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13話 獣達の庭園
02.召喚術ド素人
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ともあれ、熱心に恐らくメイヴィスには無理であろうキメラ討伐のいろはを解説してくれたアロイスは見惚れる程勇ましいものだったので、全てを水に流す。こんなの、ギルドの他の面子にやられたら途中で遮っていたところだ。
とはいえアロイスの話を聞いている間に、それなりの時間が経過したらしい。接客を終えたユリアナがひょっこりと顔を覗かせる。
「おや~、メヴィちゃん。今日は~どうしたんですかぁ?」
『フェリーチェ』店主・ユリアナ。彼女はのんびりした口調とは裏腹に機敏に動きながらそう訊ねた。
最近、出掛けている事が多いせいか店に居るだけで今日は何か用事があるものと思われて居るらしい。とはいえ、確かに今回は依頼を遂行するという用事があるのだが。
「ユリアナさん、実は召喚術の原理を超絶分かりやすく説明してくれそうな人を捜していまして……」
「とーっても限定的ですね~。でもでも~、わたしも魔道士の端くれですぅ。原理そのものは~、理解していますから~。説明だけだったら出来ますよぅ」
「えっ、本当ですか!? じゃあ、召喚術がどんな魔法なのかくらいしか分からない私にも説明お願い出来ますかね!」
「もちろん~」
――結果的に言えば。
ユリアナは説明“は”出来た。ただし彼女自身は召喚術を使用出来るレベルに達していないとの事で、使用感が伝わって来ない。教科書に載っている原理のみを、ド素人が説明したのと同じだ。
なので、残念な事に口頭での説明ではいまいち何が何だか分からなかったと言える。無論、ユリアナは全く悪く無い。悪いのは召喚術の何たるかを知らない自分自身だ。
「説明が下手でごめんね~」
「いえ……私の理解力の低さが悪いんです」
「別の方法を考える必要がありそうだな」
アロイスがそう言った瞬間、一時は引いていた客の波を再燃させるかのように、店の中に客が入って来た。しかも、非常に見覚えのある客だ。
「シオンさん、お久しぶりです!」
フィリップの館に居る侍女、シオンが買い物篭を持って現れた。明らかに買い出しをしに来たスタイルだ。
相変わらず淡泊な表情をした彼女は、ぐるりと店内を見回す。疎らに居る客達は、それぞれが好きな商品棚の前で商品を品定めしているようだった。
「買い出しに来ました。皆様、お元気そうで何よりです」
「あ、そうだ。シオンさんにも聞きたいんですけど……。召喚術ド素人の私に、召喚術の原理を説明出来たりはしませんか?」
ユリアナの説明を聞いた段階で、何一つ理解出来なかったのであまり期待はせずそう問う。恐らく足りないのは基礎知識的な部分なので、原理だったり使用をする魔道士にとってみれば、自分は教えづらい存在だろう。
案の定、シオンは静かに眉根を寄せると訊ねた。
「ド素人、と言うとどの程度を指すのですか?」
先程、ユリアナの説明を聞いた時に起こった出来事をありのままに説明する。それを聞いたシオンは首を横に振った。
「ド素人が素人に話を聞いたところで、上達は見込めないでしょう。私自身、コストが掛かるので召喚獣は使いませんし」
「そうですよねえ……」
「旦那様――フィリップ様に、直々に召喚術そのものを見せて貰うというのはどうでしょうか。ただ、その場合ですと夜にならなければ面会出来かねますが」
「フィリップさんは召喚術、使えるんですか?」
「ええ」
――確かに、あの貫禄なら召喚獣を駆使していてもおかしくないかもしれない。
ただ、フィリップは人に説明をするのは非常に苦手そうだ。現物を見せて貰って、後は独学という方法しか無いだろう。まさか、イアンの持ち込み案件がこんなに大事になるとは。
一瞬、ギルドに戻る事も考えたが、やはり召喚術の原理が分からない事には無駄足になってしまいそうだったので、すぐに諦めた。
「話はまとまったか? フィリップ殿の所へ行くのなら、俺も同行しよう」
「あ、ありがとうございます。アロイスさん」
最近、不意に頭を過ぎる。
毎回毎回、騎士サマを自分の都合に付き合わせているが、飽き飽きして来ないのだろうか。思えば、ヴァレンディアに来てアロイスは肩身が狭そうだ。何せ、見た目はどう足掻いても魔道士では無い。
本当はヴァレンディアの長期滞在など望んでいないのではないだろうか。否、用事が無ければ足など絶対に運ばない場所と言えるだろう。
