4 / 10
第3話 獣耳っ娘は至高なんだよぉ!
しおりを挟む
次の日、俺らは訓練という名の戦闘能力計測をこっそりと抜け出して人気のない場所に来ていた。
「さて、じゃあやるぞ」
「ん」
「《顕現せよ・我が望むは高潔なる黄金狐・我が呼び掛けに答えよ》」
すると、魔術式が浮かび上がり、一人の女性が現れる。
その女性の頭には狐らしい耳が。おしりからは狐のような尻尾が生えており、ふさふさゆらゆらしている。
召喚が終わり、魔術式が消えると女性が俺に向かって駆け出した。
「ご主人!」
ぼふっという音とともに俺の胸に飛び込む。
「会いたかった。会いたかったわぁ……」
そのまま頭を胸にぐりぐりと擦り付ける彼女。
彼女の頭を優しく撫でて「ごめんな」と言う。
「月乃は本当に、祐希君が好き」
「そりゃそうやわぁ。なんせ、ウチが初めて負けた相手やさかい、惚れるのも当たり前やわ」
「ん。わかる。けど、祐希君は私のモノ。例え月乃でも渡さない」
そう言って、俺の愛しい彼女は左腕に抱きつく。
柔らかい感触が左腕を包み込む。
「……あの、楓さん? その、貴女の柔らかくて大きいモノが当たってるんですけど」
「当ててんのよ」
何故、楓がそのネタを知っている?
「ていうか、今まで何度も見てるのに当てられたぐらいどうってことないでしょ?」
「いや、確かにそうだけどさ……」
「ほんと、お二人は仲がええなぁ。羨ましいわぁ」
「はいはい。雑談はそこまで。月乃、やって欲しいことがあるんだが、大丈夫か?」
「大丈夫や。例え、大丈夫やなかっても、ご主人の頼みなら大丈夫になるようにすんのが、ウチの役目やさかい」
その言葉に「変わってないな」と零す。
「なら、今の王都の状況を偵察してきて欲しい。最悪の場合、強行突破で王都を脱出する」
「了解や。……春乃も喚んでもらわれへんやろか? ウチだけやと範囲が広すぎるさかい、【分身】を使える春乃も欲しいわ。ウチと春乃の分身、計八体もおったらなんとかなるはずや」
「了解」
先程と同じ呪文を唱え、春乃を召喚する。
「──っ!!」
ぽふん
春乃が俺に抱きつく。
「くんくん。くんくん。ご主人様の匂いなのじゃ……」
「こら、勝手に人の匂いを嗅ぐな」
「ご主人様、我より先に月乃を喚ぶなぞ、どんな了見じゃ?」
「喚び出す順番なんか関係ないだろ?」
「大アリなのじゃ!」
ぽかぽかぽかと胸を叩く獣人少女。
月乃とは反対に、その外装はまな板であり、背も比較的小さい。
何故か知らないが、春乃に対しては楓も張り合ったりしない。……何故だろうか?
……楓の視線が月乃の双丘で釘付けになっている気が……ああ、そういう事か。ったく、心配しすぎだっての。
「ほ~ら、月乃の胸に対抗意識を燃やさないの」
楓の頭をチョップして意識をこっちに向けさせる。
「うぅ……痛い。酷い。断固抗議する」
「却下する。第一、お前のも、うちのクラスの平均から考えたら十分大きいじゃねぇか」
「ふーん。祐希君は、私の他にもクラスの女子の胸を見てたんだ?」
楓さん、その笑顔だけで人が殺せそうな程に怖いんですが。
「うおっほん。春乃、詳細は月乃から聞いてくれるか?」
「分かったのじゃ」
春乃はそこで一息を吐き、俺の方を見てこう言った。
「我ら【妖狐の姫】は、今一度、汝と契約を結ばん。《コントラクト》」
「それ、必要か? 前の契約は永久契約だったはずだが……」
「気分の問題じゃ。端から魔術なぞ起動しとらんし」
「それは分かってる。こう見えても元勇者だぞ?」
「そうじゃな」
ひとしきり、俺に抱きついて満足したのか、春乃は尻尾を振りながら俺から離れ、鼻歌を歌いだす。
「よし、それじゃあ、行け」
俺の掛け声とともに、二人は元からそこにいなかったかのように掻き消えた。
「さて、じゃあやるぞ」
「ん」
「《顕現せよ・我が望むは高潔なる黄金狐・我が呼び掛けに答えよ》」
すると、魔術式が浮かび上がり、一人の女性が現れる。
その女性の頭には狐らしい耳が。おしりからは狐のような尻尾が生えており、ふさふさゆらゆらしている。
召喚が終わり、魔術式が消えると女性が俺に向かって駆け出した。
「ご主人!」
ぼふっという音とともに俺の胸に飛び込む。
「会いたかった。会いたかったわぁ……」
そのまま頭を胸にぐりぐりと擦り付ける彼女。
彼女の頭を優しく撫でて「ごめんな」と言う。
「月乃は本当に、祐希君が好き」
「そりゃそうやわぁ。なんせ、ウチが初めて負けた相手やさかい、惚れるのも当たり前やわ」
「ん。わかる。けど、祐希君は私のモノ。例え月乃でも渡さない」
そう言って、俺の愛しい彼女は左腕に抱きつく。
柔らかい感触が左腕を包み込む。
「……あの、楓さん? その、貴女の柔らかくて大きいモノが当たってるんですけど」
「当ててんのよ」
何故、楓がそのネタを知っている?
