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精霊の正体
死霊を連れ出さねばなりません
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僕は精霊の死霊に少し待っててくれるように頼むと、僕を心配そうに見つめる三人の所に戻った。祭壇を振り返ると、赤い口を歪めながら、ふわふわと精霊の死霊が動き回っている。僕はため息をついて皆の顔を見回した。
「えー、皆さんに悲しいお知らせがあります。」
テディが大袈裟に、尖った大きな耳を塞いで言った。
「うわぁっ!聞きたくない!パトリックのお知らせは怖すぎなんだってば!」
ミッキーはテディの肩を組むと、慰める様に言った。
「いやパトリックは、たまには凄い良い話も持ってくるから、今回はそれかもよ?」
そう言うミッキーにケルビンが呆れた様に言い放った。
「馬鹿。今パトリックは悲しいお知らせって言ったんだぜ?良い話じゃないに決まってるだろ?パトリック、俺たちがびびって逃げ出す前に早く話してくれよ。」
僕はチラッと祭壇をもう一度見た。心なしかふわふわがウキウキして見えるのは気のせいだろうか…。
「コホン。えっと、この洞窟はそもそもターゲットの洞窟ではありませんでした。ですからスタンプはここには有りません。ちょっと詳しい話はここではしませんが、端的に言えば、ここに住み着いていた精霊の死霊を連れて行く事になりました。」
僕の言葉に三人が「精霊の死霊?」「連れてく?」「ここじゃない?」と、ボソッとみんなの心の声が声に出ちゃっていた。
僕は苦笑すると、三人に洞窟の外で待っててくれるように頼むと、踵を返して祭壇の前に戻った。三人が尻尾を垂らしながらも僕を気にしながら、ゆっくり出口に戻っていくのを目の端に見ながら、ふわふわに話し掛けた。
「とりあえず、外に連れて行って欲しいんですよね?どうやったら貴方を連れ出せるの?…僕について来るだけで良いのかな?」
ふわふわはニタリと笑うと、僕に言った。
「まずはパトリックにお礼をしないとね。この祭壇の裏を覗いてごらん?」
すっかり自分の名前が覚えられてしまった事に嫌な予感を感じながらも、僕は精霊の死霊を刺激したくなかったので、言われるままに祭壇の裏を覗き込んだ。そこには見るからに宝箱のようなものが、すっぽりとハマっていた。
ふわふわは上機嫌に僕にニタリと笑いかけて言った。
「それは君にあげるよ。僕には役に立たないものだけど、君たちは喜びそうだ。ちょっと重いけど、君の腰のソレに入れたら持てるだろう?」
僕は両手で抱えるのが精一杯のいかにもな宝箱をマジックバックに入れながら、ふと頭に浮かんだ言葉を考えずにはいられなかった。ただより怖いものはないってお祖父様が仰ってた…。
けれども乗りかかった船はもう出発してしまった。僕が宝箱を仕舞うのを見つめていたふわふわは、ウキウキした様子で僕に言った。
「じゃあ、ちょっと取り憑かせてもらうね?パトリック。」
「えー、皆さんに悲しいお知らせがあります。」
テディが大袈裟に、尖った大きな耳を塞いで言った。
「うわぁっ!聞きたくない!パトリックのお知らせは怖すぎなんだってば!」
ミッキーはテディの肩を組むと、慰める様に言った。
「いやパトリックは、たまには凄い良い話も持ってくるから、今回はそれかもよ?」
そう言うミッキーにケルビンが呆れた様に言い放った。
「馬鹿。今パトリックは悲しいお知らせって言ったんだぜ?良い話じゃないに決まってるだろ?パトリック、俺たちがびびって逃げ出す前に早く話してくれよ。」
僕はチラッと祭壇をもう一度見た。心なしかふわふわがウキウキして見えるのは気のせいだろうか…。
「コホン。えっと、この洞窟はそもそもターゲットの洞窟ではありませんでした。ですからスタンプはここには有りません。ちょっと詳しい話はここではしませんが、端的に言えば、ここに住み着いていた精霊の死霊を連れて行く事になりました。」
僕の言葉に三人が「精霊の死霊?」「連れてく?」「ここじゃない?」と、ボソッとみんなの心の声が声に出ちゃっていた。
僕は苦笑すると、三人に洞窟の外で待っててくれるように頼むと、踵を返して祭壇の前に戻った。三人が尻尾を垂らしながらも僕を気にしながら、ゆっくり出口に戻っていくのを目の端に見ながら、ふわふわに話し掛けた。
「とりあえず、外に連れて行って欲しいんですよね?どうやったら貴方を連れ出せるの?…僕について来るだけで良いのかな?」
ふわふわはニタリと笑うと、僕に言った。
「まずはパトリックにお礼をしないとね。この祭壇の裏を覗いてごらん?」
すっかり自分の名前が覚えられてしまった事に嫌な予感を感じながらも、僕は精霊の死霊を刺激したくなかったので、言われるままに祭壇の裏を覗き込んだ。そこには見るからに宝箱のようなものが、すっぽりとハマっていた。
ふわふわは上機嫌に僕にニタリと笑いかけて言った。
「それは君にあげるよ。僕には役に立たないものだけど、君たちは喜びそうだ。ちょっと重いけど、君の腰のソレに入れたら持てるだろう?」
僕は両手で抱えるのが精一杯のいかにもな宝箱をマジックバックに入れながら、ふと頭に浮かんだ言葉を考えずにはいられなかった。ただより怖いものはないってお祖父様が仰ってた…。
けれども乗りかかった船はもう出発してしまった。僕が宝箱を仕舞うのを見つめていたふわふわは、ウキウキした様子で僕に言った。
「じゃあ、ちょっと取り憑かせてもらうね?パトリック。」
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