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異世界で病院を経営する
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ーー この世界で病院を医者を治療方法を確立しよう。
王都に戻った俺は、この世界で医者の真似事をすることにした。
先ずは
本拠地となる建物を・・・それからできれば病名ごとに治療方法を記した本を作りたいが・・。
タケヒロは、建物を取り扱う商会を訪れては、病院として使えそうな建物を探した。
「これなら何とかなりそうだ。」
気に入った地上3階地下1階の建物を購入し、内装を整え始める。
「ここは受付と待合室で、奥が診療室と水回り。2階が病室で3階はここで働く者の宿舎、地下は薬や食糧庫と実験室でいいだろう。」
一人設計図を書きながら悦に入るタケヒロ。
前世では健康体をいいことに全く医療や薬学に興味がなかった自分が、これほど恨めしいことはなかったが魔法の能力によって何とかなりそうだと気づいて、意欲が湧いているのだ。
その根拠は、先日レベルアップのメッセージと共に
「レベルが一定値に達しました、「竜の知識」「創造魔法」を使用できます。」
と言うのを聞いていたのだ。
竜に知識というのは、自分が知りたいことを念じると頭の中に表示されるのだ。
創造魔法は、具体的な物を創造できる能力なのだ。
二つを使えば、この世界のものはほぼ全て魔力によって創る事が可能だという事だ。
人手の確保、治療するのに自分一人だけでは問題がある。
そこで奴隷商に向かい、薬師や錬金術師、回復師の能力があるものを探して買い入れた。
・セシル~元薬師 30歳
・コルトバ~元錬金術師 35歳
・タウト~元回復士 28歳
の3人と、補助をする看護師・介護士役の女性を4人採用した。
その他孤児院の子供を使い走りに日雇で雇うことにした。
病院オープンの日、病人が来ることはなかった。
今まで存在しない施設で有る、興味はあっても効力や報酬の関係で足が向かないのであろう。
「しまった!料金表を明示するのを忘れていた。」
俺は慌てて、基本的な料金表を作り外からも見える場所に表示した。
料金表
・診察のみ~銅貨3枚
・薬~3日分、銅貨3~銀貨10枚
・ポーション
初級~銅貨5枚
中級~銀貨1枚
上級~金貨1枚
・回復魔法~
初級~銅貨10枚
中級~銀貨2枚
上級~金貨2枚
・治療魔法~銅貨20枚~金貨4枚
と書いた。
人が対応する場合は、割高に薬やポーションならば低めに設定して、多くの場所で対応できるように工夫した。
さらに効能が続く期間を設定した、販売日から15日間で有る。
15日を過ぎる前に持ち込めば半額で買い取ることにした。
ダンジョンや危険な森の奥に依頼で向かう冒険者にとって、常備しなくてはならないが使わない場合の買い取りは助かるものだった。
時間経過の確認は、5日ごとに色が変わり、15日過ぎると黒くなるのだ。
これで仲介して高く売る事が難しくなる。
他の薬師や回復士の仕事を奪わない手法でもあった。
ーー 商業ギルドと薬師ギルドとの関係
新しく事業を始める場合、既得権を持っている者や企業がいれば抵抗するのはしょうがない。
特に人の命に関わる商売の場合、売り手の言い値というところがある。
大きな儲けを新規の何処の馬の骨かも分からない者に、侵される事に黙っている者はいなかろう。
俺は商業ギルドと薬師ギルドに顔を出すと、貴族の意向を存分に発揮して登録をごり押ししたのであった。
さらに両ギルドから商品の納入を条件に出された事について、
「我が商品には使用期限が15日間と明確に決まっている、どの期間でどれくらい欲しいというのか?」
と尋ねれば、
「取り敢えず月に30本納めてください。」
と答えるのに
「15日しか持たないのに月に30本と言うのは、明確な理由が知りたいですね。私の治療魔法は新国王も認めたもの、無意味に廃棄されたのであれば王国に損失となります。いかに?」
と問い詰めると、明確な回答はできずさらに、国王の名を出されて下手なことも言えず。
「後程回答致しますのでこれで勘弁してください。」
と涙声になった。
