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プロローグと独り立ち
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プロローグ
身体がだるくて、起き上がるのも嫌だ。
男はその日も、お日様が傾きかかった頃に、万年床から起き出した。
2ヶ月ほど前にあるバイト先を首になり、それから僅かな蓄えで生きているというか死んでいないだけの生活を、続けている。
テレビでは昨日起こった電車内での無差別殺人のニュースが流れていた。
「犯人は死刑になりたい。との理由で犯行に・・・」
こいつもか。
男はこの世界にどれだけ沢山の「死ねない者」がいるんだろうと思いながら、食べ物さえなくなった部屋を10日ぶりに出ることにした。
アパート2階の部屋から出て階段に足を踏み出した時に、男は目眩を感じ足を踏み外した。
浮遊感が男を包む
「これで死ねるのか。」
男はそれだけを考えていた。
階段に身体中を打ち付けながらコンクリートの地面に、頭から叩きつけられる。
痛みは感じなかった、何か温かいものが身体から流れ出ている感覚だけを最後の感じ、男は闇に囚われていった。
~お前の願いを叶えよう。今度こそ好きに生きるが良い。~
そんな声が聞こえた気がした。
ーー 生まれ変わり。
目を開けると男は、見知らぬ天井を見つめていた。
『どこだ?病院ではないようだ。確か・・俺は、階段から・・落ちたはず。』と考えていたところに、少女が現れ男に声をかけた。
「アレフ、気分は、どう?」
その言葉と共に男に頭の中に、アレフと言う男の人生の記憶が流れ込んできた。
『俺はこの世界のアレフと言う男に生まれ変わったようだ。』そう思ってると、反応しない男が心配になったのか、少女はアレフの額に手を当てて。
「熱はないわよね。」
と言った。
「カーリー、俺は大丈夫だよ。少し眠いだけ。」
と男は答えると、目を瞑った。
「そう、ならいいけど。」
と言いながらカーリーは部屋を出ていった。
アレフと言う少年は、セガール王国の北東に位置する、アルカトラズ辺境伯領地で鍛冶屋を営む両親の元に生まれた、少年だった。
残された男は、アレフと言う男の記憶と体を馴染ませるように、眠りについた。
ーー 新しき人生。
目を覚ますと男は、アレフに完全に成り代わっていた。
「これも面白いかもしれない。」
人生に何の面白味も感じなかった男が、この世界では興味を持つことがあるようだ。
「魔法か。魔物。生きてるって感じられそうだ。」
と呟いた。
アレフと言う男は、小さな街の鍛冶屋の息子で自分で作った武器で魔物を倒したいと、考えては森に行き怪我をして帰るような子供だった。
今年で13歳になる。
カーリーはその幼馴染で、隣の薬師の娘だ。
◇ 次の朝。
目を覚ましたアレフは、勢いよく飛び起きた。
「目覚めがいいぜ。」
朝食を食べると、アレフは工房に行く。
慣れた手つきで釜に火を入れると、鉄鉱石を火に入れる。
この世界の鉄鉱石は、地球の鉄とは性質が違う。
元々硬く粘りがある、それに日本の技術を取り入れるのだ。
何度も折りたたむように重ねていく、形を整えて日本刀のような片刃の反りを持つ、刀ができた。
「うまくいった。」
そう呟くとアレフは、つかと鞘を作り上げる。
「次は鍔か。」
鉄鉱石を鍛えて一枚の鍔を作り上げる、刀に嵌め込み研ぎを行う。
ある程度研ぐと付与魔法を与える。
「切れ味向上」「不壊」
アレフは、魔力を高めて刀に注ぎ込むようにして付与する、一瞬刀が光り馴染んでゆく。
「出来たようだ、今までできなかったが新しい力が良かったようだ。」
刀を腰に下げ、街を出るアレフ。
1人で森に入ると目を閉じて気配を探る。
「分かるぞ、森中の気配が。」
ニヤリと笑うアレフの姿は、魔王のように見えたかもしれない。
ーー 初魔物、初レベルアップ。
森に入り小さな気配の生き物を探す、ゴブリンだ。
1匹でいるようだ、俺に気づき棍棒を振り上げて向かってくる。
俺は刀を構える、元々居合と古武道を大学までしていた記憶が蘇る。
こいくちを切り、背の低いゴブリンをさらに低い位置から斬りあげる。
