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本編
反省会(ご飯美味しい)
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寮暮らしになってから肉や魚メインのご飯を食べているからだろうか、野菜定食なるものを見かけた瞬間飛びついた。何よりお米! お米がある! これ大事!
ここの国では一般的ではないが、街で普通に売っている。だからって簡単に食べられる値段でもないから、これは嬉しい。めっちゃくちゃ嬉しい。
「ラナは穀類が好きなのですか?」
「好きというか、無性に食べたくなる時があるの」
この国じゃ好きっていう人、あんまりいないもんね。サラダみたいに食べるし。それでも食べられることは元日本人として大変ありがたい。ないよりはあった方が良いもの。
それにしても久々に、ちゃんとお野菜を食べた気がする。根菜と少量の鶏肉をタレで絡めて炒めたものがメイン、口直しの温野菜が添えられたライスサラダ、スープも具沢山。後主食のパン。あー、幸せ。
「さて、そろそろ反省会としようか」
おっと、ご飯に夢中で忘れるところだった。危ない危ない。
「まずはラナ。さっきも言ったけど、あんな無茶は二度としないこと。実戦でなかったから、なんて言い訳はなしだよ」
「そう、だね。うん、ごめん」
「それにしても、初手が速かったですね。強化は足だけの様子でしたし」
「確かに。抜刀っていうんだっけ? そこからあの振り抜きは難しいんじゃないの?」
「昔からそういうのが得意なのよ。それに、向こうも油断してたみたいだし」
日頃練習していたのが静止から動作へ、っていうものが多かったから、今回も体が勝手にそうしてた。無意識とは怖い。
いきなり、こっちから動いたのも大きかっただろうし、今回は運が良かった、に尽きるんじゃないかな。
「次にマリかな。今回の目標である、倒れないようにすることが達成できたのは良かった。反面、相手へ魔法をかけ過ぎだね」
「そうなのですか? しっかりかけろ、といつも教師は仰っておりましたが」
「……うーん。難しいところなんだろうけどね、そこは。かける相手が前衛か後衛かで変わってくるらしいよ」
「ラナの言う通り。そのあたりは授業でやっていくと思うけど、前衛ならあれで丁度良い。だけど今回の阻害相手は後衛。それに、僕が詠唱を終えるまでの時間稼ぎだから、その都度様子を見ながらかければ良かったんだ」
なるほどと言わんばかりに頷く。後衛は後衛のやり方、があるけど、それは二人にしか分からない話なんだろうな。私が時間を稼ぐなんて、足止めすることしかできない。
アドバイスだって神父様から教わった基本知識しかできないし、歯がゆいけどこれが役割の違いなら仕方ないよね。
「最後はアランね。……と言っても、分かってそうな顔だけど」
「まあね。本当なら君に補助をしてから展開魔法をするべきだったし、その展開も時間がかかって、結果的にはギリギリ間に合った。本番でなくて良かった、なんて言葉は言わないよ」
「相変わらず、アランは自分にも厳しいですね。ただ、順序に関しては私も同じことが言えます。ラナにかけてからでも十分阻害は、先ほどの話から間に合ったでしょうし」
「そればかりは、これからもある模擬戦で知っていくしかないんじゃないかな。経験の問題になってくるだろうから」
私の提案に、頷きをもって返してくる。二人とも同じ意見に辿り着いたのかもしれない。
「最後にチームとしての動きだけど……」
「初にしては上手く出来ていた、と思うのは自惚れていますかね?」
「いや、僕も同意見。細かいところでいうなら役割についてだけど、それは今話していた内容になるし、経験不足からきてるから積むしかない」
「うん、私も。軽く打ち合わせはしていたにしても、初回であれなら悪くないと思う」
後は周りが初対面に等しい人とチームを組んでギクシャクしていたのもありそう。次からこんなうまくはいかないだろうけど、同じ状況でこれなら良いじゃないかな。