薬師ギルドでも同じような事があり、こちらもその後何も言ってこなくなった。
俺は、日々病院を訪れる患者が増える中、病名と治療薬の書き取りを行い、約6ヶ月で最初の治療教本を出版する事になった。
その後も新しい病名や患者の様子を書き込むと、第二編という感じで出版を継続した。
身体の丈夫さを自慢し全く薬やポーションを準備しないどころか、金が入れば飲み食いに使い果たす多くの冒険者に、過去の自分を見ているようだった。
ここで健康保険という考えどころか制度自体無理なのは分かっている、でも何とかできないのかと思わずにはいられない。
特に残された幼い子供を見た時などは・・そうか!子供らの面倒を見る施設を作ろう。
ーー 私立孤児院という名の受け皿。
冒険者が依頼中に大怪我を負ったり、死ぬことは珍しいことではない。
その為、家族がその後の生活苦のために子供を孤児院に預けたりする気とも、責められないところで有る。
俺はその受け皿を作る事にした、俺の考えに専属の冒険者や従業員が必要だからだ。
病院の近くの廃屋を買い取り、更地にすると子供であれば50人は生活できる建物を作った。
当然食事や身の回りの世話をする者も必要になる。
スラム街の教会を卒業し始める子供らがいる。
仕事のあてがない子供を小さな子供の世話をさせる、さらに仕事を求める遺族らに料理や洗濯の仕事を住み込みでさせれば、一石三鳥くらいになった。
孤児院も勉強や目的に合わせての訓練をさせる、女の子らには魔クモの糸から作る布を使った、服の縫製などを身につけさせると、俺個人の商会で扱う商品も増えて言うことなしで有る。
今日も大怪我を負った冒険者が仲間と家族に連れ添われて病院にやって来た。
「この怪我は上級ポーション以上でないと命に関わるぞ。」
と言うと、怪我人の冒険者が
「それならこのまま死なせてくれ、家族や仲間に払いきれない借金を残せない。」
と言うのに俺は
「勘違いしてはいかんな、治した場合お前が治療費の分働いてく返す事になる、その間は家族はここで病院の仕事を手伝う事になるが、金はいらん。どうする?仕事も俺の専属として素材集めなどをする事になるが。」
と言うと、初めは言葉の意味がわからなかった冒険者も
「ありがとうございます、どうか俺の怪我を治してください。」
と涙ながらに訴えた。
怪我を治し、冒険者は家族と共に病院横の施設に引っ越してきた。
仕事がないときは、施設の維持管理をしてもらう。
そんな冒険者家族が5組ほど常に常駐する事になった。
ーー スラム街の生活
タケヒロ子爵様の領地となった旧スラム街の住民は、今どう言う生活をしているのだろう。
仕事は、沢山ある。
スラムの住民なら優先的に斡旋される仕事が、多種多様に存在している。
怪我や病気で働けなかった者も殆どは、治療を受け元のように働けるようになったものが多く、スラムを出てもう一度夢を追いかける者や旧スラム街で新たに生きる目的を見つける者など、色々で有るが誰も活き活きとしていた。
子供たちは教会で行われる、勉強と訓練で日々力をつけ、14歳ほどになると身につけた物を使って外で働く者や俺の商会や病院で働く者も多い。
今では飢えて腹をすかせる者や、人のものを狙うものは皆無と言って良い。
街の見た目も下手な平民の住居よりも立派なアパートメントで有るので、ここに住まわせて欲しいと言う入植者も多い。
税金は医療費の原資となるわずかな金額のみで、アパートメントの滞在期間は最大5年または上の子が14歳になるまでと言うと約束になっている。
ここで5年も真面目に働けば、市民街に家を持つことも十分可能で、店を持つ者も多い。
旧スラム街は今や夢を叶えるための場所としての地位を確立したといえる、今日も家族を連れた旅人が宿を探して旧スラム街に足を運んだが、あまりの綺麗さに場所をも違えたかとオロオロしている。
そこに教会の子供らが声をかける
「こんにちわ。ようこそタケヒロ子爵様の領地にいらっしゃいました、ご用件をお伺いします。どうされました?」
「いや。この街に今来たばかりなんだが・・泊まる場所がわからなくて・・」
「お仕事は決まっていますか?旅の途中ですか?」
「仕事を探しに来たんだ、ここに仕事を斡旋する場所があると聞いて来たんだ。」