すれ違うゴブリンは突然命ごと斬り飛ばされたようだ。
ずれるように上半身と下半身が別々に倒れるように崩れ落ちる。
[経験値を獲得しました。レベルが上がります。]
と言うメッセージが頭に響いた。
身体に力が漲る、『これがレベルアップか。』
次の獲物を探す、次は3匹。
問題なく切り捨てると次のレベルアップを体感する。
そして次に5匹10匹と数を増やして、目の前にゴブリンの集落にようなものが見える。
およそ7・80匹ゴブリンがいるようだ、これで今日は最後にしよう。
走り出した俺は、柵を軽々と飛び越えて集落の中に。
手が触れる場所のゴブリンから次々に首を刎ねていく。
10匹、20匹と斬り伏せるにしたがい、ゴブリンも落ち着きを取り戻したか。
弓や剣で攻撃して来たものもいた、しかしそれも問題でなかった。
折れず曲がらず切れ味が変わらない刀は、次々に紙のようにゴブリンの首を斬り飛ばす。
どのくらい時間がかかったのか、全てのゴブリンが息絶えていた。返り血を浴びた俺はそのまま川に向かい体の血を洗い流す。
「ふー。流石に疲れた。何度レベルアップを聞いたかわからない。」
そう呟きながら街に向かって歩き出す。
夕陽がやけに綺麗に見えた。
「こんなに綺麗な夕日はいつぶりだろう。」
ーー 冒険者デビュー。
この世界では、13歳から半分大人のような扱いを受ける。
冒険者家業も同じだ、13歳になれば正式にギルド会員になることができ、どこの国へも移動が簡単になる。
俺は予備の刀とナイフを数本鍛えてから、冒険者ギルドに向かった。
ドアを開けて建物に入ると、大柄な男たちがざわついていた。
「おい聞いたか、森でゴブリンの集落が殲滅させられていたようだぜ。周囲を含めると100は超えていたと言う。それが全て一刀のもとに切り殺されていたそうだ。」
「そりゃどう言う意味だ、1人でやったとでも言うのか。」
「まさかな、だが同じ流派の剣士が腕試しで襲ったのじゃねえかと噂だぜ。」
と、この前そのままにして、森を出たのがまずかったか。
話を小耳に挟みながら、アレフは受付に向かう。
一つの受付カウンターに声をかける、
「冒険者登録をお願いしたいんだけど。」
顔を上げる受付嬢はとても可愛い女性だった。
「はい少々お持ちください。」
と笑顔で言われ素直に待つ俺。
暫くすると紙を差し出され
「これに必要事項を記入してください。」
と言われ記入始める。
記入が終わり紙を戻すと、受付嬢は
「これに手をおいてください。」
と水晶のような玉を差し出した、右手を置くと眩しく光った。
「魔力もかなりあるようですね。このカードに血液を垂らしてください。」
指先を切り地を垂らすと、カードが登録された。
「これをどうぞ、おめでとうございます。今日からギルド会員です。自分に合った依頼を受けるようにしてくださいね。」
とカードを渡してくれた。
依頼が張り出されている壁の方に向かう、身入りの良いものは既に人が受けている。
ここに残っているのは、金額の低いのに危険か、汚い面倒臭いものと決まっている。
[オークを見かけた、現地調査。]
と言うのがあるな、これを受けるか。
依頼書を手に取り、受付に持って行き依頼を受理する。
場所は東の森のようだ。
◇ 東の森のオーク。
東の森に向かう。
この森は大きく深い、魔物も強く多くなものが多く存在する。
その中で人型の魔物の一つにオークが存在する。
オークは身長2~3mの大型の魔物だ。
強くなるほど大きく、群れを作って生活をする。
群れが大きくなると纏めるオークが種族進化するためその前に殲滅する必要が出てくる。
今回もオークが群れを作っているとの情報を受けたギルドが、依頼を出したもので自由であるが報酬はそこまでよくない。
アレフは、1人森に入る。
先日のゴブリン集落の殲滅でかなりレベルが上がったことから、オークでも何とかなるだろうとの考えだ。
先ずは単独のオークを探すが、基本オークは複数で行動する。
最小が2~3なのだ、仕方がないので2頭のオークを探しているとちょうどいいのが見つかったが、近くに3頭のものがいる。
素早く2頭の方に走り寄ると背後から一頭の首をはねる、気付いたもう1匹が振り向き声を上げる。