反省会も一通り終えたところで、和気藹々とご飯を楽しむ。明日から分かれて授業が多くなる分、これからはお昼を一緒にしようと約束までした。
ここの国では一般的ではないが、街で普通に売っている。だからって簡単に食べられる値段でもないから、これは嬉しい。めっちゃくちゃ嬉しい。
「ラナは穀類が好きなのですか?」
「好きというか、無性に食べたくなる時があるの」
この国じゃ好きっていう人、あんまりいないもんね。サラダみたいに食べるし。それでも食べられることは元日本人として大変ありがたい。ないよりはあった方が良いもの。
それにしても久々に、ちゃんとお野菜を食べた気がする。根菜と少量の鶏肉をタレで絡めて炒めたものがメイン、口直しの温野菜が添えられたライスサラダ、スープも具沢山。後主食のパン。あー、幸せ。
「さて、そろそろ反省会としようか」
おっと、ご飯に夢中で忘れるところだった。危ない危ない。
「まずはラナ。さっきも言ったけど、あんな無茶は二度としないこと。実戦でなかったから、なんて言い訳はなしだよ」
「そう、だね。うん、ごめん」
「それにしても、初手が速かったですね。強化は足だけの様子でしたし」
「確かに。抜刀っていうんだっけ? そこからあの振り抜きは難しいんじゃないの?」
「昔からそういうのが得意なのよ。それに、向こうも油断してたみたいだし」
日頃練習していたのが静止から動作へ、っていうものが多かったから、今回も体が勝手にそうしてた。無意識とは怖い。
いきなり、こっちから動いたのも大きかっただろうし、今回は運が良かった、に尽きるんじゃないかな。
「次にマリかな。今回の目標である、倒れないようにすることが達成できたのは良かった。反面、相手へ魔法をかけ過ぎだね」
「そうなのですか? しっかりかけろ、といつも教師は仰っておりましたが」
「……うーん。難しいところなんだろうけどね、そこは。かける相手が前衛か後衛かで変わってくるらしいよ」
「ラナの言う通り。そのあたりは授業でやっていくと思うけど、前衛ならあれで丁度良い。だけど今回の阻害相手は後衛。それに、僕が詠唱を終えるまでの時間稼ぎだから、その都度様子を見ながらかければ良かったんだ」
なるほどと言わんばかりに頷く。後衛は後衛のやり方、があるけど、それは二人にしか分からない話なんだろうな。私が時間を稼ぐなんて、足止めすることしかできない。
アドバイスだって神父様から教わった基本知識しかできないし、歯がゆいけどこれが役割の違いなら仕方ないよね。
「最後はアランね。……と言っても、分かってそうな顔だけど」
「まあね。本当なら君に補助をしてから展開魔法をするべきだったし、その展開も時間がかかって、結果的にはギリギリ間に合った。本番でなくて良かった、なんて言葉は言わないよ」
「相変わらず、アランは自分にも厳しいですね。ただ、順序に関しては私も同じことが言えます。ラナにかけてからでも十分阻害は、先ほどの話から間に合ったでしょうし」
「そればかりは、これからもある模擬戦で知っていくしかないんじゃないかな。経験の問題になってくるだろうから」
私の提案に、頷きをもって返してくる。二人とも同じ意見に辿り着いたのかもしれない。
「最後にチームとしての動きだけど……」
「初にしては上手く出来ていた、と思うのは自惚れていますかね?」
「いや、僕も同意見。細かいところでいうなら役割についてだけど、それは今話していた内容になるし、経験不足からきてるから積むしかない」
「うん、私も。軽く打ち合わせはしていたにしても、初回であれなら悪くないと思う」
後は周りが初対面に等しい人とチームを組んでギクシャクしていたのもありそう。次からこんなうまくはいかないだろうけど、同じ状況でこれなら良いじゃないかな。
反省会も一通り終えたところで、和気藹々とご飯を楽しむ。明日から分かれて授業が多くなる分、これからはお昼を一緒にしようと約束までした。
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