青い山の果てに

モンド

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第一章

新たな人生

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そこはただただ広い平原だった。
女神と思われる神からの依頼を受けて私は新たな世界の地に立っていた。
何も無い平原のど真ん中に立ちながら私は周囲の風景に目を奪われながら空気を肺いっぱいに吸い込んだ。
「空気がうまい」
そう言いながら遠くの青い山並みを見て180度身体を反転した。
「この方向に進めば良いのかな?」
誰も答えてはくれないが決意のようなものだと思いながら、私はそばに落ちていた手頃な木の枝を拾い歩き始めた。

道らしい道はないが歩きやすいと思った。
気持ちの良い風が若草の香りを乗せて鼻先をくすぐる。
よく見ると多種多様な植物が生育している。
ふと気になる一つの花を摘んでみた、すると
[月見草:魔力を回復するポーションの原料]
という表示が何も無い場所に表示された。
「これは!鑑定スキルなのか?」
思わず呟きながらも興奮を抑えつつ、次々に違う草花を手に取って確認を行った。
「やっぱりこれは鑑定のようだ。面白いな。」
ウキウキしながら鑑定によって採取した有効と思われる草花を種類ごとに分けながら集めていた。

「コレをどうにか持ち運べないだろうか?このままでは量はともかく乾燥して鮮度が落ちてしまう。収納スキルなどがあれば良いがな。」
とぼやいていると頭の中にあるスキルが現れた。
[アイテムボックス:100マスの収納スキル、量的制限はない、時間経過なし]
思わず小躍りしたくなった、私は意外とこの手の小説を読んでいたから思わず「俺強え」かなと手足を曲げて力瘤を作ってみた。

そこで初めて気づいた、自分の身体が以前とは全く違うことに
「若々しいというか幼いような!手足が細くいったい何歳の設定なんだ?」
と思わず突っ込んだが誰もそれに答えるものはいない。

収納スキルは使いやすかった、手にするか自分の手の届く身近ではっきりとそれを意識して「収納」と思えば収納されるのだ、出す時も頭の中に表示された収納物を意識して「取り出し」と思えば手先に現れるのだ。

さらに鑑定も自由度が高く、具体的に指定すれば一つづつ手に取ることもなく視界にあるものが対象として表示された。
これは「サーチ」と呼ぶことにしよう。
人工物であればその製法を表示することもできる、更に途中で動物の死骸を見つけたのだがそれを詳しく鑑定しようと考えていたら、死因や生前の健康状態まで知ることができた、素晴らしい。

そこで、自分が着ている服や靴を鑑定すると
・神が作った衣服:防汚、防水、防刃、防劣
・神が作った靴:防汚、防水、防刃、防劣
・世界樹の枝:世界を支える大樹の枝、不壊
え!何気に拾った木の枝の方が驚きであった。

歩くこと数時間、太陽が天中を過ぎた頃私は周囲に何者かの気配を感じた。
「囲まれている気がする。」
周囲は腰くらいの高さの草や低木が茂っていたが、風以外に草木が揺れている。
世界樹の枝を剣がわりに構え意識を集中する。
[敵意を抱くものをサーチします。]
[スキル気配察知を習得しました。]
というご都合主義なスキルが勝手に生えて見えないはずの敵意を持つものたちの姿や数が頭の中の地図に表示された。

[グレーウルフ:体長70cm小型の狼系魔物、集団で狩りをする、ランクE]
「ふーん、魔物なのか今の私で対応できるのかな?」
と思いつつ一番近い魔物に身体を向けたところで、草むらから飛び出し私にその鋭い牙を向けてきた。
私は身体を少し横移動しながら素早く枝を振り下ろす、飛び掛かったグレーウルフの頭蓋にヒットしたが予想以上の音と手応えがした。
「ギャン!」
一声悲鳴をあげたグレーウルフはその場に叩き落とされ倒れてピクリともしない。
続けて背後から気配が迫る、振り向きざまに枝を振るう。
次から次に背後というか死角を狙ったように襲ってくるグレーウルフ、数分間の戦いの後私の周りには10頭ほどのグレーウルフの死骸が積み上がっていた。

「生き物を殺したのに忌避感は全くと言ってないな。これも女神のおかげ?」
収納スキルで回収したところで遠目に様子を窺っていた残りのグレーウルフが気配を消して離れていった。
「しかし腹が減ったな。」
と思い食糧となる素材を思いサーチを行った。
すると進行方向に100m間隔で何かがヒットしていた。
[ホーンラビット:体長50~80cm一角のうさぎ型魔物、ランクF]
と結果が頭に表示される。

「どうやって狩りをしようか、向かってくるなら良いが。先ずは進んでみるか。」
と思い僕は一番近いホーンラビットに向かって歩き始めた。
すると後30mというところで変化があった、私を認識したホーンラビットが草むらを飛び越えるような仕草で向かって来た。
「願ってもない」
と思いながら枝を構えていると、頭にある一角を攻撃手段として飛んできた。
素早く攻撃をかわしながら頭を叩く。
「ボクッ」「キュー」
重い音がしてホーンラビットは小さく鳴いて地面に叩き落とされてそのまま動かなくなった。

その後五匹ほど倒して収納した私は、捌くための刃物がないことに気づいた。
「収納した際に肉や皮などに分けてくれないかな。」
と思っていたら。
[収納スキルが解体を取得しました。]
と頭に流れたところで私は、空の上に視線を向けた。
「僕の行動か考えが見られているような気がするのは気のせいだろうか?まあ便利だから良いけど。」
その後もたまに向かってくる魔物や獣を倒しながら歩いて川に辿り着いた。
「そう言えば水を飲んでなかったな。魔法があるなら水を出せないかな。」
半分希望的な感じで呟く。

[水魔法を取得しました。]
「やっぱり。まあ良いでしょう。では初魔法を。」
手のひらを上に向けて「水よ」と言いながら水の塊を念ずると。
身体の一部が外に引き出される感覚がして、手のひらの上に水の塊が現れた。
初めは直径1cmくらいから次第に3cm、5cm、10cmと大きくなる。
30cm程になったところで「止まれ」と念じるとその大きさでふよふよとしている。
口に持って行き吸い込むとほんのり甘く感じた。
「意外と美味いな」

その後、串にする小枝や焚き火用の枯れ草や枝を集めてその日の野営地を決める。
そこは高さ10mほどの木が一本立っている場所で、川から200mほど離れていた。
頭くらいの石を拾って来て竈門を作り収納から解体されたホーンラビットの肉を取り出し串に刺す。
焚き火の用意が完成すると火を出すイメージを持って「火よ」と言いながら手を薪に向けると炎が発生して薪に火が付いた。
串の肉をいい塩梅に並べて焼きながら川に向かい自分の姿を確認する。

「予想以上に美少年になっているな。歳は12・3歳だろうか中一くらいに見えるな。」
髪を目の前に持っていくとシルバーであるのが分かる、目の色は多分黒だろう。
木下に戻ると肉の焼け具合を見ながら木の上に寝床を作るために登ってみる。
良い枝ぶりだ、枝や蔓を使い畳1畳ほどの寝床を作り、木から降りて、ちょうどいい具合に焼けた肉を手に取り噛みつく。
「これも美味い。」
甘みのある肉汁が身体に染み渡る。

一匹分のホーンラビットを食した後、木に登って休むことにした。

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