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episode:2
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「伊織、一緒にコンビニでも行こうか。」
「えっ…ゆーくん、いつもコンビニは危ないから行っちゃダメって言うのに…どうしたの?!」
「学校帰りにはカラオケに行くか?それとも新しくできたカフェにでも行くか?」
「?!」
カラオケもカフェも一度だって許してくれなかったのに?!
「ゆーくん急にどうしたの~~~。ZZZ」
“ムニッ”
せっかく気分がよかったのに頬に触れた冷たい感触で現実世界へと引き戻された。
「ふぇ?!」
「伊織、お前いつまで寝てるんだ?」
私は相当気分のいい夢を見ていたらしく、目が覚めた時は少しがっかりした。
「あれ…ここは私の部屋だね…。」
そしてあろうことか夢に出ていた張本人、現在一番の悩みの種が部屋で仁王立ちしていた。
「お前…俺の名前を寝言でつぶやくなんて…」
(かわいすぎる。)
「もうこんな時間!着替えるからゆーくんは外で待ってて!!!」
そういうと夢統を部屋から追い出した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「お前さ…なにか気付く事ない?」
いつもと変わらない通学路で夢統は不満そうに伊織へ問う。
「…あぁ、髪の毛の色?変えたよね?」
「あーよく気付いたな。気分転換にね。どう?」
髪色を変えたことに気付かれたいなんて…女子高校生じゃないのだからとため息をつきつつ
「似合うんじゃない?」
そっけなく返す。
「そうか…かっこいいか…。」
(いや…そこまでは言ってない…。)
今日は朝から心の中ツッコミが多い日であった。
少しでもいいから夢が現実に近づいてほしい!
あわよくばカッコいい彼氏なんかまでできてほしいと伊織は頭の中で葛藤するのであった。
学校へ近づくにつれなにやら女の子の視線を感じ始めていた。
(…また、始まった。)
「みてみて!夢統くん髪色変えてるよ~!!」
「カッコいいよね!!!」「どんな髪型でもカッコいい!」
「今日もあの幼馴染といるよ。」「夢統くんいつも付きまとわれて…かわいそう。」
はい、周りの女子高校生よ。
聞こえてるからもっと言うならヒソヒソ言ってほしい。
(あともう一つ付け加えるけど…どちらかというと私が付きまとわれてるの!!!)
「…ちょっと、ゆーくん。目立つからもう少し離れて歩いてくれる?」
「は?」
「この時間は同じ学校の人も多いしさ…目立つじゃん?」
「伊織…」
夢統は、一瞬寂しそうな顔になったかと思えすぐに説教モードへと入った。
「いいか、朝も変な男は大勢いるんだぞ?なにかあったらどうするんだ?」
(ゆーくんの近くにいるほうが、女子たちに変な事されそうだわ!!)
いつもは「はいはい」と聞き入れるが今日の伊織は一味違った。
「ゆーくんも周りから結構人気あるんだし。周りの女子の目が怖いのよ!!」
察してよと睨みを利かす。
「伊織…お前…。それは嫉妬か?」
「?!」
あまりの解釈のずれに目玉が飛び出しそうになる。
「そうか…そうか…嫉妬しているのか…」
「いや、違うよ!何言ってるの?!」
いまだかつてない伊織の嫉妬だと察した夢統にはその後の伊織の反発は何も届かなかったのであった。
「ちょっと!!聞いてる?!ねぇゆーくんってば!!!」
なんて日だ…。
今日も伊織にとって心が重い1日の幕開けとなった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「えっ…ゆーくん、いつもコンビニは危ないから行っちゃダメって言うのに…どうしたの?!」
「学校帰りにはカラオケに行くか?それとも新しくできたカフェにでも行くか?」
「?!」
カラオケもカフェも一度だって許してくれなかったのに?!
「ゆーくん急にどうしたの~~~。ZZZ」
“ムニッ”
せっかく気分がよかったのに頬に触れた冷たい感触で現実世界へと引き戻された。
「ふぇ?!」
「伊織、お前いつまで寝てるんだ?」
私は相当気分のいい夢を見ていたらしく、目が覚めた時は少しがっかりした。
「あれ…ここは私の部屋だね…。」
そしてあろうことか夢に出ていた張本人、現在一番の悩みの種が部屋で仁王立ちしていた。
「お前…俺の名前を寝言でつぶやくなんて…」
(かわいすぎる。)
「もうこんな時間!着替えるからゆーくんは外で待ってて!!!」
そういうと夢統を部屋から追い出した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「お前さ…なにか気付く事ない?」
いつもと変わらない通学路で夢統は不満そうに伊織へ問う。
「…あぁ、髪の毛の色?変えたよね?」
「あーよく気付いたな。気分転換にね。どう?」
髪色を変えたことに気付かれたいなんて…女子高校生じゃないのだからとため息をつきつつ
「似合うんじゃない?」
そっけなく返す。
「そうか…かっこいいか…。」
(いや…そこまでは言ってない…。)
今日は朝から心の中ツッコミが多い日であった。
少しでもいいから夢が現実に近づいてほしい!
あわよくばカッコいい彼氏なんかまでできてほしいと伊織は頭の中で葛藤するのであった。
学校へ近づくにつれなにやら女の子の視線を感じ始めていた。
(…また、始まった。)
「みてみて!夢統くん髪色変えてるよ~!!」
「カッコいいよね!!!」「どんな髪型でもカッコいい!」
「今日もあの幼馴染といるよ。」「夢統くんいつも付きまとわれて…かわいそう。」
はい、周りの女子高校生よ。
聞こえてるからもっと言うならヒソヒソ言ってほしい。
(あともう一つ付け加えるけど…どちらかというと私が付きまとわれてるの!!!)
「…ちょっと、ゆーくん。目立つからもう少し離れて歩いてくれる?」
「は?」
「この時間は同じ学校の人も多いしさ…目立つじゃん?」
「伊織…」
夢統は、一瞬寂しそうな顔になったかと思えすぐに説教モードへと入った。
「いいか、朝も変な男は大勢いるんだぞ?なにかあったらどうするんだ?」
(ゆーくんの近くにいるほうが、女子たちに変な事されそうだわ!!)
いつもは「はいはい」と聞き入れるが今日の伊織は一味違った。
「ゆーくんも周りから結構人気あるんだし。周りの女子の目が怖いのよ!!」
察してよと睨みを利かす。
「伊織…お前…。それは嫉妬か?」
「?!」
あまりの解釈のずれに目玉が飛び出しそうになる。
「そうか…そうか…嫉妬しているのか…」
「いや、違うよ!何言ってるの?!」
いまだかつてない伊織の嫉妬だと察した夢統にはその後の伊織の反発は何も届かなかったのであった。
「ちょっと!!聞いてる?!ねぇゆーくんってば!!!」
なんて日だ…。
今日も伊織にとって心が重い1日の幕開けとなった。
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