素早く喉を切り裂いた後、心臓を突き刺しとどめを刺す。
近くの3頭が近づいてくる。
素早くその場を離れて、様子を見る。
他の群れはいない、そこで弓を使い一頭を狙い撃ちする。
首に突き刺さるが致命傷にはならなかったようだ、鋭い悲鳴をあげるオーク。
連続で射た弓が眼球を抉り脳に達したか、ドット後ろに倒れる。
場所を変えながら近づき、後ろから一頭のオークの背中から刀を突き入れる。
もう一頭が気付き棍棒を振り下ろしてくるのを、刀を手放し間合いを取る。小刀を抜くと次の攻撃を交わしながら腕を切り落とす。
棍棒ごと切り離された腕の痛みに転げ回るようになるオーク。
刀が刺さったままのオークから刀を抜き取り、転げ回るオークの首を刎ねる。
周りの気配を探るが問題ないようだ、オークは肉もうまければ魔石と言って心臓付近に赤い石を持つ。
胸を抉り魔石を回収する。
ここでレベルアップ。
その場を移動して次のオークを探すが、3頭が最小で近くに他の群れが複数いる。
どうやらかなり大きな集落を作っている可能性がある。
少し離れたグループを襲うようにしながら、森の奥へと進む。
ここまでに倒したオークは20頭あまり。
集落が見えてきた、先日のゴブリンとは格段に大きさが違い柵も頑丈そうだ。
ざっと数を数えると150頭いる、外をうろついているのを加味すると200は硬いだろう。
地図に場所を記入し、出入り口や地形を記入して依頼は終了だ。
帰りながらオークを狩って戻り、合計30頭のオークを討伐して戻る。
肉は一頭分のみ。
オークを担いでギルドに戻ると、少しざわつく。
受付に依頼完了の記入した地図を提出し報告をする。
その後買取に魔石と担いだオークを出すと。
「受け取り証を出しとく少し待て」
と言われ、受付嬢が呼ぶのに気付き戻ると。
「ギルマスが話を聞きたい言っています。こちらです。」
奥に案内された。
「おお、お前が報告者か。助かった詳しい意話を聞かせてくれ。」
「メモには150~200と書かれているが、その根拠は?」
「集落で数を数えたところ約150、周囲が30頭ほど狩りましたがまだ数十頭いたのでこの数です。」
「何!30頭も一人で狩ったのか?」
「ええ、魔石を取ってきたので、確認してもらえれば分かりますよ。」
「分かった。直ぐに冒険者を緊急招集しよう。領主にも出動準備をお願いしておこう。分かったゆっくり休め。」
と言われ、報酬と買取額で金貨20枚をもらいギルドを出た。
ーー オークの殲滅作戦。
それから2日後、オークの殲滅作戦が行われる事になった。
集められた冒険者は、ランクD以上が強制でそれ以外は希望者だ。
基本参加者には金貨5枚、後は討伐した数次第だ。
魔物を狩ると何故かカードに記録されるのだ。
先発隊に選ばれた俺は、オークの集落までの道案内を言いつけられた。
オークをできるだけ避けながら、集落に辿り着き確認する。
「確かに150~200の集落だな。」
同行のランクCの冒険者が呟く。
「一人で帰れるか?地図のこことここに冒険者を分けて配置するよう、伝えてくれ。」
と指示され、素早く戻る俺。
指示を伝えると
「ここは分かるが、こっち側は道や地形がよく分からんな。お前ここに行けそうか?」
と言われ、頷いて見せた。
「よしそれなら20人連れてここに向かえ、合図は狼煙だ。見逃すなよ。」
と新たな指示を受け、先輩冒険者らを連れて目的地に向かう。
「この辺りです。」
目的地に着き、集落を伺うと多くのオークがいるのがよく見える。
狼煙が上がるのを待つ。
最初に魔法師が広範囲な攻撃を与え、その後囲みながら殲滅するのだ。
俺は後ろから見守る位置どりをする、参加する必要はないからだ。
「狼煙が上がったぞ!構えろ。」
「ドドドーン。」「ゴー、ゴーッ。」
岩が集落に降り落ちた後、業火のような炎が暴れる。
かなりに数のオークがダメージを受けたようだが、倒れている数は少ない。
冒険者たちが歓声を上げて集落に走る向かう。
混乱していたオークが徐々に立ち直り出す。
力に勝るオークは、太い大木を小枝のように振り回しながら、冒険者の攻撃を交わす。
何人かの冒険者が吹き飛ぶ!