「はいここで大丈夫ですよ、役所に案内しますね。どうぞこちらについて来てください。」
と言われ子供らに案内された家族が、役所で必要事項を書き込みながら仕事の斡旋を待つ。
「はい、3番の方。こちらに来てください。これをどうぞ、宿泊先と仕事先の名前と地図です。」
わからない時は、見かけた住民に聞いてくださいね。」
と紙を渡され、頭を捻りながら地図の宿泊所に着く。
「はい、新入りだね。名前と紙を見せて・・3番の部屋ですね。これが鍵です、2階に上がって3番と書かれた部屋に入ってくださいね。食事は朝6時、12時、夕方6時ですからね、食堂で食べてください。食費は5日間は無料ですからね。」
と言われ部屋に向かう、大きな建物で部屋がいくつも並んでいる。
3番と書かれたドアを鍵を開けて入ると、寝室二つ居間一つに倉庫一つの部屋だった。
トイレは部屋の中にあり、お風呂は一階に大浴場が男女別で備え付けられている。
部屋のベッドはとても寝心地が良く、お布団も軽くて暖かった。
部屋自体とても清潔で、下手な宿よりも立派だった。
一緒に部屋を見た娘が
「お父さんこんなとこに泊まって大丈夫なの?」
「大丈夫みたいだ、今から仕事先に顔を出してくるから、お母さんと待っていてくれ。」
と言うと父親は紙を手に仕事先に向かった。
仕事先は歩いて5分ほどの工房だった。
「あのー。仕事の斡旋できた者ですが。」
と言いながら紙を見せると、棟梁のような男が紙を見ながら
「大工の経験と家事もした事があるのか?よし明日の朝から仕事だ、遅れるなよ。」
と言うとカードを渡した、これが個人の記録を取るカードなのだ。
5日間働いた男は、見習いから正規の職人として働き始めます。
5日分の賃金を貰い、今日から食事代を払う事になりますが家賃は無料です。
妻も縫製の仕事をし始めました、娘は教会に毎日通い文字を教わっています。
「お父さん今日はね、私の名前が書けるようになっらのよ。」
と誇らしげに、父に伝える娘を見ながら
「本当に噂通りのところだ、これなら5年でみせを持つことも夢じゃない。」
「本当ね、私も縫製の仕事が上手くいけばもっと給金が上がると言われたわ。頑張りましょう。」
と笑顔で答えた。
小さな家庭に小さくはない幸せが灯りだした瞬間だった。
王都に戻った俺は、この世界で医者の真似事をすることにした。
先ずは
本拠地となる建物を・・・それからできれば病名ごとに治療方法を記した本を作りたいが・・。
タケヒロは、建物を取り扱う商会を訪れては、病院として使えそうな建物を探した。
「これなら何とかなりそうだ。」
気に入った地上3階地下1階の建物を購入し、内装を整え始める。
「ここは受付と待合室で、奥が診療室と水回り。2階が病室で3階はここで働く者の宿舎、地下は薬や食糧庫と実験室でいいだろう。」
一人設計図を書きながら悦に入るタケヒロ。
前世では健康体をいいことに全く医療や薬学に興味がなかった自分が、これほど恨めしいことはなかったが魔法の能力によって何とかなりそうだと気づいて、意欲が湧いているのだ。
その根拠は、先日レベルアップのメッセージと共に
「レベルが一定値に達しました、「竜の知識」「創造魔法」を使用できます。」
と言うのを聞いていたのだ。
竜に知識というのは、自分が知りたいことを念じると頭の中に表示されるのだ。
創造魔法は、具体的な物を創造できる能力なのだ。
二つを使えば、この世界のものはほぼ全て魔力によって創る事が可能だという事だ。
人手の確保、治療するのに自分一人だけでは問題がある。
そこで奴隷商に向かい、薬師や錬金術師、回復師の能力があるものを探して買い入れた。
・セシル~元薬師 30歳
・コルトバ~元錬金術師 35歳
・タウト~元回復士 28歳
の3人と、補助をする看護師・介護士役の女性を4人採用した。
その他孤児院の子供を使い走りに日雇で雇うことにした。
病院オープンの日、病人が来ることはなかった。
今まで存在しない施設で有る、興味はあっても効力や報酬の関係で足が向かないのであろう。
「しまった!料金表を明示するのを忘れていた。」
俺は慌てて、基本的な料金表を作り外からも見える場所に表示した。
料金表
・診察のみ~銅貨3枚
・薬~3日分、銅貨3~銀貨10枚
・ポーション
初級~銅貨5枚
