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《第二部》僕の彼氏

委員長と一緒

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キヨくんが僕の側に居るせいなのかどうか、学食を出る時はここに入って来た時のようには絡まれなかった。三浦君は、あちこちから声を掛けられて、シナを作って答えてたけど。…流石だった。キヨくんは、三浦君を呆れたように眺めながら、僕に言った。

「橘はあれを真似しちゃダメだぞ。あれは三浦だからアリなだけで、橘がやったら、あっという間に空き教室に連れ込まれるかもしれないからな?」


そう過保護な事を言ってくるので、隣にいた箕輪君達はゲラゲラ笑った。僕は少し不貞腐れて、生返事をしていたんだけど、皆がそれぞれに散っていくと、キヨくんと僕だけが二人きりになった。キヨくんはこっちと言いながら、校舎の外れにある自販機の所まで僕を一緒に連れて行った。

「ここに飲みたい銘柄があるんだ。」

そう言いながら、ガコンとレモンスカッシュを買った。僕にも何か飲むかと尋ねるので、僕は葡萄味の微炭酸を選んだ。


「ありがとう。今度奢るね。」

僕はこんな場所が有るのかとキョロキョロ辺りを見回しながら、周囲を目隠しの塀に囲まれた裏庭に足を踏み入れた。

「へぇ、この学校敷地は広いって知ってたけど、こんな場所が有るなんて知らなかった。」

僕がそう言って建物の土台の段差に腰掛けると、キヨくんは炭酸に顔を顰めながら頷いた。

「俺も。去年卒業した先輩に教えてもらったんだ。」


僕はそう言えば、さっきも先輩の話が出たなと思い出しながら、キヨくんに尋ねた。

「キヨくんって、先輩に付き纏われたって言ってたでしょ。何か困ってたの?」

キヨくんはあーとか言いながら、言いづらそうに僕を見て言った。


「玲に誤解されたくないから言うけど、俺一年の頃、二年のゲイに狙われたんだ。勿論カミングアウトなんてしてないし、どうしてバレたのか分からなかったけどね。結構ゲイで有名な人だったからさ、俺の事まで噂されるのは望んで無かったから、困ったことになったなと思って。

その時に助けてくれたのが、ここ教えてくれた先輩。その人もそっちの人だったけど、俺の事は全然眼中に無かったから助かった。…その人には色々そっちの情報を教えて貰った。あ、そんなんじゃないから!実際に具体的な事はないから!」


僕の心の動揺が見えたのか、キヨくんは慌てて僕の疑念を打ち払ってくれた。ちょっとだけ、その先輩と何かあったのかと思ったのが顔に出たのかな。僕が反省していると、キヨくんが僕の腰に手を回して、ぐいっと引き寄せて言った。

「もしかして、心配した?俺が誰かと色々したのかなって。言っただろう?玲とキスしたのが初めてだって。…玲の唇は柔らかくて気持ち良いし、口の中は凄い甘いんだ。昨日夢に見たよ。夢じゃないって教えてくれる?」

キヨくんのストッパーが、すっかり外れたように感じるのは僕の気のせいかな!?

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