異変を聞きつけた外のオークが集落に戻ってくる。
気配に気づいた俺はそのオークの殲滅に向かう。
慌てて戻るオークは周囲の注意が疎かだ、先ずは弓で攻撃して仕留めたり動きを止めてからとどめを刺す。
20頭ほど仕留めたところで付近にオークの気配がない。
集落の様子を窺うと、殲滅に難航しているようだ。
一際大きなオークが5体いる、
「あれが上位種か?と言うともう一回り大きなやつがいるのか。」
俺は集落内を見回す。
「アイツだ!」
奥の洞窟の入り口にさらに大きなオークが見えた、かなり大きな剣を持っている。
俺はそのオークの様子を見逃さないように、見張る。
そいつが岩陰を利用して移動し始めた。
冒険者の後ろに回り込むためだろう、アイツに後ろから攻められたら・・アウトだ。
俺はそのオークの動きに沿って移動する。
まともには撃ち合えないだろう、それなら先ず足を殺して・・急所を狙うしかないか。
戦略を決めると、そっと後ろに回るオークのさらに背後に移動する。
両足が揃ったところで、アキレス腱を足首ごと切るつもりで、地面スレスレに横凪に剣を振り抜く。
「スパン。」「グジャーッ。」
足首を斬り飛ばされたオークが地面に倒れながら叫び、後ろを振り向く。
そのタイミングで首を狙って剣を振るが、大剣が首を守るように突き出される。
その大剣を握る指を切り落とす。
大剣が手から離れる、もう一度首を狙って剣を振る。
喉を裂くが少し浅い。手足を振り回しだしたオークの攻撃を避けながら、頭側に周り頭を縦割りに切り裂くと、流石のオークも脳漿を振り撒きながら息絶える。
レベルアップのメッセージが数回流れる。
「こいつ経験値がかなり高かったんだ。」
呟きながら集落を見ると、5体の大きなオークに押され気味の冒険者が見えた。
残りは30頭ほど5頭を除けば、満身創痍なオークばかり。
俺は冒険者を避けながら、オークを切り裂き倒していく。
とうとう5体の大型オークのみが残った、冒険者の数も戦えるのは20人ほど。
一体に4人の数だ。
しかし3m近いオークの攻撃は脅威のようで、そばに近づけない冒険者達。
俺は弓を取り出すと、隙を見ては目を狙って射る。
5体のうち2体の目を射抜き動きが止まった。
それに群がる冒険者、俺はそれ以外のオークの様子を見る。
数人が戦闘不能になっている、不味いようだ。
俺は一体のオークの背後に移動すると、右足の膝から下を斬り飛ばす。
次のオークは利き腕を肘から先を切り飛ばす。
もう一体は、隙があったので首を斬り飛ばす。
未だ討伐できないオークを俺は次々にトドメを刺して回る。
その頃になって、領主軍が到着する。
生き残りを倒しながら死体を片付ける、兵士ら。
元気のある冒険者らは、オークの宝を探し始める。
俺はあのオークが姿を見せた、洞穴を見に行く。
奥にまだオークがいる可能性もあり、気配を探りながら進む。
弱いが気配が幾つかある。
奥に向かうと檻のようなものがあった、そこに人が押し込められていた。
「大丈夫ですか?助けにきました。もう大丈夫ですよ。」
と声をかけながら、出入り口を縛っている紐を切り落としていく。
およそ10人の女性が囚われていた。
虫の息の女性もいて、見るに堪えない状態だったが、数人は囚われたばかりのようで。
手を取り合って喜んでいた。
「ありがとうございます。」
数人の女性から俺を言われて出口に向かうように伝えた。
他の冒険者が現れたので、怪我人がいる旨伝えタンカを準備してもらう。
俺はさらに奥に向かう、最奥に宝が積み上げられていた。
不思議な指輪が目に止まり拾い上げると指に付けてみた。
すると指のサイズに合わせるように締まり、魔力が流れるように吸われた。
頭に指輪の効力が伝わる。
「収納の指輪」と言うのがこいつの名前だ。
財宝に手をかざし「収納」と唱えると全てが消えた。
収納されたようだ。
「良いものを見つけた」
俺は、出口に向かい歩き出すと。
助けた女性の一人が俺に
「私を連れて行ってください。私には戻る場所も親もいません。」
と一人の少女が俺の袖を掴んで言った。
その目は本気のように輝いていた
「・・分かった。ついて来い。」
と言いながら手を差し出した。
