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遭遇
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「はい?」
えーっと、婚約破棄、ですか。婚約破棄、婚約を破棄すること、ですよね?
「なぜ今更そんな狂ったことを言い出したのですか?」
私、ご迷惑をかけるようなことしましたかしら。心当たりは…まったくありませんね。むしろ感謝される謂れしか無いかと。そもそも婚約は親同士が決めていることで大々的に知れまわっています。そんな簡単に破棄できるようなものではないでしょうに。
「それが……俺は愛する人ができた!あんな面白みもないような女と結婚するなんて考えられない。俺にとって必要なのはリンだけだ!などと言っているのです。」
セレーネがアレン王子の様子を真似て言う。なかなか似ていますわね…それで、
「リン、というのは…あの平民の?」
「そうです。」
リン、彼女はこの学園の特別制度で入学してきた生徒。この学園では毎年平民の中でも選ばれた一人だけが入学できる制度があるのだ。その目的は公的には平民の様子を学ぶこととなっているが、裏の理由としてはプライドの高い貴族が貴族同士で学園内で揉め事を起こしづらいようにその不満のはけ口となること。
ですが、
レイリアはリンを思い浮かべる。
ピンクがかった髪にぱっちりとした大きな紫の瞳。小さくとても可愛らしい顔で、身長は小さめだが出るところは出ている、そして…学園ではいつも周りに異性がいたような印象だ。
彼女はいじめられるどころかむしろ味方がたくさんいるようです。
先程のセレーネ様の発言から察するにアレン王子も愛らしい彼女に骨抜きにされてしまった、といったところですかねぇ。
「それでレイリア様、どうなさります?」
「どう、とは?」
「あら、私言い忘れていました!それが……」
セレーネは少し気まずそうに言い淀む。
「言ってくださって構わないですわ。」
そう言うと、躊躇いつつも口を開いた。
「アレン王子が婚約破棄すると仰ったあと、その場でレイリアを呼んでこい!と叫んでお待ちしているのです。」
「なんですって?」
こんな公衆の面前で…本当に取り返しがつかないことになっていますわね。ここで私が行っても騒動になるでしょうし、行かなくてもきっと逃げただのなんだかんだ言って醜聞を広めそうですもの。まあその場合落ちるのは彼の品位かもしれませんが。彼、見目だけは良く、あれでも第一王子ですし今まではなんだかんだ周りに人はいましたけれど、きっとこれで皆彼の本性がわかって幻滅することでしょうからね。
それにしても……はぁぁ、また面倒事を増やして…こちとら最近ロクに睡眠を取れていないというのになんでこんな余計なことに巻き込まれないといけないのです?そんなに私を苦しめたいのでしょうか、いやただ自分の思うままに行動しているだけでなにも考えていないのでしょうね。
さて……
とりあえずこんな簡単に破棄するのは公爵家の威信にも関わりますしなんとかして諦めさせないといけないのでしょうがやはり、これは一旦引いたほうが良いかしらね。お父様方に知らせないといけないでしょうし。なんだか嫌な予感がします。さっさと帰らせていただきましょう。
「今日は」
早退させていただこうかしら。
そう言おうとした瞬間、声がかかった。
「おお、ここにいたか。レイリア。」
声音からして性格悪くこちらを嘲る気持ちがにじみ出ているあの声。
振り向けば、そこには短い金髪にこの国の象徴の紅の瞳をもつ美男子。ただし、彼の性格がにじみ出ており嫌な雰囲気を感じる残念な美男子、であるが。
そしてその横に控えているのは例の可憐な少女。
まずい、どうやらあの男がやってきてしまったようですわ。
えーっと、婚約破棄、ですか。婚約破棄、婚約を破棄すること、ですよね?
「なぜ今更そんな狂ったことを言い出したのですか?」
私、ご迷惑をかけるようなことしましたかしら。心当たりは…まったくありませんね。むしろ感謝される謂れしか無いかと。そもそも婚約は親同士が決めていることで大々的に知れまわっています。そんな簡単に破棄できるようなものではないでしょうに。
「それが……俺は愛する人ができた!あんな面白みもないような女と結婚するなんて考えられない。俺にとって必要なのはリンだけだ!などと言っているのです。」
セレーネがアレン王子の様子を真似て言う。なかなか似ていますわね…それで、
「リン、というのは…あの平民の?」
「そうです。」
リン、彼女はこの学園の特別制度で入学してきた生徒。この学園では毎年平民の中でも選ばれた一人だけが入学できる制度があるのだ。その目的は公的には平民の様子を学ぶこととなっているが、裏の理由としてはプライドの高い貴族が貴族同士で学園内で揉め事を起こしづらいようにその不満のはけ口となること。
ですが、
レイリアはリンを思い浮かべる。
ピンクがかった髪にぱっちりとした大きな紫の瞳。小さくとても可愛らしい顔で、身長は小さめだが出るところは出ている、そして…学園ではいつも周りに異性がいたような印象だ。
彼女はいじめられるどころかむしろ味方がたくさんいるようです。
先程のセレーネ様の発言から察するにアレン王子も愛らしい彼女に骨抜きにされてしまった、といったところですかねぇ。
「それでレイリア様、どうなさります?」
「どう、とは?」
「あら、私言い忘れていました!それが……」
セレーネは少し気まずそうに言い淀む。
「言ってくださって構わないですわ。」
そう言うと、躊躇いつつも口を開いた。
「アレン王子が婚約破棄すると仰ったあと、その場でレイリアを呼んでこい!と叫んでお待ちしているのです。」
「なんですって?」
こんな公衆の面前で…本当に取り返しがつかないことになっていますわね。ここで私が行っても騒動になるでしょうし、行かなくてもきっと逃げただのなんだかんだ言って醜聞を広めそうですもの。まあその場合落ちるのは彼の品位かもしれませんが。彼、見目だけは良く、あれでも第一王子ですし今まではなんだかんだ周りに人はいましたけれど、きっとこれで皆彼の本性がわかって幻滅することでしょうからね。
それにしても……はぁぁ、また面倒事を増やして…こちとら最近ロクに睡眠を取れていないというのになんでこんな余計なことに巻き込まれないといけないのです?そんなに私を苦しめたいのでしょうか、いやただ自分の思うままに行動しているだけでなにも考えていないのでしょうね。
さて……
とりあえずこんな簡単に破棄するのは公爵家の威信にも関わりますしなんとかして諦めさせないといけないのでしょうがやはり、これは一旦引いたほうが良いかしらね。お父様方に知らせないといけないでしょうし。なんだか嫌な予感がします。さっさと帰らせていただきましょう。
「今日は」
早退させていただこうかしら。
そう言おうとした瞬間、声がかかった。
「おお、ここにいたか。レイリア。」
声音からして性格悪くこちらを嘲る気持ちがにじみ出ているあの声。
振り向けば、そこには短い金髪にこの国の象徴の紅の瞳をもつ美男子。ただし、彼の性格がにじみ出ており嫌な雰囲気を感じる残念な美男子、であるが。
そしてその横に控えているのは例の可憐な少女。
まずい、どうやらあの男がやってきてしまったようですわ。
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