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プロローグ

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私こと蓮蓋 恵(はすがい めぐみ)16歳は、地元の高校に入学して現在どの部活に入部しようかと見学中なのである。

同級生は90人の小さな高校ではあるが、私は半年ほど前に両親の仕事の関係で祖父母の家に預けられた為、友達という友達もいない。
高校デビューではないが、部活動を通じて友達を作りたいと毎日部活を見学していた。

「どうもピンとこないんだよな。」
独り言を言う私は一枚の部員募集のポスターに目をとめた。
[異世界で冒険者になろう。君なら大丈夫だ!]
と言うポスターは、誰も見向きもしない・・いや昨日までの私も気付かなかった。

「同好会と書いていると言うことは・・部員が少ないのだろう。一応覗いてみようかな。」
何故その時そう思ったのか、私は惹かれるように突然目に入り始めた矢印に導かれてある教室の扉を開けた。

「いらっしゃい、ようこそ冒険者同好会に!僕が部長の紅(くれない)だ。宜しく蓮蓋君」
突然そう言いながら右手を差し出した長身痩躯の男性の手を取りながら私は、
「え!宜しくお願いします。」
と答えていた。
この時から私は、この不思議で危険な部活にのめり込むことになるのである。



ーー 先ずは装備と基礎訓練からだ! ーー


その教室は不思議な空間だった。
周囲の喧騒が全く聞こえず、誰も教室に来ないどころか横の廊下を通らないのだ。

「あのう・・くれない部長、他の部員や顧問の先生は?」
「部員は君が初めてだ、顧問はまだいない。3人集まってからの話になるからね。」
「そうなんですね。で、何をする部活動なのですか?」
「文字通り異世界で冒険者として活動して、富と名声または絶対的強さをモノにするためだよ。」
「異世界?冒険者?よくわからないのですが?」
「大丈夫だ、僕がその道標だから。君は僕の後をついてくればいいだけだ、ただ最初には装備と基礎訓練が必修なので、宜しくね。」
と言うとくれない部長は、何処からともなく荷物を取り出し始めた。
「え!何処から?」
戸惑う私にくれない部長は、
「あ、驚いたねこれは定番のアイテムボックスだ。君もすぐに使えるようになるから心配無用だよ。」
と言うと革で造られた胸当て脚絆、小手などを取り出して私に着替えるように教室の隅にある更衣用の小部屋を教えてくれた。
荷物を手に取り更衣室に入り丈夫なシャツとズボンに靴、革鎧に袖を通しながら受け入れている自分に違和感を持ちながらも、ワクワクし始めている私。
「これからどうなるの?ただのオタク?それとも・・。」

着替えた私が教室に戻ると、既にザ・冒険者という出立のくれない部長が、
「これを左手にはめて」
と言いながらブレスレットを差し出す、少し大きなそのブレスレットを左手にはめると。
あら不思議腕のサイズに縮まり、何かが私の中から吸い出された。
そして目の前が真っ暗に暗転した。


気がつくと私は、山小屋のような部屋のベッドに横になっていた。
「気づいたね、ようこそ異世界に。これからの体験は君の人生に大きな意味を持つだろう、悔いのない活動を希望するよ。」
とくれない部長は言うと私の手に、長さ60cmほどのショートソードを手渡しながら出入り口のドアを開けて外に出た、私も続いて外に出るとそこは鬱蒼とした森だった。

「・・・ここは?何処ですか?」
「ここは私たちの住む地球と違う時間軸に存在する異世界だ。神が実在し魔物が跋扈する冒険者の天国だ。」
と答えるくれない部長の声をかき消すように、動物の唸り声が耳に届いた。
「何かいます!大丈夫ですか?」
「あの声はフォーハンドベアーの声だ、最初の訓練には丁度いい。さあゝ冒険の始まりだ、剣を手に構えて。」
と言いながら森の一角に目を向ける部長の真似をする私の目の前にあいつが姿を見せた。

「腕が4本!背が3mはありますよあのクマ!」
と言う私の声に部長は、
「何見てくれは強うそうだが大したことはない魔物だ。見ていなさい。」
と言うと何かを呟き手を振った。
すると大きなクマの首が「スポーン」と言う擬音と共に舞い上がった、その後に噴き出す血潮が私に現実味を与える。
「ズドーン」
と言う音と共に倒れたクマを部長は、左手を向けると一瞬でクマが消える。
「左手のリングには収納の魔道具の力があるので君のリングでも同じことが可能だよ。」
と言いながら次の獲物に目を向けた。
そう、クマは一頭ではなく3頭いるのだ。

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