その手を取る少女は
「私は名前も捨てた、あなたにつけてほしい。」
と言った
「うん~。スノーがいいかな。」
その少女が雪のように白かったからだ。
「スノー!良いわ。よろしく・・。」
「アレフだ。」
「よろしくアレフ。」
と手を掴んだ。
身体がだるくて、起き上がるのも嫌だ。
男はその日も、お日様が傾きかかった頃に、万年床から起き出した。
2ヶ月ほど前にあるバイト先を首になり、それから僅かな蓄えで生きているというか死んでいないだけの生活を、続けている。
テレビでは昨日起こった電車内での無差別殺人のニュースが流れていた。
「犯人は死刑になりたい。との理由で犯行に・・・」
こいつもか。
男はこの世界にどれだけ沢山の「死ねない者」がいるんだろうと思いながら、食べ物さえなくなった部屋を10日ぶりに出ることにした。
アパート2階の部屋から出て階段に足を踏み出した時に、男は目眩を感じ足を踏み外した。
浮遊感が男を包む
「これで死ねるのか。」
男はそれだけを考えていた。
階段に身体中を打ち付けながらコンクリートの地面に、頭から叩きつけられる。
痛みは感じなかった、何か温かいものが身体から流れ出ている感覚だけを最後の感じ、男は闇に囚われていった。
~お前の願いを叶えよう。今度こそ好きに生きるが良い。~
そんな声が聞こえた気がした。
ーー 生まれ変わり。
目を開けると男は、見知らぬ天井を見つめていた。
『どこだ?病院ではないようだ。確か・・俺は、階段から・・落ちたはず。』と考えていたところに、少女が現れ男に声をかけた。
「アレフ、気分は、どう?」
その言葉と共に男に頭の中に、アレフと言う男の人生の記憶が流れ込んできた。
『俺はこの世界のアレフと言う男に生まれ変わったようだ。』そう思ってると、反応しない男が心配になったのか、少女はアレフの額に手を当てて。
「熱はないわよね。」
と言った。
「カーリー、俺は大丈夫だよ。少し眠いだけ。」
と男は答えると、目を瞑った。
「そう、ならいいけど。」
と言いながらカーリーは部屋を出ていった。
アレフと言う少年は、セガール王国の北東に位置する、アルカトラズ辺境伯領地で鍛冶屋を営む両親の元に生まれた、少年だった。
残された男は、アレフと言う男の記憶と体を馴染ませるように、眠りについた。
ーー 新しき人生。
目を覚ますと男は、アレフに完全に成り代わっていた。
「これも面白いかもしれない。」
人生に何の面白味も感じなかった男が、この世界では興味を持つことがあるようだ。
「魔法か。魔物。生きてるって感じられそうだ。」
と呟いた。
アレフと言う男は、小さな街の鍛冶屋の息子で自分で作った武器で魔物を倒したいと、考えては森に行き怪我をして帰るような子供だった。
今年で13歳になる。
カーリーはその幼馴染で、隣の薬師の娘だ。
◇ 次の朝。
目を覚ましたアレフは、勢いよく飛び起きた。
「目覚めがいいぜ。」
朝食を食べると、アレフは工房に行く。
慣れた手つきで釜に火を入れると、鉄鉱石を火に入れる。
この世界の鉄鉱石は、地球の鉄とは性質が違う。
元々硬く粘りがある、それに日本の技術を取り入れるのだ。
何度も折りたたむように重ねていく、形を整えて日本刀のような片刃の反りを持つ、刀ができた。
「うまくいった。」
そう呟くとアレフは、つかと鞘を作り上げる。
「次は鍔か。」
鉄鉱石を鍛えて一枚の鍔を作り上げる、刀に嵌め込み研ぎを行う。
ある程度研ぐと付与魔法を与える。
「切れ味向上」「不壊」
アレフは、魔力を高めて刀に注ぎ込むようにして付与する、一瞬刀が光り馴染んでゆく。
「出来たようだ、今までできなかったが新しい力が良かったようだ。」
刀を腰に下げ、街を出るアレフ。
1人で森に入ると目を閉じて気配を探る。
「分かるぞ、森中の気配が。」
ニヤリと笑うアレフの姿は、魔王のように見えたかもしれない。
ーー 初魔物、初レベルアップ。
森に入り小さな気配の生き物を探す、ゴブリンだ。
1匹でいるようだ、俺に気づき棍棒を振り上げて向かってくる。
俺は刀を構える、元々居合と古武道を大学までしていた記憶が蘇る。
こいくちを切り、背の低いゴブリンをさらに低い位置から斬りあげる。
