わたし “へん” なんです

堀尾麗央

文字の大きさ
上 下
10 / 10

SMクラブの入りたてのころのお話し

しおりを挟む
わたしは、マゾ娘として初めて縛られ 苛めてくださった 初代のご主人様と別れてしまって、しばらくマゾ娘として実際に虐めてもらうという現実SMから身を引いておりました。ネットを使ってコンピュータのモニターの中で縛られている・苛められている女性の動画は見続けて、羨ましい気持ちになっていましたが…   その頃は、大学を中退して 母親の教室の跡を継ぐべく、指導者としての修行中で 再度ヨーロッパへ技能向上のために留学していたりでしたから、そっちに集中して、また身体を酷使する練習が続きましたし、取り巻く環境も大きく変わって^_^それに順応するのが精一杯だったので、他のことに手を出す余裕がないというのが正直なところでした。  その後、指導者としての資格も取得でき、教室の指導や運営も徐々に母親からわたしに移動させてもらいました。しばらくすると、教室運営にも慣れてきたことで 時間的にも金銭的にも ある程度 自由に調整できることができるようになり、ボーイフレンドをつくって 交際する余裕もできました。その方々の中には、大人の関係まで発展する方もいらっしゃいました。でも、マゾ娘としての悦びを知ってしまっている わたしにとっては、普通のSEXは 淡白すぎて 頼りなく 変化が少なく感じて 決して満足できるものには なりませんでた。SMという 強烈な刺激で“女の悦び”を経験してしまった わたしは “普通のSEXでの 女としての悦び”というものを 得ることは 無理だと当時は思っておりました。  普通の性癖のボーイフレンドに「縛って…」 「叩いて… 」「苛めて…」とわたしから お願いすることは難しいことですし、おそらくドン引きされてしまうだろうと思っておりました。  そのため、マゾとしての悦びを得る方法として わたしが選んだのが「SMクラブ」にマゾ娘として所属することでした。ここなら、マゾの女の子をイジメ慣れたサドの方が来られて、お願いしなくても 縛られたり スパンキングされたりと苛められると思ったからです。  でも、この思いは甘く 現実は厳しいものでした。SMクラブのお客様は、大きく2つに分かれていたのです。一つ目は、わたしが期待していていたような本格的な責めプレイができるご主人様。しかし、SMは二人の相性を重要視するプレイですので、そう言った方々は、ご自分の“オキニ”の娘がいらっしゃって、なかなか他の娘を指名されません。  もう一つのタイプのお客様は、SM系のアダルトビデオを見て 自分もできると思いこんだ 一度 女の子を縛ってみたい イジメてみたい という “見様見真似の自分だけ その気のサディストもどき” か、電マやバイブ・ローターなどの大人のおもちゃは普通の風俗では 追加料金が必要な“オプション”なのですが、SMクラブでは 基本料金に含まれており追加料金なしで 遊べるので 使ってみたいという“興味本位 男” です。  2つのタイプの割合は、1対5もしかしたら1対10ぐらいかもしれません。圧倒的に“ホンモノのサド様”はいらっしゃいません… ほとんどのお客様が、アダルトビデオと同じようなことがしてみたい・大人のオモチャを女の子に使ってみたいという“にわかサド”“なんちゃってサド”“オモチャ憧れ男” だというのが、わたしの実感です。  ということで、前にも述べましたが、わたしが入店してしばらくの間は、お客様のほとんどが“なんちゃって”さん でした。それでも ひと月に二、三人は、“オキニ”が辞めたとか 急遽休まれたりとか、新人を手なづけるが好きという SM経験者のお客様にお相手していただけることもありました。そういったお客様は、わたしの望んでいる性癖を見抜く力も優れていらっしゃいました。わたしの身体を麻縄で上手く縛ってくださり、お尻を中心にスパンキングしてくださり、わたしが気持ちよくなるところに お指やお口で ほどよい刺激を与えてくださり たくさんイカセてくださいました。わたしが待ち望んでいたプレイをしていただきましたので、そのようなお客様とお会いできた日は とても幸せでマゾでよかったと思っておりました。でも、多くの日は わたしの気持ちなど気にせず 人形に接するように 一方的で自分本位で そのくせ 中途半端なイジメられ方で、わたしの身体が充分満足できることは ありませんでした。かえってモンモンとする日々が多かったです。“オキニ”として素敵な特定のご主人様を持ってられるお姉様たちが羨ましいかぎりでした。  そんなわたしを“オキニ”の一員に入れてくださったのが、円城さまです。それまで一番の“オキニ”だったお姉様が 業界を卒業されたそうで、お店のわたしの日記を見られて「この娘はホンモノだ!」と思って 指名した と仰っておられました。こんなことを述べるのは、申し訳ありませんが、わたしの見立てでは SMクラブに所属している女の子の“なんちゃってマゾ娘”“営業マゾ” がほとんどだと思います。なにせ 他の風俗に比べると“見入り”は良いので!わたしのような生粋のマゾ娘は、10人いれば一人ぐらいでしょうか。個人的な見解です。生意気言ってごめんなさい…  ホンモノは、ホンモノを見つけられる嗅覚を持っておられるのでしょう お店に所属して半年ほどで 円城さま以外にも数人のホンモノのご主人様が、やはり「日記を見た!」と仰って わたしを指名していただき “オキニ”にしていただけるようになりました。出勤日も少なく 出勤時間も短いわたしは生意気にも“完売”となることが多くなり始めました。完売といっても、一回の出勤で六時間ほどしか働かないので、SMクラブの指名時間は90分が普通で お客様によっては180分なんていう長時間の指名していただけるの方も多いので、一回の出勤で四人がお相手できるマックスで、平均すれば3人以下だったと思います。もちろん ご主人様ごとに本気でイッテましたので、長時間勤務はわたしには無理でしたが…   そんな 数人いらっしゃった わたしからの“逆オキニ”のご主人様の中でも、円城さまは格別でした。相性が良いというか、わたしの頭中を覗き見されているようで 「こんなこと してくれないかな」と思うとそのようにイジメてくださるのです!この方の専属マゾっ娘になりたいと二回目にお会いしたときには思っておりました。その夢が実現できたいまはとっても幸せです!
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...