「ていうか、今まで何度も見てるのに当てられたぐらいどうってことないでしょ?」
「いや、確かにそうだけどさ……」
「ほんと、お二人は仲がええなぁ。羨ましいわぁ」
「はいはい。雑談はそこまで。月乃、やって欲しいことがあるんだが、大丈夫か?」
「大丈夫や。例え、大丈夫やなかっても、ご主人の頼みなら大丈夫になるようにすんのが、ウチの役目やさかい」
その言葉に「変わってないな」と零す。
「なら、今の王都の状況を偵察してきて欲しい。最悪の場合、強行突破で王都を脱出する」
「了解や。……春乃も喚んでもらわれへんやろか? ウチだけやと範囲が広すぎるさかい、【分身】を使える春乃も欲しいわ。ウチと春乃の分身、計八体もおったらなんとかなるはずや」
「了解」
先程と同じ呪文を唱え、春乃を召喚する。
「──っ!!」
ぽふん
春乃が俺に抱きつく。
「くんくん。くんくん。ご主人様の匂いなのじゃ……」
「こら、勝手に人の匂いを嗅ぐな」
「ご主人様、我より先に月乃を喚ぶなぞ、どんな了見じゃ?」
「喚び出す順番なんか関係ないだろ?」
「大アリなのじゃ!」
ぽかぽかぽかと胸を叩く獣人少女。
月乃とは反対に、その外装はまな板であり、背も比較的小さい。
何故か知らないが、春乃に対しては楓も張り合ったりしない。……何故だろうか?
……楓の視線が月乃の双丘で釘付けになっている気が……ああ、そういう事か。ったく、心配しすぎだっての。
「ほ~ら、月乃の胸に対抗意識を燃やさないの」
楓の頭をチョップして意識をこっちに向けさせる。
「うぅ……痛い。酷い。断固抗議する」
「却下する。第一、お前のも、うちのクラスの平均から考えたら十分大きいじゃねぇか」
「ふーん。祐希君は、私の他にもクラスの女子の胸を見てたんだ?」
楓さん、その笑顔だけで人が殺せそうな程に怖いんですが。
「うおっほん。春乃、詳細は月乃から聞いてくれるか?」
「分かったのじゃ」
春乃はそこで一息を吐き、俺の方を見てこう言った。
「我ら【妖狐の姫】は、今一度、汝と契約を結ばん。《コントラクト》」
「それ、必要か? 前の契約は永久契約だったはずだが……」
「気分の問題じゃ。端から魔術なぞ起動しとらんし」
「それは分かってる。こう見えても元勇者だぞ?」
「そうじゃな」
ひとしきり、俺に抱きついて満足したのか、春乃は尻尾を振りながら俺から離れ、鼻歌を歌いだす。
「よし、それじゃあ、行け」
俺の掛け声とともに、二人は元からそこにいなかったかのように掻き消えた。
0
あなたにおすすめの小説
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました
かにくくり
ファンタジー
魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。
しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。
しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。
勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。
そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
※小説家になろうにも掲載しています。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
二度目の勇者は救わない
銀猫
ファンタジー
異世界に呼び出された勇者星谷瞬は死闘の果てに世界を救い、召喚した王国に裏切られ殺された。
しかし、殺されたはずの殺されたはずの星谷瞬は、何故か元の世界の自室で目が覚める。
それから一年。人を信じられなくなり、クラスから浮いていた瞬はクラスメイトごと異世界に飛ばされる。飛ばされた先は、かつて瞬が救った200年後の世界だった。
復讐相手もいない世界で思わぬ二度目を得た瞬は、この世界で何を見て何を成すのか?
昔なろうで投稿していたものになります。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる