初夜に「お前を愛するつもりはない」と言われて冷遇されるはずが、狂愛されています。タスケテ

ひよこ麺

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第37話 再会

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目を開いた時、あたたかい腕の中にいた。
それはとても懐かしく、ついこの間まで当たり前にあった感覚だった。

「ダーリン」

顔を上げると、そこには優しく甘い笑顔を浮かべたエリアスがいた。

その光景に、涙が溢れそうになる。ほんの少し前まで当たり前だった光景がひどくいとおしいのだ。

「エリアス、僕は……」

「ダーリン、また会えて本当によかった」

エリアスの腕に抱かれて、恥ずかしさよりずっといとおしい気持ちが溢れてきた。

最初は、この世界は夢だと思っていた。だから、目が覚めて気づいたら元の世界に戻るのだと思っていた。

けれど、今は元の世界に帰りたくないと思った。

この世界には、エリアスがいる。誰よりも美しく恐ろしくけれど、誰よりも僕を愛してくれる人外でいとおしい僕の番い。

「エリアス、僕は僕は……」

気づいたら、泣きながらその胸に顔を埋めていた。僕が泣き止むまで、エリアスはずっと優しく背中を撫でてくれた。しばらく嗚咽する僕がやっと落ち着くと、ゆっくりエリアスは今の状況を話してくれた。

僕たちがいるのは帝国との話し合いの前日であまり時間が残されていないこと、真の敵を見つけ出して本来のこの世界のハッピーエンドにする必要があることを教えてくれた。

そして、その時にディアスの正体を知った。

あの子は、本来、この世界が迎えるはずのハッピーエンドの先で、僕とエリアスとの間に生まれた子供だと言うのだ。

(だから、あの小さな子は、僕をママと呼んだのか)

僕を、この世界に戻してくれたあの男の子は、ディアスだったのだろう。僕たちのために、力を使い果たしたのだと聞いて胸が痛くなった。

「エリアス、ディアスを僕らの未来を必ず取り戻しましょう」

「ダーリン、もちろんですよ」

ふたりで決意した。

今度は、僕が前世だと話していた元の世界で思い出したことをエリアスに伝えた。

僕が、最初にこの世界の原作だと思っていた話は、翻訳版でエリアスが話した僕がいない世界の話のようだと言う事と、その翻訳版を書いたのが小野崎エリックという僕の同僚であり、推測だが、小野崎は翻訳版で僕ではなく、自身を主人公に変更したのではないかと考えている。

その言葉に、エリアスは納得したようにうなずいた。

エリアスが僕を失い狂った世界。

それが、翻訳版の世界でエリアスが苦しんだ世界だと理解した。

僕は、翻訳版の世界が、後悔に満ちた世界が好きだった。ドアマット主人公の復讐劇を楽しく見ていたのだ。

しかし、それは、エリアスの地獄であり、悲しみであり、痛みに満ちた世界だと知り、急に悲しくなった。

そして、僕はずっと不思議に思っていることがある。

小野崎は、主人公の名前を書き換えて自分の名前を主人公にするほど原作を好んでいた。だとしたらなぜあのようにバッドエンドの世界を翻訳版にしたのだろう?

小野崎は、この世界の主人公になり変わりたかったはずだ。ならば、原作をそのまま翻訳し自身がハッピーエンドを迎える世界を描けばよかったのに、なぜ小野崎はそうしなかったのか。

「私たちのハッピーエンドを迎えるにはエリック、彼が何らかの妨害をしている可能性が高いですね。右大臣、エリックに関する調査内容をまとめて欲しい」

「御意」

まだ、考える事は山積みだが、今の僕はひとりではないエリアスがいるのだから、必ず成し遂げられるはずだと強く思った。
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