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7話 ねぇ? いま、失礼なことを考えたよね? よね?(`•̥ н •̥´)
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「ふぅ……向こうでは魔術なんて使うこと、殆ど無かったもんなぁ。まだちょっとだけ腕が鈍ってる」
「ん。私も身体の感覚だけで【潰すちゃん八号】を振り回してるから」
「やっぱそのネーミングセンス、どうにかならないか?」
「ならない。」
キッパリと言い切る楓に肩を竦める。
「はぁ、分かった分かった。それはそれとして、これでその魔石の効果が分かったはずだ」
「は、はい。普段は使えないのに、水牙狼が使えて……」
「俺としては、この短期間で水牙狼を制御出来る技量があることに驚きだな。このチーター共め」
「ん。私達も大概だったけど、貴女達は異常。それはもう異常。テレ○が緊急特番を組むぐらい異常」
「それって世紀末じゃないですかっ!!」
酷い言われようである。
これには某〝何があっても通常番組を放映し続ける局〟の皆様も怒っていいと思う。
いや、〝緊急特番を組むときは世界が終わるときだ局〟の皆様だったかもしれない。
そんなことはどうでもいい。
問題は、この力が何処から来ているのかということだ。
エネルギー保存の法則はこの〝剣と魔術のファンタジー世界〟でも存在している。
つまり、何の訓練もしていなかったただの学生が初めから力を手に入れているというのは、出処不明のエネルギーをその身に宿しているということになる。
……俺と楓にはそんな細工の形跡、なかったよなぁ。
第一、不自然なエネルギーが身体に侵入してきたら分かるし。
「俺から言わせてもらうとな、エネルギー保存の法則が完全に崩壊してるんだよ。何が消費されてお前たちに力が渡ったのかが分からない」
いやまぁ、何となく二通りの予想はつくんだけど。
ひとつは、女神やそれに準ずる者が内包するエネルギーを消費している。
もうひとつは、世界が内包している、世界が世界であるためのエネルギーを消費している。
前者ならまだいいが、後者となれば不味いな。
世界のエネルギーが減る──つまりは、世界の生命力が減ると、内包する生命が生きていけなくなる。
すると、世界が自身を生かすために内包する生命から生命力の補充を行う。
仕組み的には、ナメクジに塩を掛けるようなものだな。
ナメクジは浸透圧によるものだが。
「まぁ、多分、世界のエネルギーか女神のエネルギーが消費されてるんだろうけど、女神のあの状態を見るに世界のエネルギーの方が消費されたな」
「ん。でも、今のこの世界の管理者は自称女神じゃない。邪神が自身のエネルギーを使った可能性は?」
「それこそ有り得ないだろ。仮にも邪神だろ?」
「んー、ま、確かにそう」
楓の頭をぽんぽんと撫でる。
「取り敢えず、ここから離れるぞ。臭いは風を操ってここで留めてるが、いつさっき見たいのが寄ってくるとも限らない。楓、桑乃、離れてろ」
「んっ」
「は、はい!」
「《灯せ・更に焚べよ》」
火力を増した炎を生み出し、レッドベアーの血痕を全て蒸発させる。
解体したレッドベアーは全部異空間の中だ。
何に使えるか分からないしな。
主に食糧とか、食糧とか、食糧とか……ああ見えてな、楓、かなり大食らいなんだ。だから、食費でお金の殆どが飛んでい──
「ねぇ、祐希君。何か失礼なことを考えなかった?」
何故バレたし。
「気の所為だろ」
「嘘だよね? 目が一瞬、泳いだよ?」
普段、大人しい言葉遣いの楓が突然饒舌になるのが怖いのなんの。
「ただ食糧の心配をしていただけだ」
「ふぅ~ん」
「よし、移動するぞ。桑野、話は全部、休憩出来る場所に着いてから話す。それでいいか?」
「え? あ、はいっ!」
「よし、いい子だ。楓、桑乃を抱えろ」
「んっ」
