疲れた公爵令嬢はもう寝たい〜婚約破棄?……承認しましょうか〜

啄木鳥

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宣言

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ニヤニヤとした顔で声をかけてきたのは渦中の男、私の婚約者でありこの国の第一王子の、アレン・フォールだった。

そして例の少女、リン。彼女がアレン王子の腕にしなだれかかるようにして彼の隣に立っていた。


くっ、逃げ損ねましたわ

私達の周りには先程噂をしていた方々に加え王子の様子を見ていたのであろう方々も加わって大量の人がいます。こんな人目のある状況ではなかなか動きづらいですね。

さて、今から逃げようとしてもおそらく逃しはしてくれないでしょう。選択肢はありませんね、ここでなんとか言いくるめなければ……覚悟を決めましょうか。
そうと決まれば先手必勝!


「あらアレン王子、ごきげんよう。そんなに人を連れてどうなさいました?珍しいですわね、私になにかお話でもあるのでしょうか。それでしたらこのようなところではなんですからあちらの個室でもよろしくて?私、多少疲れておりまして今すぐにでも座りたいのです。ああできれば二人きりでお願いしますね。私、このように人に囲まれた状態ではあまりお話はしたくないですので。」

開口一番そうまくし立てると王子は少し面食らったようでポカンとした間抜け面を晒した。そのまま私が「よろしくて?」と尋ねると彼は勢いに押され頷きかける。いける、そう思ったがそこを遮ったのは彼女の手。ぐっと王子の腕を強くつかむとかろうじてこちらに聞こえるくらいの声で囁く。「アレン様、人がたくさんいますからきっとこちらの方がうまく行きますよ!それにそこでは私、アレン様のおそばに居れませんわ、こちらにしてほしいです!」と。

まったく、余計なことをしますね……

心の中で舌打ちをする。あのまま二人きりの個室にもっていければあの男は簡単に丸め込めたでしょうに。彼女は完全にあちら彼の側ですね、王妃の座でも狙っていたりでもするのでしょうか。彼よりだいぶ頭が回るようですから少し面倒くさいですわね。あ、でも頭が回るのでしたらこんなことをしたらどうなるかなんて考えられそうなものですけど……前言撤回やはりそれほど良くはない気がします。


王子はリンからの囁きを受けて我に返ったようだ。先程の阿呆面はどこへやら、再びこちらに向かって見下した笑みを浮かべている。

「ふん!お前の望みなど聞くわけないだろう!お前にはただこの話を告げに来ただけだ。どうせすぐ終わる。」

そして続け、言った。

「レイリア、俺はお前との婚約を破棄する!」

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