すれ違うゴブリンは突然命ごと斬り飛ばされたようだ。
ずれるように上半身と下半身が別々に倒れるように崩れ落ちる。
[経験値を獲得しました。レベルが上がります。]
と言うメッセージが頭に響いた。
身体に力が漲る、『これがレベルアップか。』
次の獲物を探す、次は3匹。
問題なく切り捨てると次のレベルアップを体感する。
そして次に5匹10匹と数を増やして、目の前にゴブリンの集落にようなものが見える。
およそ7・80匹ゴブリンがいるようだ、これで今日は最後にしよう。
走り出した俺は、柵を軽々と飛び越えて集落の中に。
手が触れる場所のゴブリンから次々に首を刎ねていく。
10匹、20匹と斬り伏せるにしたがい、ゴブリンも落ち着きを取り戻したか。
弓や剣で攻撃して来たものもいた、しかしそれも問題でなかった。
折れず曲がらず切れ味が変わらない刀は、次々に紙のようにゴブリンの首を斬り飛ばす。
どのくらい時間がかかったのか、全てのゴブリンが息絶えていた。返り血を浴びた俺はそのまま川に向かい体の血を洗い流す。
「ふー。流石に疲れた。何度レベルアップを聞いたかわからない。」
そう呟きながら街に向かって歩き出す。
夕陽がやけに綺麗に見えた。
「こんなに綺麗な夕日はいつぶりだろう。」
ーー 冒険者デビュー。
この世界では、13歳から半分大人のような扱いを受ける。
冒険者家業も同じだ、13歳になれば正式にギルド会員になることができ、どこの国へも移動が簡単になる。
俺は予備の刀とナイフを数本鍛えてから、冒険者ギルドに向かった。
ドアを開けて建物に入ると、大柄な男たちがざわついていた。
「おい聞いたか、森でゴブリンの集落が殲滅させられていたようだぜ。周囲を含めると100は超えていたと言う。それが全て一刀のもとに切り殺されていたそうだ。」
「そりゃどう言う意味だ、1人でやったとでも言うのか。」
「まさかな、だが同じ流派の剣士が腕試しで襲ったのじゃねえかと噂だぜ。」
と、この前そのままにして、森を出たのがまずかったか。
話を小耳に挟みながら、アレフは受付に向かう。
一つの受付カウンターに声をかける、
「冒険者登録をお願いしたいんだけど。」
顔を上げる受付嬢はとても可愛い女性だった。
「はい少々お持ちください。」
と笑顔で言われ素直に待つ俺。
暫くすると紙を差し出され
「これに必要事項を記入してください。」
と言われ記入始める。
記入が終わり紙を戻すと、受付嬢は
「これに手をおいてください。」
と水晶のような玉を差し出した、右手を置くと眩しく光った。
「魔力もかなりあるようですね。このカードに血液を垂らしてください。」
指先を切り地を垂らすと、カードが登録された。
「これをどうぞ、おめでとうございます。今日からギルド会員です。自分に合った依頼を受けるようにしてくださいね。」
とカードを渡してくれた。
依頼が張り出されている壁の方に向かう、身入りの良いものは既に人が受けている。
ここに残っているのは、金額の低いのに危険か、汚い面倒臭いものと決まっている。
[オークを見かけた、現地調査。]
と言うのがあるな、これを受けるか。
依頼書を手に取り、受付に持って行き依頼を受理する。
場所は東の森のようだ。
◇ 東の森のオーク。
東の森に向かう。
この森は大きく深い、魔物も強く多くなものが多く存在する。
その中で人型の魔物の一つにオークが存在する。
オークは身長2~3mの大型の魔物だ。
強くなるほど大きく、群れを作って生活をする。
群れが大きくなると纏めるオークが種族進化するためその前に殲滅する必要が出てくる。
今回もオークが群れを作っているとの情報を受けたギルドが、依頼を出したもので自由であるが報酬はそこまでよくない。
アレフは、1人森に入る。
先日のゴブリン集落の殲滅でかなりレベルが上がったことから、オークでも何とかなるだろうとの考えだ。
先ずは単独のオークを探すが、基本オークは複数で行動する。
最小が2~3なのだ、仕方がないので2頭のオークを探しているとちょうどいいのが見つかったが、近くに3頭のものがいる。
素早く2頭の方に走り寄ると背後から一頭の首をはねる、気付いたもう1匹が振り向き声を上げる。
