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「婚約破棄、承ります。」
きっぱりと、けれども悲しそうに言ったその言葉への人々の反応は、ほとんどが私へ憐れむような目を向けるものだった。なかなかうまくいってますね。
あの二人はと言えば…アレン王子は満足そうにその顔に高慢な笑みを浮かべ、リアは心から喜んでいるようでふわふわとその周りには花が舞っているかのような笑顔を見せていた。だがおかしなことにその視線は彼女の愛しの人、ではなく私、いや、後方の大衆へと向かっていた。
アレン王子が前へ一歩出る。
「それはそれは良かった。それでは!これにて公爵家レイリア・クレニアスと、この俺アレン・フォールとの婚約は解消となる!そして……俺はここにいるリアと婚約する!」
周りはその言葉に再びざわめき立つ。王子は本気であんな平民と?何をお考えに?レイリア様……といった声が大半のようだ。
あら?そういえばあのことって彼、理解していますかね?
「アレン王子、当然ですが今まで私がしていた執務などは全てあなた方がするというのはわかっていますよね?」
そう言うと王子は一瞬固まった。
だがすぐに動き出し、口を開いた、かと思えば耳を疑うような言葉が発せられていた。
「な、何を言っているのだ?そんなものお前がすればいいだろう。今までもお前がやっていたのだからな。お前がやったほうが都合が良いだろう。」
はぁ……本当に呆れますわ。何を言ってらっしゃるのでしょうかねぇ。
「そうですね、たしかに私がやったほうが向こうの仕事も捗りはするでしょう……」
そう言うと、少しでもホッとしたような顔になる。
まあするわけないんですけどね。
「ですが、なぜ『王太子夫妻がする執務』をたった今『他人』となった私がする道理があるのでしょうか?」
未だに少し悲しげな声のまま『王太子夫妻』と『他人』を強調して言うと彼の顔は微かに青ざめていく。だが、途中でふとなにかに気づいたような様子でその顔は嘲りへと変わる。
「は、そんなことを言って脅しても、もう婚約は破棄したんだ!お前と再び婚約することなんて絶対に無い!それに、お前が今までしていたことなんて、俺とリア二人でかかればできないはず無いだろう!」
そんなことを自信満々に彼は言った。
はぁ……まったくもって的外れですわ。婚約なんてもう頼まれてもしたくないというのに。なんて愚かなんでしょう。
「貴方と再び婚約することなど全く考えていませんでしたわ。そうとられるのでしたらご自由に。それに私のしていた執務にはこの国のことを下手な文官などよりも詳しく理解し考えなどしなければならないものが多々あるのですが……まあ、先程貴方はおっしゃってましたから大丈夫ですよね。『無くても身につければいいのだ』と。」
ニッコリと笑う。
「私は婚約者にあんなに言われてしまったので、もう大人しくスッパリと身を引いて今後あなた方には関わらないようにします。ああ、元、婚約者でしたね、ふふっ。それではお二方共々、頑張ってくださいね?」
できるものならば、ですがね。
そう副音声で付け加えると、彼は私の仕事の大変さをほんの少しは感じ取ったようで嘲る表情は変わらないままその顔は少し青ざめた。もう一人の渦中の人物であるリアは、それがわかっているのかいないのか、よくわからない笑みを崩さなかった。
きっぱりと、けれども悲しそうに言ったその言葉への人々の反応は、ほとんどが私へ憐れむような目を向けるものだった。なかなかうまくいってますね。
あの二人はと言えば…アレン王子は満足そうにその顔に高慢な笑みを浮かべ、リアは心から喜んでいるようでふわふわとその周りには花が舞っているかのような笑顔を見せていた。だがおかしなことにその視線は彼女の愛しの人、ではなく私、いや、後方の大衆へと向かっていた。
アレン王子が前へ一歩出る。
「それはそれは良かった。それでは!これにて公爵家レイリア・クレニアスと、この俺アレン・フォールとの婚約は解消となる!そして……俺はここにいるリアと婚約する!」
周りはその言葉に再びざわめき立つ。王子は本気であんな平民と?何をお考えに?レイリア様……といった声が大半のようだ。
あら?そういえばあのことって彼、理解していますかね?
「アレン王子、当然ですが今まで私がしていた執務などは全てあなた方がするというのはわかっていますよね?」
そう言うと王子は一瞬固まった。
だがすぐに動き出し、口を開いた、かと思えば耳を疑うような言葉が発せられていた。
「な、何を言っているのだ?そんなものお前がすればいいだろう。今までもお前がやっていたのだからな。お前がやったほうが都合が良いだろう。」
はぁ……本当に呆れますわ。何を言ってらっしゃるのでしょうかねぇ。
「そうですね、たしかに私がやったほうが向こうの仕事も捗りはするでしょう……」
そう言うと、少しでもホッとしたような顔になる。
まあするわけないんですけどね。
「ですが、なぜ『王太子夫妻がする執務』をたった今『他人』となった私がする道理があるのでしょうか?」
未だに少し悲しげな声のまま『王太子夫妻』と『他人』を強調して言うと彼の顔は微かに青ざめていく。だが、途中でふとなにかに気づいたような様子でその顔は嘲りへと変わる。
「は、そんなことを言って脅しても、もう婚約は破棄したんだ!お前と再び婚約することなんて絶対に無い!それに、お前が今までしていたことなんて、俺とリア二人でかかればできないはず無いだろう!」
そんなことを自信満々に彼は言った。
はぁ……まったくもって的外れですわ。婚約なんてもう頼まれてもしたくないというのに。なんて愚かなんでしょう。
「貴方と再び婚約することなど全く考えていませんでしたわ。そうとられるのでしたらご自由に。それに私のしていた執務にはこの国のことを下手な文官などよりも詳しく理解し考えなどしなければならないものが多々あるのですが……まあ、先程貴方はおっしゃってましたから大丈夫ですよね。『無くても身につければいいのだ』と。」
ニッコリと笑う。
「私は婚約者にあんなに言われてしまったので、もう大人しくスッパリと身を引いて今後あなた方には関わらないようにします。ああ、元、婚約者でしたね、ふふっ。それではお二方共々、頑張ってくださいね?」
できるものならば、ですがね。
そう副音声で付け加えると、彼は私の仕事の大変さをほんの少しは感じ取ったようで嘲る表情は変わらないままその顔は少し青ざめた。もう一人の渦中の人物であるリアは、それがわかっているのかいないのか、よくわからない笑みを崩さなかった。
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