てくてくと桑野に近付いた楓は、ひょいっと彼女を持ち上げ、俺に寄ってくる。
「ぶい」
「よぉし、飛ばすぞ」
さあ行こう。
精霊の泉へ。
俺達が前の召喚の時に出来た仲間の下へ。
「ん。私も身体の感覚だけで【潰すちゃん八号】を振り回してるから」
「やっぱそのネーミングセンス、どうにかならないか?」
「ならない。」
キッパリと言い切る楓に肩を竦める。
「はぁ、分かった分かった。それはそれとして、これでその魔石の効果が分かったはずだ」
「は、はい。普段は使えないのに、水牙狼が使えて……」
「俺としては、この短期間で水牙狼を制御出来る技量があることに驚きだな。このチーター共め」
「ん。私達も大概だったけど、貴女達は異常。それはもう異常。テレ○が緊急特番を組むぐらい異常」
「それって世紀末じゃないですかっ!!」
酷い言われようである。
これには某〝何があっても通常番組を放映し続ける局〟の皆様も怒っていいと思う。
いや、〝緊急特番を組むときは世界が終わるときだ局〟の皆様だったかもしれない。
そんなことはどうでもいい。
問題は、この力が何処から来ているのかということだ。
エネルギー保存の法則はこの〝剣と魔術のファンタジー世界〟でも存在している。
つまり、何の訓練もしていなかったただの学生が初めから力を手に入れているというのは、出処不明のエネルギーをその身に宿しているということになる。
……俺と楓にはそんな細工の形跡、なかったよなぁ。
第一、不自然なエネルギーが身体に侵入してきたら分かるし。
「俺から言わせてもらうとな、エネルギー保存の法則が完全に崩壊してるんだよ。何が消費されてお前たちに力が渡ったのかが分からない」
いやまぁ、何となく二通りの予想はつくんだけど。
ひとつは、女神やそれに準ずる者が内包するエネルギーを消費している。
もうひとつは、世界が内包している、世界が世界であるためのエネルギーを消費している。
前者ならまだいいが、後者となれば不味いな。
世界のエネルギーが減る──つまりは、世界の生命力が減ると、内包する生命が生きていけなくなる。
すると、世界が自身を生かすために内包する生命から生命力の補充を行う。
仕組み的には、ナメクジに塩を掛けるようなものだな。
ナメクジは浸透圧によるものだが。
「まぁ、多分、世界のエネルギーか女神のエネルギーが消費されてるんだろうけど、女神のあの状態を見るに世界のエネルギーの方が消費されたな」
「ん。でも、今のこの世界の管理者は自称女神じゃない。邪神が自身のエネルギーを使った可能性は?」
「それこそ有り得ないだろ。仮にも邪神だろ?」
「んー、ま、確かにそう」
楓の頭をぽんぽんと撫でる。
「取り敢えず、ここから離れるぞ。臭いは風を操ってここで留めてるが、いつさっき見たいのが寄ってくるとも限らない。楓、桑乃、離れてろ」
「んっ」
「は、はい!」
「《灯せ・更に焚べよ》」
火力を増した炎を生み出し、レッドベアーの血痕を全て蒸発させる。
解体したレッドベアーは全部異空間の中だ。
何に使えるか分からないしな。
主に食糧とか、食糧とか、食糧とか……ああ見えてな、楓、かなり大食らいなんだ。だから、食費でお金の殆どが飛んでい──
「ねぇ、祐希君。何か失礼なことを考えなかった?」
何故バレたし。
「気の所為だろ」
「嘘だよね? 目が一瞬、泳いだよ?」
普段、大人しい言葉遣いの楓が突然饒舌になるのが怖いのなんの。
「ただ食糧の心配をしていただけだ」
「ふぅ~ん」
「よし、移動するぞ。桑野、話は全部、休憩出来る場所に着いてから話す。それでいいか?」
「え? あ、はいっ!」
「よし、いい子だ。楓、桑乃を抱えろ」
「んっ」
てくてくと桑野に近付いた楓は、ひょいっと彼女を持ち上げ、俺に寄ってくる。
「ぶい」
「よぉし、飛ばすぞ」
さあ行こう。
精霊の泉へ。
俺達が前の召喚の時に出来た仲間の下へ。
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