素早く喉を切り裂いた後、心臓を突き刺しとどめを刺す。
近くの3頭が近づいてくる。
素早くその場を離れて、様子を見る。
他の群れはいない、そこで弓を使い一頭を狙い撃ちする。
首に突き刺さるが致命傷にはならなかったようだ、鋭い悲鳴をあげるオーク。
連続で射た弓が眼球を抉り脳に達したか、ドット後ろに倒れる。
場所を変えながら近づき、後ろから一頭のオークの背中から刀を突き入れる。
もう一頭が気付き棍棒を振り下ろしてくるのを、刀を手放し間合いを取る。小刀を抜くと次の攻撃を交わしながら腕を切り落とす。
棍棒ごと切り離された腕の痛みに転げ回るようになるオーク。
刀が刺さったままのオークから刀を抜き取り、転げ回るオークの首を刎ねる。
周りの気配を探るが問題ないようだ、オークは肉もうまければ魔石と言って心臓付近に赤い石を持つ。
胸を抉り魔石を回収する。
ここでレベルアップ。
その場を移動して次のオークを探すが、3頭が最小で近くに他の群れが複数いる。
どうやらかなり大きな集落を作っている可能性がある。
少し離れたグループを襲うようにしながら、森の奥へと進む。
ここまでに倒したオークは20頭あまり。
集落が見えてきた、先日のゴブリンとは格段に大きさが違い柵も頑丈そうだ。
ざっと数を数えると150頭いる、外をうろついているのを加味すると200は硬いだろう。
地図に場所を記入し、出入り口や地形を記入して依頼は終了だ。
帰りながらオークを狩って戻り、合計30頭のオークを討伐して戻る。
肉は一頭分のみ。
オークを担いでギルドに戻ると、少しざわつく。
受付に依頼完了の記入した地図を提出し報告をする。
その後買取に魔石と担いだオークを出すと。
「受け取り証を出しとく少し待て」
と言われ、受付嬢が呼ぶのに気付き戻ると。
「ギルマスが話を聞きたい言っています。こちらです。」
奥に案内された。
「おお、お前が報告者か。助かった詳しい意話を聞かせてくれ。」
「メモには150~200と書かれているが、その根拠は?」
「集落で数を数えたところ約150、周囲が30頭ほど狩りましたがまだ数十頭いたのでこの数です。」
「何!30頭も一人で狩ったのか?」
「ええ、魔石を取ってきたので、確認してもらえれば分かりますよ。」
「分かった。直ぐに冒険者を緊急招集しよう。領主にも出動準備をお願いしておこう。分かったゆっくり休め。」
と言われ、報酬と買取額で金貨20枚をもらいギルドを出た。
ーー オークの殲滅作戦。
それから2日後、オークの殲滅作戦が行われる事になった。
集められた冒険者は、ランクD以上が強制でそれ以外は希望者だ。
基本参加者には金貨5枚、後は討伐した数次第だ。
魔物を狩ると何故かカードに記録されるのだ。
先発隊に選ばれた俺は、オークの集落までの道案内を言いつけられた。
オークをできるだけ避けながら、集落に辿り着き確認する。
「確かに150~200の集落だな。」
同行のランクCの冒険者が呟く。
「一人で帰れるか?地図のこことここに冒険者を分けて配置するよう、伝えてくれ。」
と指示され、素早く戻る俺。
指示を伝えると
「ここは分かるが、こっち側は道や地形がよく分からんな。お前ここに行けそうか?」
と言われ、頷いて見せた。
「よしそれなら20人連れてここに向かえ、合図は狼煙だ。見逃すなよ。」
と新たな指示を受け、先輩冒険者らを連れて目的地に向かう。
「この辺りです。」
目的地に着き、集落を伺うと多くのオークがいるのがよく見える。
狼煙が上がるのを待つ。
最初に魔法師が広範囲な攻撃を与え、その後囲みながら殲滅するのだ。
俺は後ろから見守る位置どりをする、参加する必要はないからだ。
「狼煙が上がったぞ!構えろ。」
「ドドドーン。」「ゴー、ゴーッ。」
岩が集落に降り落ちた後、業火のような炎が暴れる。
かなりに数のオークがダメージを受けたようだが、倒れている数は少ない。
冒険者たちが歓声を上げて集落に走る向かう。
混乱していたオークが徐々に立ち直り出す。
力に勝るオークは、太い大木を小枝のように振り回しながら、冒険者の攻撃を交わす。
何人かの冒険者が吹き飛ぶ!