「メヴィ? どうかしたのか?」
「あっ、いえ。ちょっと、考え事を……」
そうか、と微笑んだアロイスの心中は全く読み取れなかった。
とはいえアロイスの話を聞いている間に、それなりの時間が経過したらしい。接客を終えたユリアナがひょっこりと顔を覗かせる。
「おや~、メヴィちゃん。今日は~どうしたんですかぁ?」
『フェリーチェ』店主・ユリアナ。彼女はのんびりした口調とは裏腹に機敏に動きながらそう訊ねた。
最近、出掛けている事が多いせいか店に居るだけで今日は何か用事があるものと思われて居るらしい。とはいえ、確かに今回は依頼を遂行するという用事があるのだが。
「ユリアナさん、実は召喚術の原理を超絶分かりやすく説明してくれそうな人を捜していまして……」
「とーっても限定的ですね~。でもでも~、わたしも魔道士の端くれですぅ。原理そのものは~、理解していますから~。説明だけだったら出来ますよぅ」
「えっ、本当ですか!? じゃあ、召喚術がどんな魔法なのかくらいしか分からない私にも説明お願い出来ますかね!」
「もちろん~」
――結果的に言えば。
ユリアナは説明“は”出来た。ただし彼女自身は召喚術を使用出来るレベルに達していないとの事で、使用感が伝わって来ない。教科書に載っている原理のみを、ド素人が説明したのと同じだ。
なので、残念な事に口頭での説明ではいまいち何が何だか分からなかったと言える。無論、ユリアナは全く悪く無い。悪いのは召喚術の何たるかを知らない自分自身だ。
「説明が下手でごめんね~」
「いえ……私の理解力の低さが悪いんです」
「別の方法を考える必要がありそうだな」
アロイスがそう言った瞬間、一時は引いていた客の波を再燃させるかのように、店の中に客が入って来た。しかも、非常に見覚えのある客だ。
「シオンさん、お久しぶりです!」
フィリップの館に居る侍女、シオンが買い物篭を持って現れた。明らかに買い出しをしに来たスタイルだ。
相変わらず淡泊な表情をした彼女は、ぐるりと店内を見回す。疎らに居る客達は、それぞれが好きな商品棚の前で商品を品定めしているようだった。
「買い出しに来ました。皆様、お元気そうで何よりです」
「あ、そうだ。シオンさんにも聞きたいんですけど……。召喚術ド素人の私に、召喚術の原理を説明出来たりはしませんか?」
ユリアナの説明を聞いた段階で、何一つ理解出来なかったのであまり期待はせずそう問う。恐らく足りないのは基礎知識的な部分なので、原理だったり使用をする魔道士にとってみれば、自分は教えづらい存在だろう。
案の定、シオンは静かに眉根を寄せると訊ねた。
「ド素人、と言うとどの程度を指すのですか?」
先程、ユリアナの説明を聞いた時に起こった出来事をありのままに説明する。それを聞いたシオンは首を横に振った。
「ド素人が素人に話を聞いたところで、上達は見込めないでしょう。私自身、コストが掛かるので召喚獣は使いませんし」
「そうですよねえ……」
「旦那様――フィリップ様に、直々に召喚術そのものを見せて貰うというのはどうでしょうか。ただ、その場合ですと夜にならなければ面会出来かねますが」
「フィリップさんは召喚術、使えるんですか?」
「ええ」
――確かに、あの貫禄なら召喚獣を駆使していてもおかしくないかもしれない。
ただ、フィリップは人に説明をするのは非常に苦手そうだ。現物を見せて貰って、後は独学という方法しか無いだろう。まさか、イアンの持ち込み案件がこんなに大事になるとは。
一瞬、ギルドに戻る事も考えたが、やはり召喚術の原理が分からない事には無駄足になってしまいそうだったので、すぐに諦めた。
「話はまとまったか? フィリップ殿の所へ行くのなら、俺も同行しよう」
「あ、ありがとうございます。アロイスさん」
最近、不意に頭を過ぎる。
毎回毎回、騎士サマを自分の都合に付き合わせているが、飽き飽きして来ないのだろうか。思えば、ヴァレンディアに来てアロイスは肩身が狭そうだ。何せ、見た目はどう足掻いても魔道士では無い。
本当はヴァレンディアの長期滞在など望んでいないのではないだろうか。否、用事が無ければ足など絶対に運ばない場所と言えるだろう。
「メヴィ? どうかしたのか?」
「あっ、いえ。ちょっと、考え事を……」
そうか、と微笑んだアロイスの心中は全く読み取れなかった。
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