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14.社畜サラリーマンは契約内容の確認を怠る

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ほぼゼロ距離に居る竜帝陛下が真剣な表情で悩んでいる。

大変な美形なのでこの最早、毛穴(竜帝陛下にはもちろんない)が見えそうな距離感でなければ良かったのにとひたすらに思いながらも、人外の力と腕の中に閉じ込められているので脱出出来ない。

「その悪夢は呪印の影響かもしれない。呪印はそれを施した者に悪影響を与えて不幸にするから……。その呪印を施したものを燃やす、もとい灰にすれば良いのだが犯人が見つかっていないので、この場合は一旦の対処だが効果を相殺する印を刻む必要がある」

つまり、呪印が解けないから別の何かで効果を軽減するということらしい。

「しかし、そんなことができる印などありますかーっ??見た感じこの呪印は強いですよーっ。多分、蛇もといイグリュウ系じゃないですかーっ??それをどうにかするのは竜帝陛下でも難しいのではーっ??」

「余は偉大なる全ての母である、ティラノもとい豊穣の女神の血を色濃く受け継ぐもの。であることを忘れたか??」

全く私にはわからない会話をされて首を傾げると竜帝陛下の角に頬が刺さりちょっと痛かった。

「まさか、を与えるおつもりですかーっ??いくらお気に入りでも本来に施すものですよーっ??」

「余の番いは永遠失われているのだから問題無かろう??むしろ余は可愛い子ちゃんにだから授けたいのだ。というわけで……」

パチン!!

と竜帝陛下が指を鳴らした瞬間、ヘイズが消えた。

部屋の中には、竜帝陛下とふたりっきりになる。

「あの、とはなんですか??」

「余が祝福した証だ。それを刻めばこんな呪印など無効化できる」

私としては悪夢を見ないなら有難いが、ヘイズの話ではに刻むものだと言われていた。

そう言えば、とはなんなのだろうか。悪夢にも出てきたが分からない。

「あの……竜帝陛下」

「ラム様と呼んでおくれ。何か気になるか??」

に刻むとヘイズが言っていましたがそれを私が賜っても問題ないのですか??そして、とはなんですか??」

その言葉に、一瞬珍しく躊躇するような様子を見せた竜帝陛下だが、すぐにいつもの笑みを浮かべた。

「番いは竜人にとってただひとりの永遠の伴侶だ。しかし、余の番いは消滅したため永遠に現れることはない。だから、可愛い子ちゃん、いやシヅルは何も気にしないでを受け取ってほしい」

竜帝陛下の笑顔が少し寂しく見えた気がした。

「わかりました。私としては有難いだけなのでお願いいたします」

その時の私は、リアルな三年寝太郎状態で危機管理を怠っていた。

がどのようにして授けられるのか、そして、それがどう維持されるのか……。

「ああ。ではまず、体をふたりで清めよう」
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