異変を聞きつけた外のオークが集落に戻ってくる。
気配に気づいた俺はそのオークの殲滅に向かう。
慌てて戻るオークは周囲の注意が疎かだ、先ずは弓で攻撃して仕留めたり動きを止めてからとどめを刺す。
20頭ほど仕留めたところで付近にオークの気配がない。
集落の様子を窺うと、殲滅に難航しているようだ。
一際大きなオークが5体いる、
「あれが上位種か?と言うともう一回り大きなやつがいるのか。」
俺は集落内を見回す。
「アイツだ!」
奥の洞窟の入り口にさらに大きなオークが見えた、かなり大きな剣を持っている。
俺はそのオークの様子を見逃さないように、見張る。
そいつが岩陰を利用して移動し始めた。
冒険者の後ろに回り込むためだろう、アイツに後ろから攻められたら・・アウトだ。
俺はそのオークの動きに沿って移動する。
まともには撃ち合えないだろう、それなら先ず足を殺して・・急所を狙うしかないか。
戦略を決めると、そっと後ろに回るオークのさらに背後に移動する。
両足が揃ったところで、アキレス腱を足首ごと切るつもりで、地面スレスレに横凪に剣を振り抜く。
「スパン。」「グジャーッ。」
足首を斬り飛ばされたオークが地面に倒れながら叫び、後ろを振り向く。
そのタイミングで首を狙って剣を振るが、大剣が首を守るように突き出される。
その大剣を握る指を切り落とす。
大剣が手から離れる、もう一度首を狙って剣を振る。
喉を裂くが少し浅い。手足を振り回しだしたオークの攻撃を避けながら、頭側に周り頭を縦割りに切り裂くと、流石のオークも脳漿を振り撒きながら息絶える。
レベルアップのメッセージが数回流れる。
「こいつ経験値がかなり高かったんだ。」
呟きながら集落を見ると、5体の大きなオークに押され気味の冒険者が見えた。
残りは30頭ほど5頭を除けば、満身創痍なオークばかり。
俺は冒険者を避けながら、オークを切り裂き倒していく。
とうとう5体の大型オークのみが残った、冒険者の数も戦えるのは20人ほど。
一体に4人の数だ。
しかし3m近いオークの攻撃は脅威のようで、そばに近づけない冒険者達。
俺は弓を取り出すと、隙を見ては目を狙って射る。
5体のうち2体の目を射抜き動きが止まった。
それに群がる冒険者、俺はそれ以外のオークの様子を見る。
数人が戦闘不能になっている、不味いようだ。
俺は一体のオークの背後に移動すると、右足の膝から下を斬り飛ばす。
次のオークは利き腕を肘から先を切り飛ばす。
もう一体は、隙があったので首を斬り飛ばす。
未だ討伐できないオークを俺は次々にトドメを刺して回る。
その頃になって、領主軍が到着する。
生き残りを倒しながら死体を片付ける、兵士ら。
元気のある冒険者らは、オークの宝を探し始める。
俺はあのオークが姿を見せた、洞穴を見に行く。
奥にまだオークがいる可能性もあり、気配を探りながら進む。
弱いが気配が幾つかある。
奥に向かうと檻のようなものがあった、そこに人が押し込められていた。
「大丈夫ですか?助けにきました。もう大丈夫ですよ。」
と声をかけながら、出入り口を縛っている紐を切り落としていく。
およそ10人の女性が囚われていた。
虫の息の女性もいて、見るに堪えない状態だったが、数人は囚われたばかりのようで。
手を取り合って喜んでいた。
「ありがとうございます。」
数人の女性から俺を言われて出口に向かうように伝えた。
他の冒険者が現れたので、怪我人がいる旨伝えタンカを準備してもらう。
俺はさらに奥に向かう、最奥に宝が積み上げられていた。
不思議な指輪が目に止まり拾い上げると指に付けてみた。
すると指のサイズに合わせるように締まり、魔力が流れるように吸われた。
頭に指輪の効力が伝わる。
「収納の指輪」と言うのがこいつの名前だ。
財宝に手をかざし「収納」と唱えると全てが消えた。
収納されたようだ。
「良いものを見つけた」
俺は、出口に向かい歩き出すと。
助けた女性の一人が俺に
「私を連れて行ってください。私には戻る場所も親もいません。」
と一人の少女が俺の袖を掴んで言った。
その目は本気のように輝いていた
「・・分かった。ついて来い。」
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「私は名前も捨てた、あなたにつけてほしい。」
と言った
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