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「お兄様だけお出かけなんて、ズルイですわ」
夜会のときと同じ顔のヴィヴィアンに手を伸ばす。
まだまだ僕には母上のような教育はできなかった。
頭を撫でられている間も、ヴィヴィアンは僕の服の裾を掴んで放さない。
「それにイアンも一緒なのでしょう?」
今日はアルフレッドに城へ招待されたんだけど、招待客にはイアンもいた。
あれから二人は、無事友達になれたらしい。
イアンから嬉しそうな報告は受けていたけど、三人で会うのは、これがはじめてだった。
「今度は家に来てもらおうか」
「招待するのは、イアンだけで十分ですわ! うぅ、わたくしもお兄様とお出かけしたいです……」
「じゃあ別の日にどこか出かける?」
基本的に侯爵家の子どもが、外に出かける機会は少ない。
それも招待を受けて出かけるのが当たり前で、僕とヴィヴィアンが一緒に屋敷を出るのは、祖父母を訪ねるときぐらいだった。
「約束ですわよ! わたくし、新しく出来たお店が気になってますの!」
どうやら目当ての場所があるらしく、行き先はヴィヴィアンに任せる。
買い物なら、商人を屋敷に呼べば済むけど、ヴィヴィアンは直接お店に行ってみたいのだろう。
「わかった、父上の許可が下りたら行こうか」
「わたくしから話しておきます! お兄様、いってらっしゃいませ」
既に気持ちがお店へと飛んでいるのか、前回とは違い、笑顔で見送られる。
うん、やっぱり見送られるなら、笑顔がいい。
現金なヴィヴィアンに和みながら、僕は馬車に乗った。
◆◆◆◆◆◆
「エリック!」
訪れたアルフレッドの自室で、イアン以外に見知った顔を見つけて、思わず声を上げる。
僕の呼びかけにエリックは首肯で答えた。
「なんだ、知り合いだったのか。お母様から同席させるよう言われたんだ」
「先日の夜会で会ったのですが……王妃様が?」
「エリックは、同年代の中でも一番強いらしい。年上相手でも勝つとか。身を守るのに、傍に置いとけって」
将来、近衛隊長を務めることを考えれば頷ける配置だ。
けれど僕としては、またエリックに会えたことが嬉しかった。
今後は、アルフレッドと一緒に、エリックにも会えるんだろうか。
「実は彼とはもう会えないと思っていたので、驚きました」
「そうなのか? ところでルーファス、今日はオマエに問い質したいことがある!」
これが本題だと、アルフレッドはイアンを連れ立って、僕の前に並んだ。
赤髪の天使と青髪の妖精が並ぶ様子に、天を仰ぐ。
まだ二人を同じ視界に収める心の準備ができていなかった。
天を仰いだのは、床だと二人の白い足が視界に入るからだ。揃ってショートパンツにソックスガーターをつけているのは卑怯だと思う。
アルフレッドがネクタイをしているのに対し、イアンが蝶ネクタイなのも可愛い。
イアンの胸元にカタバミのコサージュがつけられているのを見てほっこりする。ヴィヴィアンがプレゼントしたものだ。無事にパーシヴァル家でもコサージュは認められたらしい。
そして何気にアルフレッドがイアンの手を引いているのが辛い。尊くて、辛い。
これこそ絵に残すべきなのではないか。
「絵師の手配を頼んでもよろしいですか?」
「ダメだ! それより、ルーファスはどういうつもりなんだ!」
あえなく却下された。
アルフレッドの質問の意図がわからず、首を傾げる。
「どう、とは?」
「ルーファスは、オレとイアン、どっちのお、お兄様なんだ!?」
……はい?
夜会のときと同じ顔のヴィヴィアンに手を伸ばす。
まだまだ僕には母上のような教育はできなかった。
頭を撫でられている間も、ヴィヴィアンは僕の服の裾を掴んで放さない。
「それにイアンも一緒なのでしょう?」
今日はアルフレッドに城へ招待されたんだけど、招待客にはイアンもいた。
あれから二人は、無事友達になれたらしい。
イアンから嬉しそうな報告は受けていたけど、三人で会うのは、これがはじめてだった。
「今度は家に来てもらおうか」
「招待するのは、イアンだけで十分ですわ! うぅ、わたくしもお兄様とお出かけしたいです……」
「じゃあ別の日にどこか出かける?」
基本的に侯爵家の子どもが、外に出かける機会は少ない。
それも招待を受けて出かけるのが当たり前で、僕とヴィヴィアンが一緒に屋敷を出るのは、祖父母を訪ねるときぐらいだった。
「約束ですわよ! わたくし、新しく出来たお店が気になってますの!」
どうやら目当ての場所があるらしく、行き先はヴィヴィアンに任せる。
買い物なら、商人を屋敷に呼べば済むけど、ヴィヴィアンは直接お店に行ってみたいのだろう。
「わかった、父上の許可が下りたら行こうか」
「わたくしから話しておきます! お兄様、いってらっしゃいませ」
既に気持ちがお店へと飛んでいるのか、前回とは違い、笑顔で見送られる。
うん、やっぱり見送られるなら、笑顔がいい。
現金なヴィヴィアンに和みながら、僕は馬車に乗った。
◆◆◆◆◆◆
「エリック!」
訪れたアルフレッドの自室で、イアン以外に見知った顔を見つけて、思わず声を上げる。
僕の呼びかけにエリックは首肯で答えた。
「なんだ、知り合いだったのか。お母様から同席させるよう言われたんだ」
「先日の夜会で会ったのですが……王妃様が?」
「エリックは、同年代の中でも一番強いらしい。年上相手でも勝つとか。身を守るのに、傍に置いとけって」
将来、近衛隊長を務めることを考えれば頷ける配置だ。
けれど僕としては、またエリックに会えたことが嬉しかった。
今後は、アルフレッドと一緒に、エリックにも会えるんだろうか。
「実は彼とはもう会えないと思っていたので、驚きました」
「そうなのか? ところでルーファス、今日はオマエに問い質したいことがある!」
これが本題だと、アルフレッドはイアンを連れ立って、僕の前に並んだ。
赤髪の天使と青髪の妖精が並ぶ様子に、天を仰ぐ。
まだ二人を同じ視界に収める心の準備ができていなかった。
天を仰いだのは、床だと二人の白い足が視界に入るからだ。揃ってショートパンツにソックスガーターをつけているのは卑怯だと思う。
アルフレッドがネクタイをしているのに対し、イアンが蝶ネクタイなのも可愛い。
イアンの胸元にカタバミのコサージュがつけられているのを見てほっこりする。ヴィヴィアンがプレゼントしたものだ。無事にパーシヴァル家でもコサージュは認められたらしい。
そして何気にアルフレッドがイアンの手を引いているのが辛い。尊くて、辛い。
これこそ絵に残すべきなのではないか。
「絵師の手配を頼んでもよろしいですか?」
「ダメだ! それより、ルーファスはどういうつもりなんだ!」
あえなく却下された。
アルフレッドの質問の意図がわからず、首を傾げる。
「どう、とは?」
「ルーファスは、オレとイアン、どっちのお、お兄様なんだ!?」
……はい?
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