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「はい。お気遣い、ありがとうございます」
「ルーファスくんなら、大丈夫だとは思ったんだけどね」
十六歳にもなると、見た目は大人と変わらない。
未成年者の交流がメインといっても、基本的に同じ年の者同士が集まる。
彼にしてみれば、デビュタントしたばかりの十二歳の集まりに、興味はなかったはずだ。
友人たちの輪を抜け、わざわざ出向いてきてくれたことを考える。
「目立ってましたか?」
「ルーファスくんが目立たないわけがないよ。割って入ってもよかったんだけど、火に油を注ぎそうだったからさ」
確かに、あそこでミアさんがやってきても、エリックの矛先が増えるだけだっただろう。
「しかしジラルド家にも困ったものだね。いくら王妃様から信頼されているにしても、分別は必要だろうに」
「悪気はないのだと思います」
エリックにとっては、あれが正義だった。
誤解から生じた点が、残念でならないけど。
「ルーファスくん、知っているかい? 悪気がないのが、一番性質が悪いんだよ。善意をはき違える奴がね」
そういう奴とは、いくら話し合ったところでわかり合えない、とミアさんは語る。
「関わらないに越したことはないけど……王妃派の連中は、こちらを目の敵にしているようだから、ルーファスくんも気を付けたほうがいいよ」
「母上は、実害はないとおっしゃってましたが」
「あー、そうだね、実害はないかな? 彼らの多くは、我々より爵位が低いから。できて嫌味を言ってくる程度だよ。だけどそれでも気分は悪いだろう?」
ミアさんの苦笑に、頷きで答える。
嫌味を言われて喜ぶのは、それが嫌味だと気付かない人だけだろう。
「高等学院に入ると、親の目がない分、より場をわきまえなくなるからさ」
「ミア様は今年入学されたのでしたね」
「そう、生徒の自主性を重んじるのはいいんだけど……って、ルーファスくんに愚痴っても仕方がないね。もっと気楽にしてくれていいよ。イアンのことでは大分世話になったしね」
何なら呼び捨てにしてくれてもいいくらい、とミアさんは僕が戸惑うくらいフランクだった。
「じゃあ、ミアさんとお呼びしていいですか?」
「あ、ミアお兄様はどうかな?」
「ミアお兄様……?」
ミアさんは年上だから、お兄様と呼んでもおかしくはないけど、リクエストされた理由がわからなかった。
「あはは、いいね! 友人たちに自慢しよう」
「自慢になるのですか?」
「なるとも! 皆ルーファスくんとはお近付きになりたいんだけど、ウッドワード卿が怖くて一歩を踏み出せなくてね。それにイアンのことでは、本当に感謝してるんだ。あれから顔付きが変わったって、父も大喜びでさ。逆にぼくは何もしてあげられなかったから、不甲斐ないばかりだよ」
どうやらイアンとお父上の関係は良くなっているみたいだ。
ミアさんの言葉が、イアンへの愛に溢れていて肩から力が抜ける。
イアンにとって厳しいだけの家じゃなくて良かった。
「ところで、ルーファスくんには、イアンと同じ年の妹がいるだけだよね?」
「はい、ヴィヴィアンだけです」
「だよね? イアンがお姉様って口にしてたから、誰のことなんだろうと思ってさ」
誰のことだろうね、イアン? 他にも余計なこと言ってないよね!?
「ヴィヴィアンが大人びて見えたのでしょうか」
「あぁ、そうかもしれないね。イアンは幼いところがあるから」
この場は誤魔化せたけど、今度イアンに会ったら厳しく注意しよう決める。
僕は一度だって、お姉様になったことはないんだと。
「ルーファスくんなら、大丈夫だとは思ったんだけどね」
十六歳にもなると、見た目は大人と変わらない。
未成年者の交流がメインといっても、基本的に同じ年の者同士が集まる。
彼にしてみれば、デビュタントしたばかりの十二歳の集まりに、興味はなかったはずだ。
友人たちの輪を抜け、わざわざ出向いてきてくれたことを考える。
「目立ってましたか?」
「ルーファスくんが目立たないわけがないよ。割って入ってもよかったんだけど、火に油を注ぎそうだったからさ」
確かに、あそこでミアさんがやってきても、エリックの矛先が増えるだけだっただろう。
「しかしジラルド家にも困ったものだね。いくら王妃様から信頼されているにしても、分別は必要だろうに」
「悪気はないのだと思います」
エリックにとっては、あれが正義だった。
誤解から生じた点が、残念でならないけど。
「ルーファスくん、知っているかい? 悪気がないのが、一番性質が悪いんだよ。善意をはき違える奴がね」
そういう奴とは、いくら話し合ったところでわかり合えない、とミアさんは語る。
「関わらないに越したことはないけど……王妃派の連中は、こちらを目の敵にしているようだから、ルーファスくんも気を付けたほうがいいよ」
「母上は、実害はないとおっしゃってましたが」
「あー、そうだね、実害はないかな? 彼らの多くは、我々より爵位が低いから。できて嫌味を言ってくる程度だよ。だけどそれでも気分は悪いだろう?」
ミアさんの苦笑に、頷きで答える。
嫌味を言われて喜ぶのは、それが嫌味だと気付かない人だけだろう。
「高等学院に入ると、親の目がない分、より場をわきまえなくなるからさ」
「ミア様は今年入学されたのでしたね」
「そう、生徒の自主性を重んじるのはいいんだけど……って、ルーファスくんに愚痴っても仕方がないね。もっと気楽にしてくれていいよ。イアンのことでは大分世話になったしね」
何なら呼び捨てにしてくれてもいいくらい、とミアさんは僕が戸惑うくらいフランクだった。
「じゃあ、ミアさんとお呼びしていいですか?」
「あ、ミアお兄様はどうかな?」
「ミアお兄様……?」
ミアさんは年上だから、お兄様と呼んでもおかしくはないけど、リクエストされた理由がわからなかった。
「あはは、いいね! 友人たちに自慢しよう」
「自慢になるのですか?」
「なるとも! 皆ルーファスくんとはお近付きになりたいんだけど、ウッドワード卿が怖くて一歩を踏み出せなくてね。それにイアンのことでは、本当に感謝してるんだ。あれから顔付きが変わったって、父も大喜びでさ。逆にぼくは何もしてあげられなかったから、不甲斐ないばかりだよ」
どうやらイアンとお父上の関係は良くなっているみたいだ。
ミアさんの言葉が、イアンへの愛に溢れていて肩から力が抜ける。
イアンにとって厳しいだけの家じゃなくて良かった。
「ところで、ルーファスくんには、イアンと同じ年の妹がいるだけだよね?」
「はい、ヴィヴィアンだけです」
「だよね? イアンがお姉様って口にしてたから、誰のことなんだろうと思ってさ」
誰のことだろうね、イアン? 他にも余計なこと言ってないよね!?
「ヴィヴィアンが大人びて見えたのでしょうか」
「あぁ、そうかもしれないね。イアンは幼いところがあるから」
この場は誤魔化せたけど、今度イアンに会ったら厳しく注意しよう決める。
僕は一度だって、お姉様になったことはないんだと。
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