、燃やしてしまえ」
そう指示を出したのだが、俺はこの指示を後ほど割と後悔することになる。
そして、母親の身分のために王位継承権を剥奪されて早期に、当時子供がおらず最高位の公爵家でありながら断絶の危機にあったダイヤモンド公爵家に養子として迎えられた男。
正直俺は、叔父に対してあまり良い記憶がないし、もしこの国に反旗を翻す者がいるならば叔父以外には考えられない。
(なんせ、叔父はダイヤモンド公爵家の当主でありながら子を成すことも婚姻すら許されていない)
かの人の母親が例えば、平民ならばそこまでの差別は受けなかっただろう。しかし、叔父の母親は平民よりも下、奴隷の中でも最も汚らわしいと言われて口にすることも触れることも許されない非接触民、処刑人の女だった。
それが、長く続いた戦争と大量粛清の中で偶然先王である祖父に見初められた。
それでも、あまりに身分が低いし、そもそも王族どころか平民からも毛嫌いされたかの身分の女が妾にすらなることは難しかった。
そのため、先王の子を身ごもった際は女ごと殺せとまで王族内では言われたほどだ。
しかし、先王は戦略結婚で婚姻を結んだ正妃より、かの女を愛していた。そのために自身が退位する形で責任を取りつつ、かの女と叔父と遠い領地に引きこもったのだった。
その事情もあり、叔父の存在は父や伯父にとってはあまり良い印象を与えなかった。
ただ、叔父に罪がないことは分かっていたので、関係性はふわふわしていた。
しかし、俺が生まれた時、叔父はずっと取らなかった連絡を父にして近づいてきた。
曰く、
「自分は生涯子供は持てない。なのでせめて甥っ子と触れ合わせてほしい」
とのことだった。これが普通の兄弟なら父は警戒しなかっただろうが、なんせずっと微妙な距離感だった異母弟からの申し入れだったので正直断りたかったらしい。
それでも、あまりの熱い訴えに最後には父が折れて、俺が物心つく前、3歳前後まで叔父は頻繁に我が家に来ては俺に会っていたらしい。
しかし、3歳前後の時に、父がある理由で叔父に対して俺への接近を禁じた。
その理由は、普通なら例えば俺を殺そうとしたとかそういう内容だと思われるだろうが、全く違う。なんでも叔父は、俺をそれはそれは実の息子以上に可愛がっていたらしい。
俺は歩けるようになったのがとても遅かったのだけれど、その原因は叔父で俺が歩こうとすると「かわいいギルが転んで怪我をしてはいけない」とすぐ抱っこしてしまう。それに実は俺はものすごく食べ物の好き嫌いがあるのだけどその原因も叔父で「だめだ、ギルにこんなものを食べさせられない」とそれはも事細かに指示されていたせいらしい。さらにしゃべるのもとても遅かったのだけどそれについても叔父がなんでも俺がしゃべる前にやってしまい、しゃべる必要性がなかったということで遅れたのだと父がゲンド〇ポーズで言っていた。
そして、両親が叔父を追い出したきっかけは、話すのが遅かった俺がはじめて話した言葉が「おじたま」だったからだ。つまり、父よりも母よりも一番最初に叔父を認識したらしい。
これに、母の堪忍袋が切れて、父に訴えて叔父は出入り禁止になった。これについて、きっと辺境伯家の跡取りを懐柔する気だったのだろうと父は話していた。
間違いない、多分そういうことだろう。そうでなければ説明がつかないことが多い。そのままいけば俺は無能になり叔父の傀儡に育ったに違いない。
ただ、成長する俺をいつも叔父が遠巻きに見ているなと感じたりすることはよくあったし、何か危ない時にたまに叔父家の騎士が助けてくれたり、毎日毎日長文の手紙が今も届いていたりする。
だがそれはきっと王位簒奪のための作戦とかだったのだろう。
「辺境伯様、あの、ダイヤモンド公爵様よりお手紙が届いてますが……」
「いつものか、燃やしてしまえ」
そう指示を出したのだが、俺はこの指示を後ほど割と後悔することになる。
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