お隣さんは僕のまたたび〜拗らせ両片思いの功罪

コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26

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それは始まりの始まり

気まずい遭遇

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青山さんのアドバイスで、街歩きでもおかしくない白いスポーツシューズを選んだ僕は、会計を済ませようと店員さんが商品を包んでくれるのを待っていた。

ぱっと見小さな店かと思いきや、奥行きや地下もあって品数豊富なこの店は若者に人気の様で、次から次へとお客さんが入っては出て行った。僕がレジを終えて商品を受け取ると、僕は青山さんが誰かと話しをしているのに気がついた。


背中を向けて棚の向こうで話をしてる青山さんの後ろから顔を出すと、そこには翔ちゃんと多分彼女さんらしき女の子が居た。ドクンと胸が嫌な音を立てて、同時になんとも言えない苦々しい感情が渦巻いた。

彼女さんと一緒にいる翔ちゃんにニ度と会いたくはなかったのに。そんな僕の気持ちを知ってか知らずか、翔ちゃんも驚きの表情を浮かべて、次の瞬間には眉を顰めて僕と青山さんを交互に見つめた。

「…侑、何で弓弦と一緒?」

すると青山さんが僕の肩に手を回して楽しげに言った。


「今日は侑くんとお買い物デートなんだ。お前達もデートだろ?」

僕は青山さんが冗談でも変な事を翔ちゃんに言ったことにびっくりしたけれど、同時に翔ちゃんに僕の動揺を悟らせたくなかった。だから思わず同調する事を言ってしまったのもそのせいだろう。

「…今日は青山さんに無理言って靴選んでもらったの。じゃあね、翔ちゃん。」

僕は翔ちゃんの彼女さんの顔を見るのは出来なかった。だからちょっと無視した感じになってしまったけれど、恥ずかしがっていると勘違いしてくれたら良いな。まだ翔ちゃんの彼女さんと対面切って話をする気分にはなれない。


僕が店の出口へと向かうと、翔ちゃんと少し話していた青山さんが二人と別れて僕の後をついて来た。

「いいの?翔太と話さなくて。あいつ侑くんと話したそうだったけど。…何か翔太って侑くんの事めちゃくちゃ可愛がってんのね。いつから連絡取ってるのかって、凄い怖い顔で詰められたわ。」

僕は動揺を隠そうと、前を真っ直ぐ向いたまま呟いた。

「昔から過保護だから…。でも関係なくない?彼女と来てたのにさ。余計なお世話って感じ。」

そう言うと青山さんは、面白そうに笑って僕の顔を覗き込んで言った。


「そうなの?何か可愛い幼馴染の反抗期って感じだよね。翔太もバカだよね。あんな子より侑くんの方がよっぽど可愛いのにね。翔太はさ、人が良いから、それこそ俺をトロフィー彼氏にしてた元カノ達と同じ事されてるのに全然気がついてないんだよ。

男はバカだよね。…あの子ってあんまり良い噂聞かないからさ。圭はおすすめしてたけど、あいつは根っからの女ったらしだからねぇ。まぁ、翔太は基本女子には塩対応だから、あれくらいグイグイくる女子で丁度なのかな?」


そう呆れた様に話す青山さんの言葉は、グサグサと僕に刺さりっぱなしだった。そんな女子なら僕にしとけば良いのに。そう言う僕だって十分ビッチだ。…男はビッチって言わないのかな。

「‥なんか機嫌悪い?ごめんね、侑くんの大事な幼馴染の事色々言って。でもさ、翔太はあの子より侑くんの方をよっぽど大事にしてる感じしてて、この前の花火大会でもヤバい雰囲気だったんだよ。」


僕は顔を上げて青山さんを見つめた。青山さんはにっこり笑って言った。

「やっぱり翔太のことは気になるんだ。反抗期でも大事な幼馴染だもんね。いやね?翔太が侑くんの事無理矢理送ってったでしょ。そしたらあの彼女さん、めちゃくちゃ怒っててさ。怖かったよ。

普段翔太の前じゃ猫被ってるからさ、皆んなで顔を見合わせて怖ぇってなってさ。でも俺だって侑くんだったら絶対送ってったよ。侑くんには俺もクラクラするからさ。」


いきなり口説かれて、僕は不意を突かれて青山さんのじっと僕を見つめる瞳に囚われてしまった。

「…青山さんも、圭さんの事言えないんじゃないですか?中坊にそんな事言うなんて。」

すると青山さんはクスクス笑って僕の頬を軽くツネってささやいた。

「全く、スルスルと逃げるのが上手いんだから。流石に中学生出されたら、こっちから手は出せないよ。いくら同性でもね。でも俺、侑くんは性別関係なく可愛いなって思ってるからさ。そこん所よろしくね。」







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