女剣士の道は険しい?

星野 夜空

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本編

そりゃそうなるよね

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 いつも通りの舞い姫じゃないチームがある。当たり前ながらその噂は駆け巡り、当日注目の的になった。
 おまけに誰かが学園外へ話したのだろう、例年以上に人が多いらしく、何故こうなった感が凄い。いやまあ分かってはいるけど。内容を変えることが大イベントに変化するなんて想像できないよ普通。たかが学校の行事だよ?
 と思っていたのはどうやら私だけで、チームの皆は割と冷静、というよりは非日常の高揚感っていうのかな。大分盛り上がってる。
 強化なしリレーや綱引きと言ったこっちでもある出し物があるかと思えば、魔力を球の形にして目印めがけて投げる「魔力球投げ」といった、この世界独特の出し物もあって中々面白い。一発本番、練習無しだったのも緊張感を出してるんだろうね。3チームとも一進一退で接戦してる。
 私は舞い姫だけだから午前はとにかく応援に徹した。特にマリの出る競技、魔力を伴った服を見分ける「目利き」には力を入れた。彼女、そういうのは苦手みたいなのよね。
 アランは、正直応援しなくても良かったなレベルに安定したものだった。「障壁作り」なんて彼の専売特許みたいなところあるし。周りもそりゃ凄いけど、総当たり形式の模擬戦しか私達のクラスしてないから……他の子が可哀想なことになってる。

「アランは本当に、防御系統に関しては追随を許しませんね」

 別チームの子が友人や先輩に慰められてる様子を見ながらマリが呟いたことに心の底から頷く。その反面、そこに頼ってる様子が見られるからどうなのかなとも思うけど。
 何はともあれ、前半戦はこれで終了。お昼を挟んで後半戦だ。

「僕らの出し物はおしまいだね。後はラナの舞い姫だけか」
「今年は何やら違うと伺いましたが」
「あー、うん。まあ、ちょっと違うかなあ」

 お昼代わりのお握りを食べながら言葉を濁す。ちなみにこのお握り、自分で作った。寮の部屋一つ一つに、小さいながらキッチンが出来たからなのと、お米が王都だと少しだけ安かった。希少性の違いかな。鍋で炊いたから所々お焦げがあるのは、ご愛嬌ってことで。
 マリとアランは食堂の人達が作ったサンドイッチボックスなるものを買って食べてる。地味にこれが高いんだよねー。美味しいけどさ。節約的な意味も含めて作ったけど、うん、やっぱり主食としてのお米は美味しい。

「ラナのそれは何ですか? コメを使ってるのは分かるのですが」
「お握りって言ってね。中に具が包んであるんだ。お米のサンドイッチバージョンってところかな」
「へー。コメにそんな食べ方もあるんだ、知らなかったな」
「一個食べてみる?」

 一つお握りを取って半分に割る。興味深そうに見てる二人へ渡すと、恐る恐るというように口にした。
 それもすぐに絶賛された。二人ともこんなに美味しいのは初めてだと大喜びだ。お米の魅力、布教しちゃったかもしれないなこれ。
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