中級~銀貨1枚
上級~金貨1枚
・回復魔法~
初級~銅貨10枚
中級~銀貨2枚
上級~金貨2枚
・治療魔法~銅貨20枚~金貨4枚
と書いた。
人が対応する場合は、割高に薬やポーションならば低めに設定して、多くの場所で対応できるように工夫した。
さらに効能が続く期間を設定した、販売日から15日間で有る。
15日を過ぎる前に持ち込めば半額で買い取ることにした。
ダンジョンや危険な森の奥に依頼で向かう冒険者にとって、常備しなくてはならないが使わない場合の買い取りは助かるものだった。
時間経過の確認は、5日ごとに色が変わり、15日過ぎると黒くなるのだ。
これで仲介して高く売る事が難しくなる。
他の薬師や回復士の仕事を奪わない手法でもあった。
ーー 商業ギルドと薬師ギルドとの関係
新しく事業を始める場合、既得権を持っている者や企業がいれば抵抗するのはしょうがない。
特に人の命に関わる商売の場合、売り手の言い値というところがある。
大きな儲けを新規の何処の馬の骨かも分からない者に、侵される事に黙っている者はいなかろう。
俺は商業ギルドと薬師ギルドに顔を出すと、貴族の意向を存分に発揮して登録をごり押ししたのであった。
さらに両ギルドから商品の納入を条件に出された事について、
「我が商品には使用期限が15日間と明確に決まっている、どの期間でどれくらい欲しいというのか?」
と尋ねれば、
「取り敢えず月に30本納めてください。」
と答えるのに
「15日しか持たないのに月に30本と言うのは、明確な理由が知りたいですね。私の治療魔法は新国王も認めたもの、無意味に廃棄されたのであれば王国に損失となります。いかに?」
と問い詰めると、明確な回答はできずさらに、国王の名を出されて下手なことも言えず。
「後程回答致しますのでこれで勘弁してください。」
と涙声になった。
薬師ギルドでも同じような事があり、こちらもその後何も言ってこなくなった。
俺は、日々病院を訪れる患者が増える中、病名と治療薬の書き取りを行い、約6ヶ月で最初の治療教本を出版する事になった。
その後も新しい病名や患者の様子を書き込むと、第二編という感じで出版を継続した。
身体の丈夫さを自慢し全く薬やポーションを準備しないどころか、金が入れば飲み食いに使い果たす多くの冒険者に、過去の自分を見ているようだった。
ここで健康保険という考えどころか制度自体無理なのは分かっている、でも何とかできないのかと思わずにはいられない。
特に残された幼い子供を見た時などは・・そうか!子供らの面倒を見る施設を作ろう。
ーー 私立孤児院という名の受け皿。
冒険者が依頼中に大怪我を負ったり、死ぬことは珍しいことではない。
その為、家族がその後の生活苦のために子供を孤児院に預けたりする気とも、責められないところで有る。
俺はその受け皿を作る事にした、俺の考えに専属の冒険者や従業員が必要だからだ。
病院の近くの廃屋を買い取り、更地にすると子供であれば50人は生活できる建物を作った。
当然食事や身の回りの世話をする者も必要になる。
スラム街の教会を卒業し始める子供らがいる。
仕事のあてがない子供を小さな子供の世話をさせる、さらに仕事を求める遺族らに料理や洗濯の仕事を住み込みでさせれば、一石三鳥くらいになった。
孤児院も勉強や目的に合わせての訓練をさせる、女の子らには魔クモの糸から作る布を使った、服の縫製などを身につけさせると、俺個人の商会で扱う商品も増えて言うことなしで有る。
今日も大怪我を負った冒険者が仲間と家族に連れ添われて病院にやって来た。
「この怪我は上級ポーション以上でないと命に関わるぞ。」
と言うと、怪我人の冒険者が
「それならこのまま死なせてくれ、家族や仲間に払いきれない借金を残せない。」
と言うのに俺は
「勘違いしてはいかんな、治した場合お前が治療費の分働いてく返す事になる、その間は家族はここで病院の仕事を手伝う事になるが、金はいらん。どうする?仕事も俺の専属として素材集めなどをする事になるが。」
と言うと、初めは言葉の意味がわからなかった冒険者も
「ありがとうございます、どうか俺の怪我を治してください。」
と涙ながらに訴えた。
怪我を治し、冒険者は家族と共に病院横の施設に引っ越してきた。
