ちっともファンタジーじゃない僕等の旅〜お家帰りたい〜

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1章 王国

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──質屋行くか質屋。

唐突にそんな事を思った。

考えが無い訳では無い。携帯電話や財布でも売れば幾分か金にもなるだろう、金があれば選択肢も広がる、そうだ、決して『取り敢えず手元に現金持っておきたい願望』とかでは無い。

「なぁ、婆ちゃん、質屋の場所ってわかる?」

道行く婆さんに質屋の場所を聞く。

「あん?ナンテった?」

「質屋ッてどこにある?」

「え?なんて?」

「だから、質屋って……」
 
「こんな婆さん捕って食おうってかい、やぁねぇ若い子は」。

「顔赤らめるんじゃねぇ、もじもじすんなババァ!!」。

───「ちょっと君いいかい?」。

掠れた勇ましい声、肩を強く引かれる。振り返ると屈強な衛兵がこちらに不審な眼を向けている。

「君、今何していたの?」。

「えっと……道を聞こうかと…」。

「そうか……今さっき『怪しい格好をしたびしょ濡れの青年がハードボイルドなおっさんの描かれた紙を使って営業妨害をしお婆さんをナンパしている』と通報があったから駆けつけたんだが───君だよな」。

「びしょ濡れで……ジャージでハードボイルドなおっさん(英世)で色々と検証……あ、うん俺だわ、俺しかないわ」。

あまりの自身の不審者っぷりについ本音が漏れる。

「よし、自白したなこっちへ来い、検問だ」。

今回ばかりは自分の行動が軽率で思慮が浅かった、しょうがあるまい、話せば直ぐに開放してもらえるだろう。

アブミは大人しく衛兵に従った。

「すいません、お婆さん。もう大丈夫です」。

ペコッとお辞儀をする衛兵。

「ホントにやぁねぇ最近の子は」。

「おい、ちょっと待って、俺は決してナンパなんかして無い、ちょっと待て、おおぉおぉい!!」。

   2

「では身分を提示してくれ」。

ここで適当な理由をでっち上げられる程の柔軟性をアブミは持ち合わせていない。
ベットから落ちて死亡、小っさい神に理不尽に転生させられて住所不明の無一文さてどう説明したものか…。

「ベットから転生して小さい神が無一文で住所不明が死亡しました」。

「薬をやっている可能性有りと」。

「ちょ、たんま、ストップ!!」

後ろの衛兵がとてつもない速度で報告書を書き上げていく。

「それで?お前は何故あんな事をしていた」。

衛兵の男は最もな質問を口にした。何故と言われても……

「婆さんが噴水に落ちて服が濡れたので英世で買う為に道を聞きました」。

「熟女好きで特殊フェチ」。

──アカーンッ!!
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