仕事がないときは、施設の維持管理をしてもらう。
そんな冒険者家族が5組ほど常に常駐する事になった。
ーー スラム街の生活
タケヒロ子爵様の領地となった旧スラム街の住民は、今どう言う生活をしているのだろう。
仕事は、沢山ある。
スラムの住民なら優先的に斡旋される仕事が、多種多様に存在している。
怪我や病気で働けなかった者も殆どは、治療を受け元のように働けるようになったものが多く、スラムを出てもう一度夢を追いかける者や旧スラム街で新たに生きる目的を見つける者など、色々で有るが誰も活き活きとしていた。
子供たちは教会で行われる、勉強と訓練で日々力をつけ、14歳ほどになると身につけた物を使って外で働く者や俺の商会や病院で働く者も多い。
今では飢えて腹をすかせる者や、人のものを狙うものは皆無と言って良い。
街の見た目も下手な平民の住居よりも立派なアパートメントで有るので、ここに住まわせて欲しいと言う入植者も多い。
税金は医療費の原資となるわずかな金額のみで、アパートメントの滞在期間は最大5年または上の子が14歳になるまでと言うと約束になっている。
ここで5年も真面目に働けば、市民街に家を持つことも十分可能で、店を持つ者も多い。
旧スラム街は今や夢を叶えるための場所としての地位を確立したといえる、今日も家族を連れた旅人が宿を探して旧スラム街に足を運んだが、あまりの綺麗さに場所をも違えたかとオロオロしている。
そこに教会の子供らが声をかける
「こんにちわ。ようこそタケヒロ子爵様の領地にいらっしゃいました、ご用件をお伺いします。どうされました?」
「いや。この街に今来たばかりなんだが・・泊まる場所がわからなくて・・」
「お仕事は決まっていますか?旅の途中ですか?」
「仕事を探しに来たんだ、ここに仕事を斡旋する場所があると聞いて来たんだ。」
「はいここで大丈夫ですよ、役所に案内しますね。どうぞこちらについて来てください。」
と言われ子供らに案内された家族が、役所で必要事項を書き込みながら仕事の斡旋を待つ。
「はい、3番の方。こちらに来てください。これをどうぞ、宿泊先と仕事先の名前と地図です。」
わからない時は、見かけた住民に聞いてくださいね。」
と紙を渡され、頭を捻りながら地図の宿泊所に着く。
「はい、新入りだね。名前と紙を見せて・・3番の部屋ですね。これが鍵です、2階に上がって3番と書かれた部屋に入ってくださいね。食事は朝6時、12時、夕方6時ですからね、食堂で食べてください。食費は5日間は無料ですからね。」
と言われ部屋に向かう、大きな建物で部屋がいくつも並んでいる。
3番と書かれたドアを鍵を開けて入ると、寝室二つ居間一つに倉庫一つの部屋だった。
トイレは部屋の中にあり、お風呂は一階に大浴場が男女別で備え付けられている。
部屋のベッドはとても寝心地が良く、お布団も軽くて暖かった。
部屋自体とても清潔で、下手な宿よりも立派だった。
一緒に部屋を見た娘が
「お父さんこんなとこに泊まって大丈夫なの?」
「大丈夫みたいだ、今から仕事先に顔を出してくるから、お母さんと待っていてくれ。」
と言うと父親は紙を手に仕事先に向かった。
仕事先は歩いて5分ほどの工房だった。
「あのー。仕事の斡旋できた者ですが。」
と言いながら紙を見せると、棟梁のような男が紙を見ながら
「大工の経験と家事もした事があるのか?よし明日の朝から仕事だ、遅れるなよ。」
と言うとカードを渡した、これが個人の記録を取るカードなのだ。
5日間働いた男は、見習いから正規の職人として働き始めます。
5日分の賃金を貰い、今日から食事代を払う事になりますが家賃は無料です。
妻も縫製の仕事をし始めました、娘は教会に毎日通い文字を教わっています。
「お父さん今日はね、私の名前が書けるようになっらのよ。」
と誇らしげに、父に伝える娘を見ながら
「本当に噂通りのところだ、これなら5年でみせを持つことも夢じゃない。」
「本当ね、私も縫製の仕事が上手くいけばもっと給金が上がると言われたわ。頑張りましょう。」
と笑顔で答えた。
小さな家庭に小さくはない幸せが灯りだした瞬間だった。
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